連歌小説

自分の話、みんなの話、連歌小説。遊びに過ぎないけれど、話の続きを書いてみたら?

初めての方へ

2005-10-02 17:08:33 | Weblog
初めての方、よくいらっしゃいました。

まず、連歌小説とは何か?
連歌小説はいわゆる「サーシャ語」です。つまり、サーシャによる新語です。その小説の書き方は連歌の作り方に似ていることから、連歌小説と名づけました。
連歌小説の書き方
まず、誰かが、テーマを出します。次の人はその続きを書きます。その次の人はその続きの続きを書きます。その次の人はその続きを書きます。(中略)その次 の人はその続きを書きます。最後に、誰かが、出来上がった話をほんの少し編集して、仕上げます。だが、内容を書き換えるのではなくて、[☆、(笑)、 (>_& lt;)、 (^o^)、~~ね]などをほどよく削除して、もっと読みやすくします。そして、出来上がった連歌小説を掲載します。
続きの書き方
この投稿の下に、作成中の連歌小説の前句が書いてあります。今の前句は「駅を出る時に「How do I get to Akihabara?」と外国人に聞かれた。」 です。それは連歌小説の始まりというわけです。他の人が書いた続きを読んだり自分で続きを書いたりするには、前句をクリックしてください。コメントの形で 書かれた話の続きが読めます。それを読んだら、自分で思いのままに続きを書いてください。続きを書くには、コメント・リストの一番下にある「コメントを投 稿する」を使います。続きの内容をコメント欄に書きます。そして、「投稿」を押します。(タイトル、URLがなくてもかまいません。しかし、お名前・ニッ クネームだけを書いていただけると、有名な連歌小説家が誕生するかもしれません。)

自由に, 束縛されずに, 伸び伸びと, 障害なしに, 円滑に, 自発的に, 自ら進んで, 喜んで, 遠慮なく, 気がねしないで, 惜しまずに, 気前良く, ふんだんに連歌小説を書こう!!!

駅を出る時に「How do I get to Akihabara?」と外国人に聞かれた。 ★

2005-10-02 16:59:16 | Weblog
(続きを書くにはは★をクリックしてください。)

