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なまけものの亀がゆく

早期退職者が、日々うろうろしてみる 人に見せる文章なら本来割愛するものを、しかし自分のために書き残してる呆れた世界

おざわゆき さんの原画展

2021-10-10 05:58:42 | 日記

偶然、おざわゆきさんの漫画の原画展が開催されていると知り

九段下にある九段生涯学習館なる施設まで見学に行くことにする。

正確には「氷海のクロ」という絵本原画との二本立てだけど、

申し訳ありませんがこちらは未読のため割愛。

おざわさんの漫画「凍りの掌」は、実父がシベリアに抑留されていた際のことを

娘である作者が聞き取り、漫画作品として発表したもの。

 

詳細な説明はできないけど、若年兵として戦場に行った主人公は

終戦を迎え、日本に帰れると喜んだもつかのま 理不尽にも捕虜として抑留されて

シベリアで炭鉱堀り等に従事させられる。

いつまでつづくのか 仲間が衰弱して力尽きていく、自身も倒れ死を覚悟する。

そのような絶望の中を、しかし生き抜いて日本に引き揚げて来た。

長い時が流れた後に、漫画家である娘に

その時代のことを問われ、初めて重い口を開き 語り始める。

斬新な物語ではない、むしろ、ほぼどこかで聞いた話。

 

いまどきは、漫画を描くためのソフトウェアなんてものも充実しているけど

この作品は昔ながらの本当に伝統的な技法で描かれていた。

ベタにはムラがあり、大きな擬音の下には元の絵の線が走り

修正はホワイト(白絵の具)で行われている。

ぼく自身が子供の頃、漫画が好きで好きで自分でも書いてみたくて

小遣いはたいて、つけペンを買って線を引いて、かけ網を練習して

スクリーントーンを貼って削ってみたりした経験があるのも加わってか、

印刷されて自分の手元にある書籍と全く異なる生々しい息吹を感じた。

 

この作品は最初は同人誌として発表され、マイナー出版社(失敬)版を経て

現在は天下の講談社から書籍として販売されている。

そのたびに、表紙用に新規にカラーイラストが描かれているようなんだけど、

物語は完結してなお、カラーイラストのほうはさらに先に進み続けているように思える。

 ↑講談社版の表紙のために新規に描かれたのが、この絵になるけど

疲弊して俯いた人々の列の中に、ひとりこちらを見ている人がいますね。

この人、作者の「おとうさん」なんですね 今回気づきました。

父さん今は平和に暮らしているけど、列に並ぶ人々は?

 

愛と、平和

 

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会場内は撮影可と書かれており、表紙絵は九段生涯学習館のHPから

拝借いたしましたが、不都合あらば削除いたします。