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ひょっこり猫が我が道を行く!

カオスなオリジナル小説が増殖中。
雪ウサギが活躍しつつある、ファンタジー色は濃い目。亀スピードで更新中です。

新年☆あけましておめでとうございますりゅ(^o^)丿☆☆

2013年01月02日 15時26分24秒 | 日記


【登場人物】
このブログの管理人☆雪ウサギラクト
元人間のリオ

***

「うっへっへ☆ 見よ! 私のドアップ絵を~~☆ルンタッタ、ルンタッタ☆」

「ラクト~、半年以上もこのひょっこり猫をほったらかしにしてたばかりか、いきなり出て来てなんなのコレはっ」

「ひょっこり猫の年賀状みたいなもんだよ。いいじゃん、こんなに可愛く出来たんだからさ☆」

「よくない! どうしてラクトだけなの。私も描いてよ」



「ジャンッ! どう、良い出来…?」

「おぉっ、お?」

「リオのおヒゲ、かたっぽのヒゲがない! あーっはっはっ、にょぉぉ~~」

「ゲラゲラ笑う暇があったら、付け足してよ。ラクトのイジワルっ」

「うへへ、ちゃ~んと描いたもんね☆ それぇ~☆☆」



「良い出来栄えの方のリオです、どうだ♪」

「やれば出来るじゃん、ラクトぉ~。てか、人間は描かないの?」

「……実は、サボってる間に描けんくなっちゃった☆」

「あー、私以外の人は怒るな。ご愁傷さま、ラクト」

ひょっこり猫の明日はどうなる。

ロマンシング獣記の目次

2012年07月22日 16時00分01秒 | 小説作業編集用カテゴリ
ロマンシング獣記 

二次小説です。作者の妄想をプラスしたもの、もしくは欲望を入れさせていただきました。

ご注意。猫ラブにつき、猫がある意味最強です。喋ります。二足歩行で歩きます。

ファンタジーありき。戦闘描写とほのぼのが入れ混じっております。


プロローグ

001 シノンの森で

002 リオの初陣

003 ミカエル陣営

004 北方の町ポドールイ

005 レオニード城

006 体の触れ合い、心の触れ合い(1)

007 体の触れ合い、心の触れ合い(2)

008 ポドールイの洞窟

009 ロアーヌへの帰途

010 リオの新たな冒険

011 ピドナと魔王殿

012 ミッチ救出イベント(1)

013 ミッチ救出イベント(2)

014 深窓の姫君 夢魔編―零―

014 深窓の姫君 夢魔編 ―零―

2012年07月22日 15時41分35秒 | 小説作業編集用カテゴリ

「はぁっ、はぁっ・・・」
「おぉ、ミューズ、ミューズ、私の愛しい娘・・・どこに行くのだ」 
「もう止めて、何で、ここにいるの?」
「愛しい娘、さぁ、よく顔を見せておくれ」
「や、止めて、お父様、苦しい・・・」

「・・・さま、ミューズ様! 大丈夫ですか?」
「はっ、はっ、シャール・・・?」

 早朝。
 窓から差し込む柔らかな光が室内を照らす。
 目を覚ますと、よく見知った自分の従者が心配そうに顔を覗き込んでいた。
 流れた汗により顔がべとつく。銀色の髪を優しく整えられ、あたたかな湿ったタオルでそっと拭われた。

「何か気に障る夢でも見たのですか? さぞ怖かったでしょうね、もう大丈夫ですよ」
「・・・シャール、さっき見た夢は本当に怖かったの。でも、現実には起こらない事なのよ? お父様はもうこの世には居ないし、何より私の首を絞めるなんて事は絶対にしない人だったもの!」
「承知致しております。かつてのミューズ様のお父上様なら、例えるなら貴方を目の中に入れても痛くないような可愛がりようの・・・」
「シャール、それを親バカと言うのではなくて?」
「世間ではそうも言いますね。さぁ、顔を洗って来て下さい。髪を梳かしましょう」
「・・・シャールったら!」

