カネ 2006-05-31 | 物語の欠片 俺は友人だからこそ金を貸したくはなかっただけなのだ 俺は友人だからこそ彼に金など借りたくはなかったのだ 俺は友人だから金などくれてやってもいいとさえ思った 俺は友人ならば金さえも惜しくはないとまで思っていた 俺は友人に貸してやる金さえない甲斐性のない男なのだ 俺は金を貸してくれる友人さえいない孤独な人間なのだ
華やかなパーティー 2006-05-30 | 物語の欠片 オードトワレと整髪料と化粧と肌と笑顔と会話と シャンパンと麦酒と磨かれた靴と腕時計と指輪と さんざめく夜のスパイラルに散りばめられた銀色 オレに話しかける者などただの一人もいないのだ
哀しいということ 2006-05-23 | 物語の欠片 待合室で以前親しかった人に偶然会って 久しぶりに近況などお互い話したりして 診察を終えた彼女は私に連絡先も聞かず じゃあねと笑顔で手をふり去っていった
代償行為 2006-05-22 | 物語の欠片 あたしはセックスのかわりに酒を飲んでるし セックスのかわりに本を読み映画なんか観て セックスのかわりにくだらない小説を書いて 時々まともな議論に首突っ込んだりするけど 所詮は色褪せた屁理屈が味を変えて行儀よく LOOKチョコみたいに並んでるだけのこと あれを食べるとだからいつも泣きたくなんの
たぶん正解 2006-05-21 | 物語の欠片 彼女はいつも優しかった 俺になにも聞かなかった 彼女はとても淋しそうに言った 俺になにも聞けなかったと一言 引き留めようと思ったけど そういう女はやめとけって 声がしたんだよどっかから