
同じ言葉を使い続けると飽きてくるから、
年間チャート → イヤー・エンド・チャート みたいにたまに変えてみる。
凶と出なければいいが…。
まず、ロック/オルタナティブ・ソングス・チャートのイヤー・エンド・チャートTop20。
title | artist | title | artist | ||
1 | Mood | 24K Goldn, iann dior | 11 | Happier Than Ever | Billie Eilish |
2 | Heat Waves | Glass Animals | 12 | Brutal | Olivia Rodrigo |
3 | Without You | The Kid Laroi | 13 | Monsters ( Remix ) | All Time Low, Blackbear, Demi Lovato |
4 | My Ex's Best Friend | Machine Gun Kelly, Blackbear | 14 | Way Less Sad | AJR |
5 | Therefore I Am | Billie Eilish | 15 | Follow You | Imagine Dragons |
6 | willow | Taylor Swift | 16 | Come & Go | Juice Wrld, Marshmello |
7 | Bang! | AJR | 17 | Your Power | Billie Eilish |
8 | Beggin' | Maneskin | 18 | My Universe | Coldplay × BTS |
9 | Drunk ( And I Don't Wanna Go Home ) | Elle King, Miranda Lambert | 19 | t r a n s p a r e n t s o u l | Willow, Travis Barker |
10 | A-O-K | Tai Verdes | 20 | Meet Me At Our Spot | The Anxiety |
1位は去年に引き続き24K・ゴールデンの Mood でしたね。2020年に大ヒットした曲ですが、今年に入ってからもこのチャートでは5月にキッド・ラロイの Without You に敗れるまではずっと首位を守っており、そのことから今年も年間1位かなーと思っていました。5月まで首位を維持していたわけですが、毎週このチャートを見ている身としてはさすがにそろそろ首位交代が起こってほしいと思っていましたね。まあ Mood のロングヒット性が異常なのは確かなことで、総合チャートでTop10入りした Bang! や52週のチャート・インを果たした My Ex's Best Friend にその座を譲りませんでした。
続く2位はグラス・アニマルズの Heat Waves。このチャートには去年から70週以上チャート・インしているので年間1位もありえると思っていましたが、2位にとどまりました。ただ、この曲も週間チャートでは首位を阻まれ続けていたため2位止まりになる見込みが十分あったのですが、ヒットの第二波を迎えたことでポイントが更に上昇し、登場60週目で首位にたどり着けました。前も記述しましたが前身ロック・チャートの記録を含めても1位をとるまでの長さが最長記録です。そして第二波は威力もすごく、現時点でこのチャートで計12週の首位を記録しています。Heat Waves ならぬ熱い波!!!
※ 本当は「熱波」という意味です。
3位は先述の Without You。この中で今年、このチャートで1位をとった曲は5曲(たぶん)。まだ比較対象が少ないので、わずかと言っていいのか微妙ですが、感覚的には少ないと感じます。今年の週間チャートはもう49週分進みましたが、1位獲得曲は5曲です。しかもそのうち継続的に1位をキープできたのは、それこそこのイヤー・エンド・チャートの上位3曲のみ(残り2つは Brutal と My Universe )。先ほどと話はいくらかかぶってしまいますが、2位止まりでギリギリ1位をとれなかった曲が多かったのです。だからこそグラス・アニマルズが1位に着いたときはおおっ、ってなりました。
MGKとブラックベアーのパンク・ロック・アンセム、My Ex's Best Friend が4位!これまたロングランでしたね~。去年もロック/オルタナティブ・ソングス・チャートのイヤー・エンド・チャートが出ているのですが、去年の時点で既に10位を記録していました。今年はその勢いを絶やさないどころか増してきて、去年から大幅ランクアップです。この中で去年もイヤー・エンドTop20に入っていた曲は4曲。そのうち Mood とこの曲は同位キープまたはランクアップで、Bang! と Come & Go はランクダウンですね。気の早い話ですが Heat Waves や Without You も来年のイヤー・エンドTop20に入りそうです。
邦題:ゆえに我あり、と響きが何かかっこいい Therefore I Am が5位でした。懐疑論の哲学者デカルトの言葉でしたね。ビリー・アイリッシュは計3曲がTop20に入っていて、さすが、って感じです。ただ、これは全体的なことなのですが、ビリーの存在が今年の同イヤー・エンド・チャートについて個人的に印象的だったことを代表しています。今年のビリーのチャート・アクションは総合チャートでもこのチャートでも「上位にデビューして、間もなく下降する」タイプで、今回のTop20はそういった曲が他にもたくさんランクインしました。一方、逆の「下位からだんだん上がってくる」タイプの曲はあまり上位をマークできませんでした。正直に言うと、自分はより後者に馴染みやすいので、それらが今回のTop20で思いの外弱かったのは、そういうマイナー気味なヒットが総合的な指標で恵まれなかったような気がして残念でした…。まあ、教訓にはなったか。これで学べた。
