理系母の療育と自閉症児の成長の記録

3歳で自閉症スペクトラムと診断された息子。約3年でDQ57→97。14歳で診断が外れ,高校受験を経て通常学級デビュー。

字を書き始めるまで2 鉛筆の持ち方を正す

2017-07-26 16:36:53 | 発達障害

字を書き始めるまで アプリとプリントを合わせて使う(3)のつづき

息子が紙に書くことに興味を示し始めたとき,息子の鉛筆の持ち方は思いっきり「グー持ち」でした。

注意して直そうとしましたが,癇癪を起こして聞く耳を持たず,正しい持ち方を教えられません。

指の当たる位置にシールを貼ってもみましたが,無視されました。

 

このまま間違った持ち方が定着して修正がきかなくなるのが心配で,厳しくしかって無理矢理にでも矯正しようか悩みましたがやめました。

ここで息子とバトルをして鉛筆の持ち方を直せたとして,逆に書くことが嫌いになってしまったら,元も子もありません。

これは科学的根拠ではなく,個人の経験に基づく判断です。

みなさんは子どもの頃,親に無理矢理やらされたがために大人になっても嫌いになったままのものってありませんか? 

私にはあります。夫にもあります。私と夫の性格を色濃く受け継いだ息子も,一度嫌いになってしまったものは一生修正できないように思いました。

なので,私が療育で一番気をつけていることは,嫌いにさせない,です。

 

とはいっても,どうしたらよいか。

悩んでいたところにヒントをくれたのは,保育園の先生でした。

 

保育園の担任の先生とは毎日,その日の息子の様子やトラブルについて話しをしていたほか,家で取り組んでいる療育課題なども伝え,こちらが行き詰まったときには何かいいアイデアがないか聞いたりしていました。

 

あるとき私が先生に,鉛筆の持ち方を直せずに困っていることを伝えると,先生がこうおっしゃってくれました。

「H(息子)くんはお箸を持たせるときに,こちらが人差し指を突き出して鉄砲を打つように『バンバン!』ってやると,同じように真似してくれるんです。そこで,親指の付け根のあたりに箸をはさむと自然と人差し指と親指で箸をつまむので,鉛筆も同じようにやってみてはどうでしょうか?」

 

なるほど!「鉛筆の持ち方はね…」と教えるのではなく「てっぽうバンバン!」。これなら息子も反応してくれるかも。

 

私は早速,家に帰るとプリントを用意し,鉛筆を渡す前に息子に人差し指を出して「てっぽうバンバン! Hもやってみて」と言いました。

すると息子も同じような指の形をしてくれます。

その手の親指の付け根に鉛筆をあてると,息子は人差し指と親指で鉛筆をつまんでくれました。

そこで私はすかさず,その鉛筆の持ち方を褒めちぎりました。

「そうそう!それが鉛筆の持ち方!かっこいい!上手上手!」

 

息子も褒められてその気になったのか,それからは人差し指と親指でつまむように鉛筆を持つようになりました。脱・グー持ち!

 

ところがまだ問題はありました。

鉛筆を持つ位置が,グー持ちのときのように鉛筆の中央を持ってしまうので,先端から指までが離れていて,力の入り方が不自然です。

 

これは,注意して直すよりも単純でいい方法がありました。

それは,極力短い鉛筆を持たせる,です。

短い鉛筆であれば必然的に指でつまむ位置は先端に近くなります。

私はプリント課題をやってもらうときには長い鉛筆はすべて隠し,短いものだけを渡すようにしました。プリント課題をやるようになってから1カ月後くらいのことです。

 

この短い鉛筆については,最初は家にあった短い普通の鉛筆を使っていましたが,後からは「くもんのこどもえんぴつ6B」を使うようになりました。長さもちょうどよく,6Bなので筆圧が弱くてもしっかり線が引けるので,書く練習にはぴったりでした。子どもの特性をよく考え,研究された商品だと思います。

また,市販されているくもんの幼児ドリルには鉛筆の持ち方を示した写真がついているので,それを息子の机の前に貼っておき,いつでも目に入るようにしておきました。

 

次回は,文字の認識や微細運動,姿勢制御のためのこまごまとした工夫について紹介したいと思います。


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