真理ちゃん

2005-10-02 16:49:21 | 連歌小説集
ベッタリとした部屋の空気がイライラさせる。
(ウタマロ代表)
僕はベッドから手を伸ばし携帯を見る…メールが来ていた…。
(maybe so)
それにしても、僕の部屋はくそ暑い。クーラーを持っていない僕にとって、夏は”地獄”だ!
扇風機でもつければ、イライラは多少は収まるだろうか・・・?!
(the world)
とりあえず、アイスをかぶりついた。小さい時から大好きな”がりがりくん”だ。うまいっ!!!
(ta)
アイスを食べながら扇風機に抱きつく形で、風を一身に浴びた、少し涼しくなった。
そうして、今日の服を選ぼうと洋服ダンスを開けた・・・
(turn)
上着はノースリーブにした。下は短パンだ。うちわを仰ぎながら、部屋の中をうろうろ歩き回った。暑くてじっとしていられないのだ。
(AND)
外からせみの泣き声が聞こえてきた。うるせーっ!!
(leave)
明日は大事な試験だから勉強しなくては・・・。
この暑さでは家の中にいると、死にそうだから
図書館に行くことにした。
(rainbow)
図書館では勉強するつもりだったが、体がだるくて、集中力がない。ぼうっとしている内に暗くなってしまった。やばいなと思って、やっとのことで勉強に集中できた。だが、一時間くらいで閉館時間になってしまった。しようがない、うちに帰って、遅くまで勉強する。図書館を出る時に、小学校の友達にばったり出会った。女の子だった。名前は真理子と言う。子供の頃、真理子は目立たない子だったが、今大きくなって来て、愛苦しい高校生になっちまった。
(MeE)
真理子に本気で夢中になった。自分で自分のことを単純だと思った。どうしてこんなにも割り切れるのだろう・・・。不思議だ!真理子には何か特別な力があるのか!?
(ereh)
小学校の時の真理子と同じように、僕も目立たない存在だった。今も決して目立つ存在ではない。僕はそんな存在感のなさも自分自身では気に入っている。今の真理子は昔の面影はない。昔は僕は真理子に親近感を感じていて、実際に僕達は会話もしたし、数少ない友達の中の一人であった。しかし、今の真理子を見ていると、僕と雲泥の差を感じる。今日は真理子に話かける勇気がなかった。明日、また図書館に行ってみよう。彼女も何か勉強をしているようだったから、また会えるかもしれない。そういえば、僕も真理子も小学生の時は読書が大好きだった。
(whereer)
翌日、僕は再び図書館へ行った。真理子に会えることを期待しながら・・・。なぜか僕は真理子に会える!!!、という確固たる自信があった。一体どこからそんな自信がうまれたのか分からないが・・・。
歩いて10分後、図書館へ到着した。僕は妙に緊張しながら、図書館へ入った。急いで、2階の自習室へとかけあがった。
『真理子がいた--------------------っ!!!!!』
何やら熱心に勉強をしている。
僕は真理子に気づかぬふりをして、彼女の席の近くに座った。何の勉強をしているのだろう・・・・・??
(AII)
何やら難しい勉強をしているようだ・・・。
真理子の眉間にしわをよせ、勉学に励む姿も、かわいい(笑)
(Wasssss)
真理子の隣に座っている男も真理子のことを意識しているようだ。たまにちらっとみているし、間違いない!!彼は誰だろう?どこかで、見かけたことはある気はするのだが・・・。思い出せない。自分のあやふやな記憶に苛立ちを感じる。
(miki)
ああ、思い出した。たしか近くのコンビニでバイトをしている人だ。塾から帰る時に、よくそのコンビニで立ち読みをする。その男は僕より年上に見える。大学生だろうな。だが、気になるのは真理子とどういう関係?
(ドラゴン)
ああ、また思い出した。真理子は以前、彼と同じコンビニでバイトをしていた。真理子と彼は知り合いなんだろう。何やら彼と真理子が話をしているのが見える・・・。その様子を見るとそれ程親しそうな感じでもない。元バイト先の、彼は真理子のただの先輩といったところだろうか・・・。
(みそラーメン)
真理子に関する色々な事を考えているうちに、あっという間に正午になっていた。真理子と彼は一緒にお昼でも食べに行くようだ。彼らのあとをつけようか・・・。それとも自分ひとりで、お昼を食べようか、気がついたら一生懸命迷っていた。でも、ストーカーはやばいし・・・。
(台風ぅ~)
あとをつけるのは、罪悪感を感じそうだが、犯罪にならない程度に、尾行を開始することにした・・・。
(little flame)
二人は楽しそうに会話をしながら、歩いている。
なんか、悔しいっ!!
思い切って、真理子に告白しようと思った。
そう決めたとたん、二人を尾行するのもバカらしくなり一旦、図書館に戻る事にした。僕は机に座り、参考書を広げ、勉強をはじめることにした。しかし、やはり二人の様子が気になのるか、肝心な勉強に力が入らない。とりあえず、勉強をするふりをするためにも、参考書をぺらぺらめぐり、頭の中はあの二人の事と告白する際に何といって真理子の気を引き付けようか必死で考えていた。