willow が収録された9thアルバム『エヴァ―モア』(2020) の前作、『フォークロア』(2020) のシングル cardigan も去年の同Top20で6位でした。総合のイヤー・エンド・チャートで見ると willow は50位台だった一方、cardigan はランクインすらしていなかったことからも willow の方が確実にヒット性が大きいといえますが、この指標では同じ結果だったというのがちょっと面白いです。この2曲は対にして覚えられることが多そうなので、なおさらですね。
今年の1月に大きなピークを迎えた Bang! は今年もTop10入りしました!ちなみに去年は4位です。リリース自体は2020年1月なので、ちょうど一年後に爆発したわけですね。私的な話をすると、2020年の6月頃にこの曲がロック/オルタナティブ・ソングス・チャートを上って来ていたのでその時初めて聴いたのですが、そこからAJRに夢中になりました。彼らは2018年に Burn The House Down, 2019年にはアルバム『ネオシアター』と収録シングル 100 Bad Days がロック・チャートでヒットしていたので知ってはいたのですが、あまり聴いていなかったのです。よく聴いたらかなり好きなタイプのバンドでした!今回のTop20にはニュー・アルバム『OK・オーケストラ』(2021) から他にも Way Less Sad がランクインしていますが、現段階でこれに続くアルバムからの3次ヒットがないのが少し気がかりです。もう1曲、この専門チャートでヒットが出てもいいのに…。
8位はイタリアの4人組ロック・バンドということで、国を意識してTop20を眺めてみました。やはりアメリカ出身のアーティストが多いですね。チャートを見てきた経験からアメリカとイギリスではロックのヒットがあまり共通しない傾向があると見ていて、今回もそう感じたのですが、今年はロック・ヒットの全体数が多い(
)こともあって Beggin' のようにいくつか共通のヒットも見受けられました。ロック・アーティストに絞って見れば今回はイギリスからもロック・バンドが2組入ってますね。
そして9位は2015年に Ex's & Oh's で一世を風靡したあのエル・キング!チャートを見始める前からこの曲は知っていました。カントリー・スターのミランダ・ランバートとコラボした Drunk ( And I Don't Wanna Go Home ) はそれ以来のヒット曲で、総合チャートの方でも粘り強くランクインし続けて最高53位まで上昇。もちろんこのチャートでもロング・ヒットしたことになるのでTop10入りは妥当でしょう。そういえば女性ソロ・ロック・ミュージシャンのメインストリーム・ヒットを見るのは初めてで、そもそもソロ以外でも最近では見ることがありませんでした。それが今年はソロ以外もマネスキン、ジ・アングザエティーと男女混合バンドがヒットを出しています。ロック・ヒットの全体数が多いと「性・形態」の観点でも色彩豊かになるんですね。素晴らしい!
10位はまだ少ししか聴いていないタイ・ヴェルズの A-O-K。アメリカのR&B系アーティストのようですね。まだあまり詳しくないし、出会ったばかりなので多くは語れませんが、とりあえずR&B系の人がこのチャートに現れるのは稀です。タイ・ヴェルズ以外で思い出せるのは、これも今年ですがブラック・ピューマズの Colors。ただし、ブラック・ピューマズはアルバムがグラミーのロック部門にノミネートされるようなクロスオーバー・アーティストで、やや例外的な印象もあります。その意味で、A-O-K のクロスオーバー・ヒットはより珍しく感じられるわけです。
…と、ここまでつらつらと書いてきましたが、さすがに20曲全部にコメントしてると大変なので、もう少し短めに…(結局やる)
(11~20のみ再掲)
title | artist | |
11 | Happier Than Ever | Billie Eilish |
12 | Brutal | Olivia Rodrigo |
13 | Monsters ( Remix ) | All Time Low, Blackbear, Demi Lovato |
14 | Way Less Sad | AJR |
15 | Follow You | Imagine Dragons |
16 | Come & Go | Juice Wrld, Marshmello |
17 | Your Power | Billie Eilish |
18 | My Universe | Coldplay × BTS |
19 | t r a n s p a r e n t s o u l | Willow, Travis Barker |
20 | Meet Me At Our Spot | The Anxiety |
#11
ビリー・アイリッシュの2曲目ランクイン!グラミーでも大注目の曲ですね。数回聴いただけですが、5分以上の長尺で、凝りに凝った曲というイメージが強いです。チャート的な結果はやや微妙ですが、グラミーはどうなるのでしょうか!?