 体を従者に寄せて、震えが止まるまで抱きしめてもらっていた。
 深呼吸をし、やっと呼吸が安定するとベッドから降りる。
 質素な軽めの靴を履き、一室を出て井戸のある場所へと出る。
 あらかじめ溜めてあった石造りの水槽から一定量の水を樽から掬い上げると、それを両手で掬って顔を洗った。
 旧市街にある水道事情は、新市街よりも設備が整っていない。
 しかしシャールや旧市街に住む住民の手によって、かつてのお嬢様であったミューズに住みにくさなど感じさせる事なく過ごせる様にはなっていた。

「・・・あれは幻なのよ、お父様は、もう居ないんだから」

 顔を洗い、瞼を閉じる。
 すると浮かび上がるのは父の姿。
 自分の首を絞め、殺そうとした悪意ある幻影(まぼろし)。そう自分に言い聞かせて、シャールの元へと戻った。

「シャール、お待たせしました」
「どうぞこちらへ。さぁ、髪を梳きましょう」

 大きな鏡がある鏡台の前の椅子に座り、柔らかなブラシで梳かれる。
 腰まである長い銀髪は、毎日手入れをされているので艶やかで滑らかな状態を保っていた。

「フンフンッ♪」
「おや、先程の時とは一転して、やけに嬉しそうですね。リオが来るからですか?」
「うふふっ、そうなの、サラちゃんやエレンさん、リオちゃんが来るのが楽しみなのよ」
「リオ・・・人間の言葉を喋れる猫のリオですね。彼女が来てくれると、暗い部屋が一気に明るくなる」
「あんなに可愛い猫ちゃんを抱っこするのは久しぶりなのよ。今まで動物なんて触らせてくれなかったから・・・っと、リオちゃんを動物なんて言っちゃダメよね?」
「それは・・・彼女、リオは人間くさい猫ですからね。もしかしたら憤るかもしれません」

 二人して純白の猫を思い出す。
 部屋の中で胡坐をかいて欠伸をし、難なく繰り出す二足歩行は、猫に人間を足したような寛ぎ様だった。

 ***

「ニャオー、ご機嫌麗しくておこんにちは、ミューズさんにシャールさん!」
「こんにちは~!」
「こんにちは、お邪魔するよ」 
「いらっしゃい、どうぞ入って。ね、シャール」
「ああ、よく来てくれた。好きな所で寛いでくれ。ん・・・リオ、トーマスは?」
「今日は用事があるって! だから3人で来ちゃったんだよ」 

 姉のエレンに妹のサラ、サラに抱き寄せられた純白の猫リオ。女の子三人がミューズ邸を訪れていた。
 近所に住む少年ミッチを魔王殿から共に救出した一件以降、一時であるがパーティに加わり戦闘するなどしてから親しくなった。

「ニャ、これはもしや猫じゃらし!」
「うふふ、サラちゃんから聞いて、シャールに用意してもらったの。い、良いかしら、リオちゃん・・・」
「ふぬぬ、良いも悪いも、これを見た後で猫の本能が止まらニャ・・・ぬがぁっ!」

 決して広くはないし煌びやかでもないが、それでも室内の空気は穏やかで温かみに満ちていた。
 主でもあるミューズは、普段の病床にも負けない気概で、一心不乱に猫じゃらしを振り続ける。旧市街に来てからの、今まで一番楽しそうな表情を見せていた。
 この穏やかな時が一生続き、主の体が健康であれと、シャールは願わずにはいられなかった。

「ふー、ふー、ミューズさん、なかなかやりますニャ・・・」
「はぁ、はぁ、リオちゃんこそ、可愛い顔して俊敏な動きをするわね・・・」
「ミューズ様、リオちゃんは私達と一緒に冒険してきたんです。だから普通の猫よりもっと素早く動けるんですよ?」