(paris)
僕は告白のセリフを必死で考えていた・・・。
真理子は僕の理想の人だ。
僕はどうしても真理子に興味を持ってもらいたい。
そういう思いだけが、僕の頭の中を駆け巡る。
ここはやはりストレートに好き!といおう!
(タンゴ)
数分後、二人は図書館に姿を現した。
コンビニの店員の男はどうやら帰るようだ。
勉強道具をバックにしまい、真理子に軽く会釈をした。
”ラッキー!!!”
と僕は思わず、ほくそえんだ。
真理子は一人になり、相変わらず熱心に勉強を開始した。真理子が帰るときを狙って告白しよう!!
僕の手は緊張で汗で溢れていた・・・。
どうか、真理子からいい返事がもらえますように・・・!
僕は、神に祈りをささげた。
普段”神”など信用していない僕だから、
都合よく、僕の願いなど叶うはずもないだろうが・・・。
(wasting time)
気がつけば、あっという間に閉館時間になっていた。真理子は僕の存在を知っているのか、知らないのか定かではないが、一度も真理子は僕と視線を合わせようとしなかった・・・。閉館のチャイムがなる。真理子が帰宅する準備をみて、僕もそれに合わせて、帰る準備をした。真理子が自習室をでてから1分後にでて、真理子のあとを追った。駐輪所で真理子に遭遇した。真理子が僕に気がついたようだ。満面の笑みで僕に微笑みかけてきた。そして真理子は言った・・・・
(kuruto)
「あら、あなたも図書館に来てたの? 声をかけてくれれば良かったのに」
僕は嬉しくなって、真理子に話かけようとした。
するとその時、僕の後ろから「だって、勉強の邪魔しちゃ悪いじゃない」と言う、女の子の声がした。
真理子は僕にではなく、その女の子に向かって言っていたんだ。
勘違いをしたと思ったとたん、僕は顔から火が出るくらい恥ずかしくなった。
まったく、僕は何をやっているんだ!?
(minto)
真理子は僕を覚えてないみたいだ。僕は小学校の頃から顔も髪型も変わったから、無理もないね。だが、話を始めるにはそのほうがいい。明日、真理子を見たら、何気なく「ああ、真理ちゃんじゃない?」と言ってみる。
(kanasibari)
予定通り、僕は次の日も図書館へいった。そして、真理子に
「あら、真理子ちゃんじゃない!?」と話かけた。真理子は顔を引きつらせながらも僕に微笑みかけてくれた。最高にうれしかった!!!
(けんた)
「・・・」
戸惑っている真理子。
沈黙が続く。
もしかして僕の事なんぞ忘れてしまったのだろうか。
「えーと、ほら、俺だよ、俺。小学校の時同じクラスだった・・・」
「えーと・・・あ!ごめーん!」
真理子の顔がぱーっと明るくなった。
・・・こんな真理子もかわいい。
「えーと、確かY本くんだったよね!」
(minto)
「そうだよ。覚えてくれたね。うれしい!」
「Y本くんは大きくなったね。大人みたい。」
「ちなみに、真理子ちゃんはモデルをやってない?この間、真理子に似た人を雑誌で見たような気がする。その時、真理子ちゃんのことを思い出して、今どこに住んでいて、何をしているか知りたくなった。」
「まじ?そういえば、前にも別の人から同じことを言われたことがある。だが、私はモデルをやってないよ。」
「そうか。
ええ?真理子ちゃんは「海辺のカフカ」を読んでいる?」
(bani)
「そう、村上さんの、実は明日友達の誕生日で、その本をプレゼントにしたいよ。その友達は本が好きで、本に拘るから、読んでおいたほうがいいと思って読んでる。」
「なるほど」
「いきなり悪いけど、Y本くんも一緒に誕生日会に行かない?」
「???」
「私は至急彼氏が必要だわ。」
「???」
「実は前の誕生日会でその友達に約束をしてしまった。必ず彼氏を連れてくると約束をしたのよ。彼氏を連れて来なければ着ぐるみを着て学校の前を歩き回るということになっている。で、私はそんな恥ずかしいことができないから、Y本くんにお願い。一緒に誕生日会に行って、私の彼氏を装ってくれない?」
「そうか。いいよ。演技は下手だけど、やってみる。」
「助かるわ。明日○○駅の前で待ち合わせしようか。」
(samon)
次の日は真理子と誕生日会に行った。真理子は友達に「海辺のカフカ」をあげた。友達は嬉しかった。僕もとても嬉しかった。真理子の友達が「海辺のカフカ」を気に入ったからじゃなくて、真理子と一緒にいたから。真理子も嬉しかった。友達が「海辺のカフカ」を気に入ったというよりも、僕、自分の「彼氏」を友達に紹介できたから。また、着ぐるみを着て学校の前を歩くという恥から逃れることができたから。
(mistery)
すると、僕はいかにも彼氏のように真理子にキスをした。真理子はびっくりしたけど、逆らわなかった。誕生日会は楽しく過ぎた。
次の日、真理子をデートに誘った。真理子はOKしてくれた。
デートも上手くいった。
こうして僕と真理子は付き合うようになった。

