ぶん・こまつ のぶひさ え・かのう りん 文芸社 1500円+税
のびやかでユーモラスな文章が魅力です。
卵には目がない、どろぼうねこのおやぶんは、何かの事情で親鳥に置き去りにされ卵を、町の魚屋さんで目玉焼きにしてもらおうと、風呂敷に包みてくてくと。その時のセリフがおかしいのです。「しかたがない、しかたがない」。あちらを立てれば,こちらが立たず。人間(猫)の恩愛、ここに尽きるでしょうか。保護したい、食べたい、保護したい、食べたい,保護したい、食べたい。笑えます。でも、おりからの陽気に風呂敷の中で卵が孵り、カルガモのひなの親になってしまいます。
雛を襲った三羽がらすへのセリフもたまりません。「おれの みうちに てをだすなんて たいした どきょうだな からすのしょくん」。任侠道、いや、泥棒道。まさの菅原文太。しかし、そこは親分道を歩く器量。三羽がらすへこういいます。「こんかいのことは みのがしてやるから、かわりに ひとつ おれの たのみを きいてくれるかね」。雛たちへ飛ぶ練習のお願いです。自立していく雛たち。と、ここで終わればただの美談ですが、親分はいそいそと魚屋さんに卵料理を。この欲望の肯定に優しさが宿っています。
文の、こまつさんは児童文学者協会+童心社の絵本テキスト大賞でもグランプリに輝いた人。「どろぼうねこ」シリーズの三巻目になります。かのうさんの絵はご覧の通り。この絵なくしてはこの世界なしの名コンビになっています。
詩をひとつ書きましたが、なにか足りないようです。やせてるなあ。
絵本テキストを推敲。ほぼ完成形になってきました。
ねこのどっしりした雰囲気がいいですね。貫禄が目に現れていますね。
童心社の方もシリーズに。書ける方なんでしょうね。猫の絵、貫禄あるでしょ。