ブナの中庭で

ようこそブナの中庭へ!大好きな登山や山スキー、環境問題や自然のことなどいろいろ綴っています。

中原中也の詩

2013年12月20日 | いろいろな本
今晩はN師匠とKCウォールでクライミング。

師匠が今晩話題にしたのは、中原中也の詩「サーカス」。

私の口から、思わず
『幾時代かがありまして、茶色い戦争ありました』
このフレーズが出てきました。

『ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん』

中也に夢中になったのは高校生の頃。そういえば、岩波文庫の詩集を片手に暗唱してたな~。

長い年月を経て中也の言葉が次々と思い出され、自分でもビックリです。

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『サーカス』
 
幾時代かがありまして 
 茶色い戦争ありました
幾時代かがありまして 
 冬は疾風(しっぷう)吹きました

幾時代かがありまして 
 今夜此処(ここ)での一(ひ)と殷盛(さか)り
   今夜此処での一と殷盛り

サーカス小屋は高い梁(はり)
 そこに一つのブランコだ
   見えるともないブランコだ

頭倒(あたまさか)さに手を垂れて
  汚れ木綿(もめん)の屋蓋(やね)のもと
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

それの近くの白い灯(ひ)が
  安値(やす)いリボンと息を吐(は)き

観客様はみな鰯(いわし)
  咽喉(のんど)が鳴ります牡蠣殻(かきがら)と
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

屋外(やがい)は真ッ闇(くら) 闇の闇
 夜は劫々と更けまする
  落下傘奴(らっかがさめ)のノスタルジアと
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

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そして中也の代表作は、これでしょう。

『汚れっちまった悲しみに……』

汚れっちまった悲しみに
  今日も小雪の降りかかる
汚れっちまった悲しみに
  今日も風さえ吹きすぎる

汚れっちまった悲しみは
  たとえば狐の革裘(かわごろも)
汚れっちまった悲しみは
  小雪のかかってちぢこまる

汚れっちまった悲しみは
  なにのぞむなくねがうなく
汚れっちまった悲しみは
  倦怠(けだい)のうちに死を夢(ゆめ)む

汚れっちまった悲しみに
  いたいたしくも怖気(おじけ)づき
汚れっちまった悲しみに
  なすところもなく日は暮れる……

************

中也の詩を語りながらのクライミング、実に楽しかったです。

ノルベルト師匠の日本語は素晴らしいですが、まさか中原中也の詩を暗唱するとは。
驚きました‥。さすがです。

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
素晴らしい (ノルベルト)
2013-12-21 01:19:48
高校生ごろからまだ覚えたのは、やはり素晴らしいです!この詩の深さと力なのですよね。またこの様な話しましょう。
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ノルベルト師匠へ (Repu)
2013-12-23 20:27:06
「サーカス」はリズムが良くて、覚えやすいですね。解釈もいろいろあって、面白い詩だと思います。

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タイトル 素敵です (藤山照夫)
2017-01-29 11:35:08
タイトル「ブナの中庭」素敵ですね!中原中也のファンも素晴らしい!私の「中原中也の詩を覗いてみよう」へもどうぞ!http://www.fujiyama-jp.net/wp/?p=1543
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