夢みたいな休暇

2005-07-16 23:15:28 | 連歌小説集
 二週間の休暇を貰った!
出かけるぞ!2週間か... とにかく、折角の休みなんだ。家になんか居たくない。どこにしようと地図を出す。
真夏はもうすぐだし、海にでも行きたいな~。独りでいこうか、それとも友達を誘おうか?
いやいや、やっぱり、あいつがいい。「我が家の愛犬、サーシャ」を連れて行こう。
それは名案だ!場所は...悩むな~
沖縄が絶対いいよ。愛犬を籠に入れて、飛行機で行こう!そういえば、水着がないんだ。前のアパートから引越ししたときに、捨てた。地味な紺色だったから、後悔しない。今度はちょっと派手なのを買う。また、ついでに日焼けクリームも買おう。よく焼けちゃうから。
 今日は水着を買いに行った。おもいきって、”派手なオレンジ色”の水着にした。日焼け止めも買ったし、飛行機のチケットも無事に取れた。荷造りも終わった。これで準備完了だ!デジタルカメラも持ったし、「忘れ物はないかな?」ともう一度自分に問いかけた。恐らく大丈夫なはずだ。足りないものがあれば現地で買えばいいのだ。明日の朝一には飛行機に乗る予定だから、お昼頃には沖縄に着くはずだ。沖縄についたらまず何をしよう!?観光名所も沢山あるし、今からガイドブックを見て計画を立てようかな!?それとも行き当たりばったりの旅をしようか。
 行き当たりばったりでいい。「まさお君が行く」みたいに、犬をつれて、歩くたび。
沖縄を歩くのか。 車でもないとしんどいだろな。そうだ、思い切って、石垣島にいこう。浜辺で1日中寝てるとか... 誰か、声をかけてくれるだろ。それをたのしもう。いい出会いが、もしかしたら。
「It's my turn」を期待して。
 翌朝私は予定通り、朝5時に起床した。「今日は快晴だ!飛行機から見える景色もよさそうだ。石垣島では、お気に入りの水着を着て、海水浴を楽しむぞ!」起床から3時間後、空港へ着いた。そして、飛行機に乗り込んだ。いよいよ離陸だ。「うわぁ~、どきどきするな。」
飛行機にいる間、ずっと海で泳ぐ夢を見ていた。また、せっかくの休みだから、飛行機が墜落しないように、祈っていた。
飛行機は墜落することもなく、無事に沖縄についた。沖縄は天気もよく、ものすごい暑さだった。僕は、愛犬とともに、石垣島へ直行した。
 天まで貫けるような青い空、どこまでも透明な水色の海。これだ!!!! 
「石垣島に決めて、良かった。な!サーシャ」
サーシャもうれしそうだ。海が彼の視界に入ると、僕よりも先に海水に入っていった。僕もサーシャの後を必死で追いかけ、海に飛び込んだ。
水はひんやりしてとても気持ちがいい。観光客は思ったより少ないな。
ひと泳ぎしたら、朝が早かったので眠くなった。
サーシャと木陰で横になった。すぐ、眠りについた。
 夢の中では、僕は豪華な食事をしていた。サーシャも大好物の肉を喜んで、がつがつ食べている。おしゃれなレストランだが、ここはどこだろう。
すると、美しい女の人がかわいいワンちゃんを連れて僕のところに歩いてくる。この世にないまぶしい笑顔だ!
「あなたを待っていた」その美しい女は言う。
気がつけば、僕たちは抱き合っている。こんな美しい女を自分のものにできるなんて、夢みたい! 
 ところで、サーシャはどこだ?
「おい、サーシャ!お前もやるね!」サーシャもこの女のかわいいワンちゃんとラブラブ!
「ヘーブンってこんなもんだろうな」僕は思った。
「そのとおり。ここはヘーブンだよ。」
女が言う。
「まさか、この人、人の頭の中を読めるのか?!」と僕は思って恐ろしくなった。
「そんな顔しないで。読めなくてもわかるわ。ここに来るみんなは最初そう思うのだもの」
「さて、ヘーブンを紹介しましょう。私についてきてください。」
 女は犬を連れて前に入って歩くと、サーシャもついてくる。
まもなく僕たちは人集りに入っていった。すると、どこかで見たような顔たち!
「あれ!サーシャ!」
3年前になくなった親友のサーシャが僕の目の前にたっているではないか。
サーシャをぼくの誕生日にプレゼントしてからまもなく、なくなってしまったこの親友の思い出に僕はそのくれた犬をサーシャと名づけたのだった。
サーシャは笑いながら、「飛行機の墜落事故でなくなるなんてね、お前も哀れなもんだ。しかも、休み中だよ。まあ、しかし、おかげで、俺は一人ぼっちじゃなくなる、ある意味良かったよ」と言った。
そうだ、僕は一人ぼっちじゃないんだ。
ほっとして胸をなでおろし、いい気分になった。

