それからはきららママと雪との心のコミュニケーションが始まりました…
雪は賢い犬なので、きららママの言うことを良く聞いてくれました。
でも、愛する菊爺を喪った心の傷は癒えてなくて…
その証として、雪の皮膚炎が心のあり方をきららママに物語っているようでした…
この写真では分かりかねると思いますが雪は首の部分が皮膚炎で炎症をおこし、
バンダナで菊爺が入退院を繰り返していた中で出来た心の傷でした...
雪は自分を追い詰めることで菊爺の心の深い深い痛みを
自分の痛みとしてわかって上げたかった…
菊爺の体調がどんどん衰弱していくうちに、
雪も菊爺と同じように心も身体も自分を攻め
雪が菊爺を何とか助けて上げたかった…
そういう痛みがきららファミリーや菊爺の住んでいたご近所の皆様の心を揺さぶるものが有りました…
いつも雪を見に行くと…
犬舎の中で寂しそうに孤独に耐えている雪が降りました…
それでも雪は自分に逢いに来てくれるのが嬉しいのが
犬舎から出すと本当に嬉しそうに飛び回りました...
菊爺が入院中は頻繁に雪のところには行けず...
それぞれが忙しい中での生活を居ていました…
雪の犬舎の鍵の場所もわからず、どうすることも出来なかった歯がゆい
自分がここにいます。
何もしてあげられなくて、当時は雪の犬舎は雪の糞が山のように積もり…
すのこの下も糞で下が埋め尽くされて居ました…
雪を引き取った時は雪の身体は糞で化膿していました...
身体中は油っぽくて、大切な膣の部分が糞で化膿したために、
はたから見ると睾丸のようにぶら下がり
オス犬の様に膣をぶらぶらさせて散歩も行き交う人に、
「かわいそうに...」
と良くその言葉を耳にしました。
きららママは雪を直ぐに獣医さんの所に連れて行き雪の治療に専念しました…
雪を何とかしなくては…
この子をきららママが助けて上げることが出来るだろうか...?
きららママは毎日、毎日雪に深い愛情を注ぎました...
シャンプーもこまめに行い...
化膿ドメも毎日飲ませました…
雪のシャンプーをした時は、
膿がきららママの顔の飛び散り、
膿臭くて、
何度も何度も膿を絞り出して綺麗にしてあげました...
膣も化膿していて...
きららママはお湯をかけて、化膿しない
菌を殺すシャンプーで毎回洗い、
そのたびに、膣の周りの皮膚がはちきれて
これも又、きららママの顔に何度も何度も膿が飛び散りました…
それでも、きららママは必死で雪の治療に専念しました。
治療だけでは無理だと…
この子には、これまで以上に深い愛情を注ぐ事で安心感が生まれてくるのだ…
と、
餌もきちんと決められた量だけ食べさせて、
ゆっくりと少しずつ回復に向かいました…
雪の膣もあんなに睾丸の様にぶら下がって居たのに...
獣医さんからも、これは治らない...
そう言われてたのに...
雪の膣の腫れが先ず少しずつ収まり
小さくなって、元の膣の様にぶらぶらしなくなり、
収まって行きました...
やがて、
獣医さんに雪の皮膚炎と膣の症状を見てもらいました...
すると、
「あれっ?! 治まってきてる…!」
そうおっしゃって
雪の回復力にとても驚いていました…
雪はここまで来るのに一年の月日がかかりました...
菊爺を喪って、
一番、誰よりも深い傷を得たのは雪自身なのでしょう...
その心の傷が皮膚炎となって自分を責めることで
菊爺の痛みをわかって上げたかった...
菊爺を助けてあげたかった...
人より心が深い雪は十分に苦しんだ…
だけど、今度は雪が幸せにならなくては行けない...
雪が幸せになることが菊爺の幸せに繋がる...
雪...
必ず、又いつか
菊爺と逢える時は来る...
だから、もう...
それ以上苦しまないでね…
菊さんは雪を今でも見守っているからね…
菊爺の為にも、幸せになろうね...
雪…
次号へ続く・・・