 妹のサラが身を乗り出し、リオの顎をゴロゴロと擦り出す。
 白い猫は気持ち良さげに身を委ねていた。

「まぁ、そうなの?」
「私達よりも早く動くよ。ねぇ、リオ?」
「エレン姉さまに褒められると、照れますニャ~」

 サラの姉・エレンに褒められ猫の体をもじもじ、右手で頭をかいて照れ隠しをする白い猫リオ。人間くさい彼女こそがトーマスら含めたパーティの要だと、シャールは瞬時に悟った。
 
「リオちゃんは良いなぁ、私も一緒に冒険してみたい」

 ミューズはうっとりした表情で外への想いを馳せる。
 リオを見ると木漏れ日の中から覗く太陽を思い出す。きっと激しく運動しても体に支障はないと思えるくらいに。

「ニャ、ミューズさんもいつか外へ行けるようになるよ!」
「もしそうなったら連れて行ってくれる?」
「そうだね、シャールさんの許可を得てからかなぁ」
「シャール・・・」
「はい、そこまでです。ミューズ様はまだ外へはお連れ出来ません」

 ミューズのおねだり眼力を跳ね除けた従者のシャールは、薬の時間だと言ってミューズに薬湯を用意した。無臭なのか、緑色でドロりとしている。

「シャール、今日のところは引き下がるわ。でもいつかは・・・ね?」
「ミューズ様、分かって下さい。お願いします」

 普段はあまり感情を露わにしないシャールの困り様に、リオを含めた三人は一様に目を丸くした。結局のところ、シャールはミューズに弱いのだと決定付ける事にしたのである。

 ***

「ニャオッ、それでね、ガウラッていうカイナがお馬鹿でどうしようもないKY(空気読めない)なんだよ」
「プククっ、リオちゃんの話って面白い! でも動物って、普通は空気を読むものなのかしら?」 
「はて、読むのではないでしょうか」

 小首をこてりと傾けて疑問していると、リオの後ろからサラが力強く抱きしめて頬ずりしていた。サラ曰く、今の動作は究極の萌えに入るらしい。

「リオ、野生の勘の事を言っているのか? それとも場の空気を読めない、そっちの意味で言いたかったのか」
「そうそれ、場の空気が読めないオスの獣だったの!」
「リオちゃんは、そのガウラが大好きなのね」
「ニャ――?」

 楽しいお喋りの時間は過ぎ、時は夕刻を迎える。
 緋色の温かな光が窓から暗い部屋を照らしている。
 そろそろミューズ邸からお暇しようかと、女三人は身支度していた。
 
「楽しかったよ、ミューズさん! また明日来ても良いですか」 

 リオを抱き締めてまた来てほしいと、三人に言う。
 こんなに大勢のお客は本当に久しぶりだった。
 さよならと手を振り返すリオ達と、入れ替わりに入って来たのはミッチの遊び仲間の少年だった。
 少年を中に招き入れ、いつもの楽しい夜は過ぎる――しかしそれは、安寧とは間逆の始まりを告げる序章に過ぎなかった。


013 ミッチ救出イベント(2)

2012年07月22日 15時41分35秒 | 小説作業編集用カテゴリ

「エキドナや羅刹を見た後だから、もう驚かないとタカを括っていたんだが・・・駄目だな、ここでは常識もクソもないらしい」

 羅刹を倒した後、一同は更に奥へと進む。すると広い広間に出た。
 階段から見下ろすと、そこには魔物がうようよと蠢いていた。妖精や悪魔系の魔物がわんさかいる。

「ニャ、きっとここには陽の光が容易には届かないから、絶好の場所なのかもね。地下へ進むほど魔物が多いや」
「太陽が届かない割には、建物の中はよく見えるんだけど」 
「何かの力でも働いてるのかもしれないな」

 ごもっともなサラちゃんの意見に一同は不思議がるが、まずはミッチを救出しようと思考を張り巡らせた。魔物が蠢くこの広間で、どうやって魔物に捕まらずに移動したらいいのか考えないと、進む事が出来そうにない。