(連載賞とオリジナリティー賞は舞さんが貰います。)

停電

2005-07-16 22:42:49 | 連歌小説集
 停電が起こったのは土曜日の午後5時過ぎだった。まだ寝る気がなかったから、久々に最寄の公園へ行ってみた。今日は最寄の公園で花火大会が開かれることになっているのだ!
 日々仕事で忙殺されている身には、花火という非現実的な世界に浸れる機会は実に貴重なのだ。花火だけでもワクワクしてしまうのに、今日の花火大会には僕が愛して已まない毒蝮三太夫師匠がゲストで登場するというのだから、余計にワクワクしてしまう。身近であの「ババア長生きしろよ。」という決め台詞が聞けるかもしれない。
 そう思うと、1週間前からこの日が楽しみでならなかった。
花火が始まった。まず一発目が打ちあがる。すごいきれいだ!!花火なんて見たのは何年ぶりだろう。小さい頃は、よく家族で花火を見に行ったものだった。僕の家では、夏に家族で花火を見るというのは定番だった。あの頃はよかったな~。懐かしい・・・。花火は僕にとってどこか特別な行事なのだ。
 懐かしさに浸っていると、小さい僕にそっくりな男の子が近づいてきた。その男の子は独りで、周りをきょろきょろしながら、歩いていたので、僕は心配になり、思わずその子に話かけた。「迷子になったの?お父さんとお母さんはどうしたの?」
 すると、僕の隣にいた人が不思議そうに僕を見た。隣から声が聞こえてくる。「あの人、大丈夫かな?誰に話かけているんだろう。独り事にしては変だよね!?」と。
 どうやらその男の子は僕にしか見えないみたいだ。僕は「君は一体誰!?」と尋ねた。しかし、彼は何もしゃべらない。それにしても、この子は小さい時の僕にそっくりだ。
しばらくの沈黙後、彼はようやくしゃべりだした。
 「こんばんは。僕はあなたの望みを1つ叶えるために、遠い所からやって参りました。もし何かあれば言って下さい。午後6時には、停電になる予定ですので、それまでにお決め下さい。そして、停電が終わるまでに一つだけあなたの望みを叶えます。」
 僕は突然の申し出に、戸惑った。「いざ望みと言われても、有難い申し出だが、なかなか決められない。何にしようか?それにしてもこの子は遠い所から来たといっていたが、一体どこから来たんだ。」
 花火は僕にとって、小さい頃からの大切な思い出であり、唯一家族みんなで仲良く過ごした時を思い出させてくれる。そんな幸せも僕が10歳になる前の誕生日に父親の突然の蒸発と同時に消え去ってしまった。原因は多額の借金と父親の浮気によるものだったと聞いている。それも真実かどうか分からないのだが...そうだ、もし一つ望みが叶うなら、”父親との再会”にしよう!!しかし、せっかくのチャンスだから、ここは慎重にいかなければならない。他の望みを考えようか?
 他の望みはお金さえあれば簡単に実現できるから、やっぱり ”父親との再会”にしよう。「坊や、僕の父親が今すぐここに来るようにしてくれ、頼むよ。」
すると男の子は言った。「かしこまりました。直ぐにお連れします。しかし、あなたとお父様がお会いできる時間は停電中だけです。ご了承下さい。」
僕は言った。「ありがとう。坊や、一目でも父親に会えれば僕はそれでいいんだよ」と。
 あと3分で午後6時だ。もうすぐ父親が僕の目の前に現れると思うと、うれしいけど、やはり複雑だ。
 見えてきた男は中年というより、初老と言ったほうが適切だ。「その人は僕の親父か?放蕩のせいにしても老けすぎているんじゃないか」と思った。近づいてくる男を見ていると、泣かずにいられなくなった。
 どうやら、僕に近づいてくる男は父親のようだ。彼の目も涙で溢れていた。僕は気がついたら子供みたいに泣きじゃくっていた。僕がいつも思い描く父親は、僕が小さい時に感じていた力強い”ヒーロー”であった。しかし、僕の目の前に現れた父親はそのような面影は何も感じられず、髪の毛は真っ白で、腰が曲がり、やせ細っていた。彼の形相から頑固さは感じられるが、威圧的な雰囲気は感じられない。僕は何と声を掛けていいか分からず、また父親もタダ泣いているだけで、二人の会話が始まらない。
