大阪のラーメンシーンを代表するラーメン店。JR大阪駅又は阪急、阪神梅田駅からのアクセスは良いのだが、いかんせん、わかりにくい路地裏に店舗を構えており土地勘がない者にとってはおそらくかなり辛い立地条件であろう。神戸で生まれ育ち大阪を遊び場とする青年期を過ごした私であっても全く迷うことなく店にまで辿り着くことは難しい。
店の外観は、お世辞にも最近主流となっている子洒落たものであるとは言えず、どちらかと言えば数十年前の大衆食堂を彷彿とさせるような店構え。とは言っても、最近の流行のひとつである敢えてレトロな装飾を施したものとも全く異なる。ちょっと言葉では表現しにくいのであるが、ラーメンが大
衆に普及し始めた当時に出来たラーメン屋の外観がそのまま何の変更も加えられることなく残っているという感じか。個人的な感想になってしまうので恐縮なのであるが、いかにも大衆の街、食の街大阪に相応しい店構えだと思う。ただし首都圏の最近のラーメン屋に慣れ親しんだ者にとっては入店するだけでもなかなかの勇気が必要とされるような店構えである。
かく言う私もその例には漏れず、店の前で「入ろうかどうしようか」と相当迷ったことをここで告白しておこう。都合の良いことにちょうど揚子江本店の斜め前の店が大行列を作っていたので、そちらに入ろうかとも思ったくらいである。しかし、間もなくその大行列の主が「一風堂」であることが判明し、「選択の余地なく」揚子江本店の暖簾を潜った次第なのであった。まさか、わざわざ関西にまで来ているのに「一風堂」でお茶を濁すわけにもいかないだろう。
暖簾を潜って初めて見た店内の光景は、これまでに訪問したいかなるラーメン屋とも異なるこれまた「大衆食堂然」としたもの。予想よりも遙かに広い店内スペースは不思議とラーメンを作っている店のような雰囲気がいささかも感じられず、あたかも異空間に迷い込んでしまったかの如き錯覚に陥ってしまう。
とりあえず、いかにも長年この店に心骨を捧げてきましたよといった感じの人の良さそうなスタッフのお祖母さんに「ワンタンメン」をオーダーしたが、そのメニューが出てきた瞬間に私が入店した時から感じていた違和感の理由のひとつが判ったような気がしたのであった。すなわち、ラーメンがあまりにもアッサリしすぎているがために丼から全くラーメンの匂いが漂ってこないのだ。もちろん、厨房からもラーメンの匂いは立ち上らない。店内全体が完全に無臭なのだ。
もちろんそのような感じであるから、スープもよくよく吟味すれば塩らーめんなのかなといった感じはするが、慎重に吟味しなければそれすらも判らないような「風が吹けば倒れてしまい」そうな繊細な味付け。
そのスープに合わせられる麺はビジュアル、テイストともにまるで素麺のような代物であり、もはやこれはラーメンというよりも新手の素麺とでも言った方が適切なのではないかと声を大にして主張したいような状況なのであった。
が、これが結構美味い。旨いとはいってもそれ程メチャクチャ旨いわけではないが、「リピートなどは有り得ない」と断言できるような悲惨な代物では決してない。欲を言えば、麺がもう少し硬く、芯をしっかり残して茹で上げられていればベターなのに、といったところ。
ちなみに、この店には無料のトッピングとして卓上に「揚げネギ」が据え置かれているのであるが、スープにこの揚げネギを投入すれば間違いなくスープのレベルが飛躍的にアップする。御丁寧にも「スプーン一杯以上の揚げネギを加えるのは健康に良くないので止めましょう」という注意書きが書かれてあるのだが、個人的な感想を申し上げれば、加えれば加えるほどスープの旨さはアップすると思った。ひょっとして私は味音痴なのか。いやいや。ラーメン課長としての自分の首を絞めるような発言は慎んでおこう。
具は問題なく凡庸であると言い切ってしまっても差し支えない。
好みによって評価がまっぷたつに分かれそうな揚子江本店のラーメンであるが、私は麺:8点、スープ:12点、具:2点、バランス:7点、将来性:6点の合計35点と程々の評価を与えておきたい。
ただし、上記の評価が「揚子江」の実力をそのまま端的に表現できているとも思えないのは、おそらくこの店のラーメンには上記の要素では表現することができない「独特の旨さ」があるからなのかも知れない。麺、スープ、具、バランスともに決してレベルが高いわけではないのにもかかわらずなぜか旨いのだ。評価は35点になったが、旨さはこの得点エリアにある他のラーメン屋よりは間違いなく上であろう。とにかく不思議なラーメン屋である。