「わ、私が囮になるよ」
「リオ?」
「え、やだ、何でリオちゃんが囮り役になるの? ヤダよー」
「そうだよリオ。あんたはあたし達と一緒に行動しなきゃ」

 駄々をこねるサラちゃんとエレン姉さまの手にペロリと一舐めして、シャールとトーマスに向き直る。
 
「私が一番素早いんだよね? それに私猫だから、魔物には興味が向けられないかもしれないじゃない」
「そうだが・・・」
「やってみる!」

 棍棒を背中の風呂敷に縛り付け、たかたか二足歩行で走ると小柄な妖精に見つかってしまった。私の姿を視界に納めると、ニヤリと不気味に笑い、背中の羽をはばたかせながら襲いかかってきた。

「ね、猫でも駄目だった~~」

 さらに急いで逃げ回る。ここの魔物は動きが鈍いので捕まる事は無かった。
 この部屋の柱の陰に魔物が潜んでいる事は、ゲーム画面越しでプレイした者なら誰でも分かる。
 予測して並居る魔物を寄せ付けず、さらに調子に乗って一匹で大広間の中央を駆け抜けてしまった。

 ***

「・・・一匹でここまで来ちゃったよ」

 さらに奥の部屋にある広間に出た。
 この部屋はさすがに一匹では無謀と思うのだが、どうしてもある行為を今、しておかねばならない。
 アビスゲートはさらに地下深くにあるし、またこの行為をする為だけに戻るのは愚かしいと思ったので突っ走ってしまった。

「なんかないかな・・・」

 ここは骸骨だらけのお部屋だったハズ。うんうん唸ってても始まらないので忍び足で行く事に。するとまた柱の陰に隠れていた骸骨がわんさか出て来た。

「ニャオッ、猫は、猫は食べても・・・美味しくなんかないんだから」

 ゼェハァ言って逃げ回ってると、扉の前まで来れたようだ。
 毛むくじゃらの手をそっと当てて押してみる。

 『指輪を・・・』

「よっしゃ、声聴いたらもう終わりだもんね☆」

 素早く後ろを向くと骸骨達が間近に迫ってきていた。
 絶対絶命の言葉が脳裏に浮かび上がった瞬間、槍技の石突きが繰り出されていた。

「シャールさん??」
「すごいなリオは。君一人でここまで来れるなんて」
「ミッチ少年はどうしたの?」
「無事に見つかったよ。と・・・話は後だ、ここから脱出する!」

 シャールさんの背中におぶせてもらって、この広間から脱出した。
 朱鳥術、槍術に長けたシャールさんにかかれば、その辺の弱い魔物では太刀打ち出来ないらしい。
 サラちゃん達と合流した私達は、来た道を戻って魔王殿の外にまで無事に出れた。 

「ミッチが見つかったのは君たちのおかげだ。本当に感謝する」
「ニャ、良かったですね!」
「ホント、リオちゃんも帰って来た事だし、よかったよぉ~~」
「リオは毎回突っ走るんだから」
「ミッチ、もう魔王殿の中まで入るなよ」

「うえーーん、ゴメンナサーーイ!」

 モヒカン頭のミッチを連れて、シャールさんは旧市街のミューズさんの居る家へと帰って行った。 
 サラちゃんに抱き寄せられながら頬ずりされ、私達もピドナの新市街にあるトーマスの家へと向かう。
 

 ***


「今日はゆっくり食べて寝てくれ。それから、寝る前に耳に入れておいて欲しいんだが」
「ニャ? どうしたのトーマス」

 トーマスの家で御馳走を頂いた。
 クリームスープとホクホクの白いパン、果肉とソースを組み合わせたステーキ肉。大豆と魚の盛り合わせなどの栄養満点な食べ物だった。
 皆でペロリとお皿を空にして、お風呂にしっかりと浸からせてもらったのだ。
 そして今、エレン姉さまとサラちゃん、猫の私とトーマスは客間に居る。

「また後日ミューズ様の家へ行く事になったんだが、エレンやサラ、リオはどうする?」
「ニャ、私も行きたい」
「リオちゃんが行くなら私も」
「・・・皆が行くなら私もだね。暇だしいいよ」

 ミューズ様が喜ぶと言って、顔を綻ばせてトーマスは部屋を出て行った。
 次にミューズさんの家に行く時は、きっちり準備しておかないと!