 何と声をかけようか??
 この気まずい雰囲気を打ち砕くかのように、大きく”ドカ~ン!!”と花火が打ちあがった。二人の視線は自然と花火へと向けられ、ようやく二人の顔に笑顔が戻った。二人とも昔、家族みんなで花火を見に来ていた時の事を思い出したようだ。僕と父親はほぼ同時に"Those were the good days!"と言っていた。
 間近で見る父親はとても優しい目をしていた。そして、穏やかにしゃべり始めた。「死ぬ前から、ずっと会いたかったんだよ。今日は呼んでくれてありがとう。」僕は言った。「え!?いつ死んだの?」
 僕は父親が死んでいたなんて初耳だったので、とてもびっくりした。
父親は悲しそうに答えた。「去年の暮れに、胃癌で死んだんだ。」
そういえば、父親はヘビースモーカーだった。
 停電もそう長くは続かないだろう。現実で再び会う事はもうできない。せっかく会えたのだから、何かを伝えたい。しかし、色々な記憶が頭の中を駆け巡り、どんな言葉から発せればいいのか分からない。
 何かを言わなければという想いが、僕にプレッシャーをかける。
僕は、勇気を持って話し出した。
「じつは・・・ぼく・・・」
父は、温かい目で・・・見つめていた。
「じつは・・・ぼく・・
男やめたんだ・・・・。」
「知っていたよ。死んでから、お前の事はずっと見ていたんだ。お前には俺の事は見えないから話ができなくて、悔しかった。例えお前が性同一性障害だうが、俺は気にしない。早く、ボーイフレンドでも作って幸せになりなさい!そうすれば、俺も安心して向こうの世界で暮らせるじゃないか。」
 僕は父親の温かさを身にしみて感じた。「性同一性障害であることを父親に告白するのは、何か後ろめたさを感じていたんだ。ありのままの僕を受けて入れてくれてありがとう。」
 性同一性障害を打ち明けたとこによって、僕の気持ちはすごく楽になった。性転換をする前に、やはり僕を生んでくれた両親には伝えておきたかった。
 これからは僕ではなく、”私or あたし”とどうどうと言えるんだ!!!
 僕と父親の再会をそばで見守っていた、小さい頃の僕に似た男の子は言った。「停電は、あと5分で終わりです。5分後には僕とあなたのお父様は、消えてあなたには見えなくなってしまうでしょう。悔いの残らないように、貴重な5分間を最大限に利用して下さい。」
 やや久しぶりに坊やの声を聞いた気がした。父親とあって、25分程しか経過していないが、僕は1時間ぐらいは父親と一緒にいたような気がしていた。「坊や、ありがとう。君には本当に感謝しているよ。あと5分で君と僕の父親にはもう会えなくなってしまうんだね。」
 僕は性同一性障害であることも打ち明けたし、その他にも父親とは父親と過ごした時の思い出話も沢山した。伝えたい事は全て言った気分だった。残り5分は、二人で花火を楽しもう。やはり最後は花火で思い出を締めくくりたい!僕はこの30分を永遠に忘れる事はないだろう。父親が消えるまで刻々と迫ってくる。58秒、57秒、56秒、55秒...
もうまもなく父親とお別れだ。最後に父の横顔をまぶたに刻んでおこう。父はとてもいい顔をしている。そんな父の横顔を見ていると、何だか自分の父親がとても誇らしく思えた。父にこうして会う前は、浮気と借金を原因に僕と母親をおいて、蒸発してしまった事に関して文句を言ってやろうと思っていた。しかし、父が死んだ今となっては、そんな事はどうでもよくなった。あと、残り5秒だ。父親と僕は笑顔で向き合う。あと5秒、4秒、3坊、2秒、1秒...父親と男の子はとうとう消えてしまった。
 停電が終わり、現実に戻った。花火もいよいよクライマックスだ。観客の歓声も激しさを増してきた。
 花火が終われば、僕は真直ぐ帰宅する。そして、また僕はいつもと同じ時刻に起き、いつもとそう変わらない日常を過ごすのだろう...いつもと同じように仕事に忙殺されながら...