所在地:大阪市北区梅田
実食日:2004年2月
→採点方法について
店の外観は、お世辞にも最近主流となっている子洒落たものであるとは言えず、どちらかと言えば数十年前の大衆食堂を彷彿とさせるような店構え。とは言っても、最近の流行のひとつである敢えてレトロな装飾を施したものとも全く異なる。ちょっと言葉では表現しにくいのであるが、ラーメンが大
衆に普及し始めた当時に出来たラーメン屋の外観がそのまま何の変更も加えられることなく残っているという感じか。個人的な感想になってしまうので恐縮なのであるが、いかにも大衆の街、食の街大阪に相応しい店構えだと思う。ただし首都圏の最近のラーメン屋に慣れ親しんだ者にとっては入店するだけでもなかなかの勇気が必要とされるような店構えである。
かく言う私もその例には漏れず、店の前で「入ろうかどうしようか」と相当迷ったことをここで告白しておこう。都合の良いことにちょうど揚子江本店の斜め前の店が大行列を作っていたので、そちらに入ろうかとも思ったくらいである。しかし、間もなくその大行列の主が「一風堂」であることが判明し、「選択の余地なく」揚子江本店の暖簾を潜った次第なのであった。まさか、わざわざ関西にまで来ているのに「一風堂」でお茶を濁すわけにもいかないだろう。
暖簾を潜って初めて見た店内の光景は、これまでに訪問したいかなるラーメン屋とも異なるこれまた「大衆食堂然」としたもの。予想よりも遙かに広い店内スペースは不思議とラーメンを作っている店のような雰囲気がいささかも感じられず、あたかも異空間に迷い込んでしまったかの如き錯覚に陥ってしまう。
とりあえず、いかにも長年この店に心骨を捧げてきましたよといった感じの人の良さそうなスタッフのお祖母さんに「ワンタンメン」をオーダーしたが、そのメニューが出てきた瞬間に私が入店した時から感じていた違和感の理由のひとつが判ったような気がしたのであった。すなわち、ラーメンがあまりにもアッサリしすぎているがために丼から全くラーメンの匂いが漂ってこないのだ。もちろん、厨房からもラーメンの匂いは立ち上らない。店内全体が完全に無臭なのだ。
もちろんそのような感じであるから、スープもよくよく吟味すれば塩らーめんなのかなといった感じはするが、慎重に吟味しなければそれすらも判らないような「風が吹けば倒れてしまい」そうな繊細な味付け。
そのスープに合わせられる麺はビジュアル、テイストともにまるで素麺のような代物であり、もはやこれはラーメンというよりも新手の素麺とでも言った方が適切なのではないかと声を大にして主張したいような状況なのであった。
が、これが結構美味い。旨いとはいってもそれ程メチャクチャ旨いわけではないが、「リピートなどは有り得ない」と断言できるような悲惨な代物では決してない。欲を言えば、麺がもう少し硬く、芯をしっかり残して茹で上げられていればベターなのに、といったところ。
ちなみに、この店には無料のトッピングとして卓上に「揚げネギ」が据え置かれているのであるが、スープにこの揚げネギを投入すれば間違いなくスープのレベルが飛躍的にアップする。御丁寧にも「スプーン一杯以上の揚げネギを加えるのは健康に良くないので止めましょう」という注意書きが書かれてあるのだが、個人的な感想を申し上げれば、加えれば加えるほどスープの旨さはアップすると思った。ひょっとして私は味音痴なのか。いやいや。ラーメン課長としての自分の首を絞めるような発言は慎んでおこう。
具は問題なく凡庸であると言い切ってしまっても差し支えない。
好みによって評価がまっぷたつに分かれそうな揚子江本店のラーメンであるが、私は麺:8点、スープ:12点、具:2点、バランス:7点、将来性:6点の合計35点と程々の評価を与えておきたい。
ただし、上記の評価が「揚子江」の実力をそのまま端的に表現できているとも思えないのは、おそらくこの店のラーメンには上記の要素では表現することができない「独特の旨さ」があるからなのかも知れない。麺、スープ、具、バランスともに決してレベルが高いわけではないのにもかかわらずなぜか旨いのだ。評価は35点になったが、旨さはこの得点エリアにある他のラーメン屋よりは間違いなく上であろう。とにかく不思議なラーメン屋である。
所在地:大阪市北区梅田
実食日:2004年2月
→採点方法について