つなわたりのジャック 2006-10-24 | 絵のない絵本 ジャックジョック屋根の上から隣の家に縄なげる ジャックジョックの息子となりの屋根でうけとる なわむすべ なわしばれ なわをはれ ジャックジョックの息子おやじに手を振って合図 ジャックジョック下で見てる客に手を振りお愛想 なわはれた なわあるけ なわわたれ ジャックジョック半分いったところで縄がほどけ ジャックジョックの息子かわりに笑顔で礼をした なわとけた ならおわり さようなら
けだものになった娘 2006-10-23 | 絵のない絵本 貧しい娘は川のほとりで王子様にみそめられ有頂天 手紙を書いては小鳩の足に括りつけ返事を待ってた だが待てど暮らせど返事はなく哀しみは怒りを呼ぶ おへんじが来ないのおへんじが そんないじょうに悲しいものは まったくこの世にあるでしょか 王子様は自分の責務を果たしていただけなのだった ようやく娘の元へ向かうもそこにいたのは一匹の獣 王子を見るなり牙をむいて泣きながら食らいついた
『ど』の唄 2006-10-22 | 絵のない絵本 どうにもぴったりはまらない どうしてしっくりおちつかぬ どうにかすっきりできないか どれだけくったりつかれても どのみちずっしりどろのよう どれだけたってもつりあわず どこまでいってもそりあわぬ どちらもすっかりくたびれて どうやらさっぱりおわかれだ
荷車ひいて 2006-10-20 | 絵のない絵本 若いおとこ汗水たらして車をひいた 若いおんな唄いながら男の車おした ちっとも助けになってない ちっとも助けになってない 若いおんな唄いながらどっかいった 若いおとこ気づきもしないで車ひく ちっとも前とかわりゃしない ちっとも前とかわりゃしない
ようこそ鏡の国へ 2006-10-19 | 絵のない絵本 ほら秘密の階段が見えるだろ? 息をとめて目を瞑り いち、にの、さんで飛び込めよ なあんだ怖いのかい あんなに息巻いてたくせして意気地なしなんだね 鏡を抜けたらドレスなど脱げてしまうというのに 俺様のジャバウォックの詩が読みたくないのかい
おばあさん 2006-10-18 | 絵のない絵本 珊瑚の指輪をなくして それから葉書をなくして オルゴールの鍵をなくして 昨晩いただいたお食事も忘れ 二階へ何を取りにいったのか忘れ しまいに大切な思い出をぜんぶ忘れ ハーブの庭で無邪気に笑っていたのです
ふわふわ 2006-10-17 | 絵のない絵本 ふわふわわ 焼きたてパン ホットケーキ ふわふわわ 赤ん坊ほっぺ 仔犬のおなか ふわふわわ チーズスフレ 僕のお嫁さん いつまでもふわふわしてておくれ そしたらぼくらはずっとなかよし
蟒蛇と紅い花 2006-10-16 | 絵のない絵本 うわばみが一匹棲んでおりました 鬱蒼とした森の曼珠沙華の池の淵 もう百年もひとりで生きておりました 一日のほとんどを眠って暮らして あとは天上の花の毒の根を喰らい 目を瞑って遠くを見つめておりました
たまごたまご 2006-10-15 | 絵のない絵本 たまごがひとつ やくたたず たまごがふたつ まあいいや たまごがみっつ すてきだな たまごがよっつ しあわせよ たまごがいつつ ケーキ焼こ たまごがむっつ ひとよぼう たまごがななつ おいわいだ たまごがやっつ おまつりさ たまごがここのつケンカになって ぜんぶガシャン!と割れちゃった
こねこちゃん 2006-10-14 | 絵のない絵本 銀色の絹の毛並み仔猫のレティッシア じぶんのなまえが気にいらぬ 気高いそぶりもじつのところ 名をよばれるのが不快不愉快 それでツンケンしてるなんて だあれもひとりも気づいちゃくれぬ
魔物の手 2006-10-12 | 絵のない絵本 少しだけ ねえ 少しだけ 見せておくれよ人間の手 どんなに ねえ どんなに どんなにかすべすべなの かわいこちゃん かわいこちゃん 見せてくれたら僕の手と ちょっとの間さ ちょっとの間ね とりかえっこしてあげる
ゴブリンのえさ 2006-10-11 | 絵のない絵本 わるい子どこだ わるい子ここだ いうこときかないカンシャクもち いつでもへんじはヤダヤダイヤダ わるいおとなだ わるいおとなめ めいれいばかりでカンシャクもち ふたことめもなく子をメッタうち どちらがゴブリンの大好物かといいますと もちろん満腹になる大きい方にきまってる
ゆうやけ太郎 2006-10-10 | 絵のない絵本 山でひろわれてな、 じさまに育てられたんだと。 土みて川みて空みて鹿みて猿みてな、 じさまとふたりまいにち笑って暮らしたんだと。 そんでも山が燃える時だけは怒ったみたい顔してな、 でっかい柿の木につかまって黙ってひとりで泣いたんだと。