広告する日記

詩人・絵詞作家・内田麟太郎オフィシャルブログ

黒井健 絵本「まっくろ」

2021年10月08日 20時11分10秒 | 日記

 絵本「まっくろ」 作・高崎卓馬  絵・黒井健  講談社  1600円+税

 黒井健さんは「違う」といわれるかもしれませんが、世間から見たら絵本界の大御所です。
 その黒井さんが新しいスタイルに挑戦をされているようだと、黒井さんのFBを読みながら感じていました。
 

 だれがこの絵本の画家の名を隠し、その名前を当てられたでしょうか。私も当てられなかったでしょう。多くの作家(画家)はほぼ50代でスタイルが定まり、あとはひたすらに名人芸になっていきます。上手いんだけど ……。
 物語は先生が「みんなのこころに うかんだことを かいてみましょう」と黒板に書かれたときから始まります。一人の男の子が、画用紙をただひたすらに黒く塗っていきます。何枚も何枚も。私は読みながらこの子は心を病んでいるのだろうかと思いました。ちがいました。みんなの心が解放される素晴らしい絵を描いていたのです。

 黒井さんは、なんども試行錯誤されたにちがいありません。子供たちの描き方に。それが一番感じられます。「なぜ?」と不安になっていくまわりの子供たち。それは恐怖ではなく不安です。いいえ不安ではなく心配です。このビミョーな差をどう表現するのか。
 黒のタッチも一枚一枚違います。真っ黒ではありません。ある軽さが感じられます。少年のこころの現れたタッチです。用紙の選択にもこまかい心配りが感じられます。
 新世界へ。黒井さん、若いなあ。

 あちらこちらへ礼状を。

 絵本美術館の開館まで、何度かつぶやいている言葉がありました。「行蔵は我に存す 毀誉は他人の主張」。勝海舟がいっていたようです。今日、美術館への私の思いが、その人に通じていたことを知り、その喜びに「至誠 天に通ず」とつぶやいていました。

コメント (3)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 沢田としきさんの漫画 | トップ | 絵本 『ぞうさんのふうせん』... »
最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
至誠 (木枯らしモンジャロウ)
2021-10-08 22:52:24
「至誠天通ず」という言葉、教員時代に思い当たる節がたくさんあります。困難にぶつかったときでも、誠実にしていると、誰かが助けてくれるんですね。
返信する
『まっくろ』 (ひでちゃん)
2021-10-09 05:42:44
内田麟太郎さま
ご紹介で、欲しくなりました。昨日は『えいっ』をもう一度読みたくなりましたし、一言一言に圧倒させられました。「新世界」いいですね。
返信する
至誠 (内田麟太郞)
2021-10-09 08:33:31
木枯らしモンジャロウさま
 うれしいですよね。
 誠から出た策は美しいけど、誠のない策は下品なだけで。

ひでちゃんさま
 黒井さんは偉いね。まだまだ新しいスタイルに挑戦されるんだから。私もまされました。
返信する

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事