012 ミッチ救出イベント(1)

2012年07月22日 15時38分50秒 | 小説作業編集用カテゴリ

 扉を押し開けると、そこには湿っぽい匂いが立ち込めていた。
 ステンドグラス風の色をした窓からは少しの陽光が入り、床や通路を少しだけ照らしている。わりと視界がはっきりするので心底安心した。

「シャール、この広い建物の中をどうやって捜すんだ?」
「うむ、少しずつ奥へ進んでミッチを捜すしかないだろう」
「あっ、ねえ、先にこっちの道を進んででみようよ」
「リオちゃん、先に行っちゃダメだよ」

 剣を持ったトーマスと体力の高いシャールさんを前衛に、一同は右側の奥にある暗い部屋へと入る。
 後衛は猫の私、エレン姉さま、姉さまの妹サラちゃんでしっかりと組み込まれていた。突き進むと、一つの小さな部屋を見つける。

「・・・何だこの部屋は?」
「真ん中の床に小さい魔方陣があるね」

 部屋の中に一同入る。
 エレン姉さまが近づいた時、魔方陣の中の空間がいびつに歪んだ。
 
 オォォォォ・・・

「な・・・なんだ?」
「! エレン、下がれ、早く!」
「え? うん」

 シャールさんの焦った様な掛け声に、一同緊張が走る。
 エレン姉さまが後ろへ下がり距離を取ると、魔方陣の中から人が現れた。両手を床につき、座り込んで身動きが取れないらしい。
 
「わっ、裸の女の人がいるよ。何か様子がおかしくない? 早く助けてあげなきゃ――」
「ばかっ、サラ、あいつの下半身をよく見ろ」
「え?」

 サラちゃんが女の人に近づく前に、トーマスが素早く止めに入る。
 人間にはあるはずがない蛇の胴体がくっついていた。
 瞳は縦筋となり、舌がチロチロと出て、今にも襲いかかりそうな形相に様変わる。

「ギャオォォォッッ!」
 
「ひっ、な、な、なにあれ・・・怖い」
「妖精系に属する蛇、“ エキドナ ”だ。あいつに捕まるとまず生きては帰れない。
 こちらに近づいて来れないのは、あの魔方陣を守護しているか、はたまた封じられてるかのどちらかだろう」
「むやみに近づけないな。仕方ない、別のルートを探るか」
「行くよ、リオ!」

 エレン姉さまに「うん!」と返事をしてこの部屋を出る。
 シャールとトーマスに促され、私達はまた一からのスタートになった。
 

 ***
 
 獣人や骸骨系の比較的弱いモンスターと戦いつつ、長い長い階段を皆で下る。
 細い通路に差し掛かった時、一匹の強面(こわもて)の鬼が徘徊していた。
 山羊に似た形の角に、耳まで裂けた大きな口、筋肉が盛りあがった体、背中には悪魔のはねが付き、二足歩行でのしのしと歩いている。

「ここまで来て羅刹とは・・・」
「この五人で勝てるかどうかだな」
「ニャ、私も頑張るよ!」

 奮起して戦う意思を表示。
 シャールは苦笑いし、トーマスは頭を撫でてくれた。
 
「よし分かった、この中で一番素早いのはリオだ。お前の脳天割り、期待してるぞ」
「任せてちょーだい!」

 みんなの歌プリーズ!! と叫びながら羅刹に突っ込む。何の事やらさっぱりらしい面々は反応してくれなかったが、即戦闘に入りこめるように各々配置していた。

「脳天わ――っ?」

 高い身体能力を生かし跳躍すると、羅刹の頭めがけて棍棒を振り下ろす。
「ポコンッ!」とおかしな音がしたが、豪腕な腕で防御されてしまった。 羅刹が攻撃へと転じる前に、後ろへ素早く跳び下がる。
 皆の期待を無碍になんてしたくないので、何か良いアイデアは無いかとちっぽけな脳みそを回転させた。  