#12
オリヴィア・ロドリゴのデビュー・アルバム『サワー』からロックに大きくアプローチしたシングル、brutal が12位。いきなりですが、率直に言うとこの曲はあまり好きではありません。細かいことですがこれより下の13~15位あたりの曲の方がヒットしていた感覚があったので、下らないこととはいえこの12位を少なからず不服に思っています。
#13
オール・タイム・ロウ!!失礼ながら Monsters が売れるまでオール・タイム・ロウさんは名前しか知りませんでした。Monsters に虜になってから調べたのですが、キャリアが長い!ポルトガル・ザ・マンと同じくらいでしたね。元々ブラックベアーとのコラボだったこの曲はロック・チャートを上がってきた段階でリミックスにデミ・ロヴァ―トが加わり、タイミングの良さも効いて総合チャートレベルのヒットに発展しました。総合チャートでのシングル・ヒットは10年以上振りということで、面白いヒットになりましたね~。ハロウィン・ソングになってもいい、モンスターズ!!
#14
実は私はロックの中でもエレクトロニック・ロックやシンセ・ポップが結構好きで、また定義が難しい「遊んでる系ロック」も大好物でした。AJRはそんな「遊んでる系ロック」の一派なので、好きになって当然だったわけです。Way Less Sad、これでもかというほどポジティブさに溢れる曲で、MVで爆笑しました。
#15
10年代を代表する最強バンド、イマジン・ドラゴンズですがメジャー・デビュー9年目にして流石にチャート上での影響力は縮んできました。まあ本人たちもずっとトップの座にいることへのプレッシャーに心底参っていたようですし、それを考えると Follow You がほどほどのヒットで終わったのも良かったと思えます。オール・タイム・ロウのように何年も後にまた一発、ヒットが出たら面白いな~なんて思ったりも。
#16
前の記事でも触れましたが、これはロックなのでしょうか…?ポップやEDMではなくて…?まあそれはいいとして、Come & Go は去年の同イヤー・エンド・チャートでもTop20入りしていて、2位でした。そんなに余波すごかったかな…?とまたクエスチョン・マークですが、特に不満はないです。
#17
総合チャートの方でもTop10に初登場した Your Power が17位でした。ビリーの曲の中でもかなりオルタナティブ性が高い曲だった覚えがあります(さすがに同じアーティスト3回目はコメントが尽きる…)。
#18
ロック/オルタナティブ・ソングス・チャートの前身ロック・ソングス・チャートのイヤー・エンドもしっかり記録してきたのですが、コールドプレイの Orphans (2019) がロック・チャート上位でヒットしていた頃にチャート編成が行われ、ロック・チャートにオルタナティブ・ミュージックが加わった現在のチャートになったので、それまでイヤー・エンドに積み上げてきたポイントがほぼチャラになり、結局去年の同Top20にはランクインできませんでした。それもあって専門チャートのイヤー・エンドでコールドプレイの名前を見るのは初めてです(実際は2016年以来)。
#19
俳優ウィル・スミスの娘、ウィロー・スミス(ウィロー)は2010年ぐらいに1度大きなヒット曲を出しましたが、年間19位となったこの t r a n s p a r e n t s o u l feat. トラヴィス・バーカー はそれ以来のヒットとなります。なお、ジャンル分けにうるさい私はウィローさんはポップ、ジ・アングザエティーはロックに分類しています。
#20
そのジ・アングザエティーの Meet Me At Our Spot が20位でTop20は終結。今年はメインストリームのロック・ヒットが具体的に9曲もあったわけですが、この曲が20位に滑り込んだことで9曲すべてがTop20入りするという、ちょっとすっきりした結果になりました。
※「メインストリームのロック・ヒット」というのは特に決まった定義があるわけではありません。とりあえず総合チャート Billboard Hot 100 を参考にしていますが、自分なりに、なるべくヒットの定義を標準化して数えています。ヒットの定義は難しいものではありますが…。
結論
結論と言いながら、触れてこなかった話です。Top20のアーティスト別ジャンル分けは、ロックが9曲、ポップが6曲、ラップが4曲、R&Bが1曲になります。去年はロック8曲、ポップ7曲、ラップ5曲でした。ロックが1つ増えたことに喜んでいますが、実際そんなに変化はないですね。変わったことと言えばTop20全体のヒット・レベルでしょう。去年は20曲中6曲は個人的な「メインストリーム・ヒット」定義に当てはまらないものでした。しかし今年は全曲当てはまっています。つまり、このチャート自体のレベルが上がったのです。全体的にここのチャートでヒットしている曲はかなり好きになりやすいので、それについては大歓迎!ロックの振興に幸あれ!だけじゃなく、ロック/オルタナティブ・ソングス・チャートの振興も幸あれ!!
…解析要素あり。タグをつけたからにははっきりさせねば…と。