(連載賞、オリジナリティー賞は名乗らなかった方が貰います。ハンドルでもいいから、賞が貰えるように名前欄に何か書いてね。)

やっぱり警察に届けるべきだった

2005-07-02 21:50:41 | 連歌小説集
帰り道に、誰かの携帯を見つけた、
警察に届けるべきだったが、
電話帳をみて警察に届けるのをやめた。
元彼の電話番号があったから。「これは誰の携帯?」
思わず、メールを見てみたくなった。
私はこの携帯電話の持ち主を電話番号等から調べてみた。驚いた事に、その持ち主は私と元彼の共通の友達A子であった。
元彼とA子は頻繁に電話したりしている。もしかしてこの二人付き合っているのか?
彼と別れて3ヶ月もたってないのに…
それに、A子は私の元彼のこと、ぜんぜんタイプじゃないって言ってたのに、なぜだろう
携帯のメールは一つも残らず消されている。もし彼と交わしたメールがあれば、いろいろ分かるのにな~。
メールを全部削除してある…。それぐらい人に読まれたくなかったのか。
偶然に見せて、携帯を見つけてもらうためにわざと捨てたように思えてしょうがない。
そうだ。A子の振りして、この携帯で元彼にメールをだしてみよう。「出来ちゃったみたい、、、どうしよう」
直ぐに彼からの返信が届いた。
メールには
「お!A子?元気か?。今日、いつもの喫茶店で会えるかな?」
と書かれていた。
彼はA子からのメールと思っている。
やっぱり、そうだったか!
むかつく!「新しい彼ができたか」とかA子が私に聞いてたのがそんなわけだったか。
彼に会いにいく途中A子にばったり会った。(これも偶然かな…?)
「話があるんだけど、少しだけ付き合ってくれる?」A子が私に言った。
「ああ、そうか。聞こうじゃないか。」 
口には出さなかったけど、そう思った。
「ああ、いいよ。でも、これからちょっと約束があるので、30分ぐらいしかできないけど」
ああ、そうだ、そういえば、“いつもの店”は私が知らない。どうしよう?この機会にA子から何とか聞き出せないかな… と私は思った。
何で、別れた彼のことがこんなに機になるんだろう。自分でも不思議になった。
「で、話って何?」私はA子に聞く。
「実はね、“いつもの喫茶店”というのはあの角を曲がったとこの漫画喫茶店なんだ」とA子は言う。
「でも、彼は、A子が彼からできちゃったって思っているよ。たぶん今すごく慌てているだろうね」と私はできるだけ冷静に言った。
するとA子が笑って、
「本当に“できちゃって”たら、彼は相当がっかりしただろうね。なぜなら、それは、“彼からできちゃった”じゃなく“彼ができちゃった”ということになるからね。」と言う。
今度私はもう冷静さを完全に失ってしまった。
「いったい何が言いたいの?!二人して人をあざ笑って!」
すると、A子が言った:
「この劇は、全て彼が作ったの。最初から最後までね。彼があなたの気持を確かめたかったんだ。
A子に聞いた。
「それで、彼は私の事をどういっているの?気持ちを確かめたかったって…。こんな一芝居打たれたら、普通冷めるよね?言いたい事があるなら、私に直接言うように伝えといてもらえるかな?A子さん!!!」
「気になるなら、自分で確かめてみたら?彼、あの場所であなたが来るのを待っているから。それとも、にげるの?」A子は私に告げると立ち去って行った。
私はこういうやり方は好きではない。
彼に会うのは辞め、帰宅する事にした。
むかむかしながら、歩いていると、前方から彼が歩いてきた…。
『このまま気づかないふりをして通り過ぎるべきか…それとも
今回の事について何か言ってやるべきか…。』
私は迷いながらも、歩き続けた。
彼はまだ私の存在に気づいていないようだ…。
彼との距離が近づいていく・・・
「あら、コンニチワ!、元気?」と明るく、何事もなかったようにさらりと言った。心の中で、「こんな男だったのか。熨斗付けて、A子にくれてやるわ」。
彼も明るく話かけてきた。彼の真意を確かめようと思い、何気ない仕草も見逃さないように彼との会話に神経を集中した。一つはっきりしているのはA子と彼が交際していないという事実・・・
A子と交際してないことが分かったとしても、私のことはどうなのかな?こんな芝居をして、私に戻ってほしいというか?
話をしていると私は吹っ切れたつもりだったが、まだ彼の事が好きだという事を確信した。先日彼には「一緒にいると重たいから別れたい。」と言われて振られた私。私の気持ちを確かめるのが、彼の目的のようだが、彼は私をもう一度受け入れる気はあるのだろか?しかし、彼の話を聞いていると、私とよりを戻したいという雰囲気は感じられない・・・。彼の友達でも紹介されるのかな・・・!?
バカらしいと思いながら、彼に近づいて、思いっきりキスをした。そして、「さようなら」と言って立ち去った。