「リオッ! くそっ、これでどうだ!」
 
 剣技・十文字斬りを叩き込むトーマス。
 羅刹はトーマスの攻撃に怯みはしたが、トーマスの剣を持つ反対側の手を掴み、ここぞとばかりに大口開けて火炎を浴びせてきた。辺りは熱気が籠り、熱さがこちらまで伝わる。

 ゴオォォォッ

「グアアアアッ!」
「いやぁぁぁ、トーマス!」
「トーマス! このっ、トーマスを離せ・・・!」

 いきり立ったエレン姉さまの右足に稲妻がほと走る。
 モンスターとの戦いで先程習得したばかりの稲妻キックを、羅刹の頭に強く叩き込んだ。
 ふらふらとよろめいてる間に、上半身に大火傷を負ったトーマスを羅刹から引き剥がすと、シャールの近くまで移動する。

「炎を塞ぎ、我らを援護せよ、ファイアウォール!!」

 朱鳥術を発動させたシャールが炎の壁を作る。
 炎の攻撃を和らげる効果を持つ壁が、一時だけ火炎攻撃から身を守ってくれた。その間に、サラちゃんが傷薬でトーマスの傷を回復するが全回復とは至らない――急がなければ!

「ニャオー・・・閃いた!」

 ピコ―ンと頭の上で電気が光り、またまた羅刹に突っ込んでみる。
 高く跳躍し、ある技を繰り出した。

「リオ専用・かめごーら割り!!!!」

 防御した腕に接触した瞬間、羅刹の体に異変があった。
 膜のシールドが体全体を覆い、ピリピリと音が鳴って力を奪う。奴の防御力を大幅に下げる事に成功したようだ。
 私が容易に扱えたのは、身体能力だけしか下げれない未完成の技だ。大技なのに致命傷を与える事は出来なかった。

「サラちゃん、お願い!」
「分かった! ――混倒滅殺・イドブレイク!」

 膝を床に付けて立ち上がった所を見逃さず、一瞬動きの鈍くなった羅刹の腕に弓矢を打ち放つ。混乱しているのか、こちら側に攻撃してこなくなった。

「リオ、行くぞ!」
「うん!」

 シャールに相槌をうち、羅刹との間合いを一定の距離で取る。
 彼は槍を持ち、私は棍棒を両手に持って二人一緒に時間差攻撃を繰り出した。陣形技の一つ、エックス攻撃だ――!

「グオォォォォォッッ!」
「やったね、シャール、リオちゃん!」
「ああ」
「ニャ!」

 雄叫びを上げて地に倒れた羅刹を見て、一同はやっとひと心地つく。
 トーマスの上半身火傷が酷かったので、ポドールイの洞窟で手に入れた生命の杖で回復した。
 杖を持ち、治れと念を込めると、緑色の淡い光がトーマスを優しく包み込む。

「・・・ん? あ・・・リオ?」
「トーマス、大丈夫?」
「・・・もう死ぬかと思ったよ」
 
 トーマスが体を起き上がらせると、サラちゃんとエレン姉さまは泣きながら喜んでいた。
 シャールさんがトーマスを立たせて、先の事を話しだす。少年ミッチの居る場所へ辿り着かねば、魔王殿を出るわけにはいかないと渋い顔で言いだした。

「オレはもう大丈夫だ。リオの回復技のお陰で体に支障はない」
「悪いな、ミッチ救出が優先なんだ」
「私達もそのつもりで来たんだから、謝らないでよ」
「そうだよ、もうちょっと先へ進まなきゃ!」

 エレン姉さまが諭し、サラちゃんも元気よく言って男性二人の背中を押し出した。ミッチ救出まで後少し――