花子の恩返し

2005-06-27 05:59:41 | 連歌小説集
朝、寝ていたら、
電話がなった。誰だと思ったら、
間違い電話だった
いや、違う。間違電話というより
いたずら電話に近い間違い電話だった。
か細く、弱々しい女性の声で、
「私は花子と申します。彼氏に振られて、自殺をしたい気分です。死ぬ前に適当に電話番号を押して、あなたにつながりました。話は何でもいいから、電話を切らないでください。」
それを聞いて私は急に腹が立ち電話を切ると、まだ寝ているはずの祖母の部屋へ向かった。
すると、いつも寝ている時は閉められている障子が数センチほど開いている。
そっと中を覘いて見ると、祖母は窓の外を、まるで何かが現れるのを待つようにじっと眺めていた。
突然、背中越しに声をかけられ驚き、振り向きざま声をなくしてしまった。
それは12年前に亡くなった祖母の夫、祖父でした。
祖父は「元気かね」と聞いたけど、返事の代わりに、
驚愕して、私は祖父に言った。「おじいちゃん! 亡くなったおばあちゃんの服を着て化粧なんかして、いったいどうしたのよ?」
照れくさそうに、「似合うかい?」と言いながら、祖母に近づいた。
ええ、まるでおばあちゃんみたいだよ、と私は言った。12年間、寂しさをこれで何とか凌いできたんだろうと思うおじいさんが切なく、いとおしくなった。
次の朝寝てたら、また電話がなる。
あの泣きそうな声、
花子と名のる女性は静かに言った。「なぜ電話を切ったのですか…?」私はまた無性に腹が立ったので、仕方なく彼女に言葉をかけてあげた。「死んで気が済むなら、死ねばいいじゃん…」と。
彼女は何も言わずに電話を切った。
次の朝、寝ていたら、ベルが鳴った。ドアを開けると、警察官が立っていた。
しかも、恐ろしい形相をした、警察官が2人も、
警察官は私を睨むとこう言った。
「小説の流れが不自然です。」
しかし私もぶっきらぼうに、
「そんなことはない。」
と言い放った。するともう一人の警察官が、玄関に唾を吐きながら、
「望みは何だ?」
と言った。私はあの花子の電話に対するものと同じ腹立たしさを、この二人の警察官に猛烈に感じた。そして、
「死ねえ」と思ったが、やっぱり声にしなかった。偽警官じゃないかなとも思った。そして、緊張のあまり振るえる声で、「警察手帖を見せてください」と言った。
「代わりにあなたの上手く書けていない小説をお見せしましょう。」と言われた。
私は小説家なのに…気がつけば最近は全くストーリーが書けなくなっていた。
「よけいなお世話だ。」
警察官は実は編集者だった。
それから数日後、また電話がかかった。例の消え入りそうな女の声で。「なんなんだ!この女」
私はついに堪忍袋の緒が切れた。
私は女に「ふざけるな!!」と怒鳴りつけた。
すると女は震えた声で言った。「わたし…実は私はあなたの小説のファンなんです...」
私、「はっ!?」