前回、須佐港の悲劇のことを書きましたが、こんなことが普通にあったわけでは決してなく、総じて日本側の漂着民に対する対応は誠実なものでした。
漂着民を気の毒な受難者として丁寧に扱い、もちろん病人やけが人がいればきちんと治療し、漂着民の問題を管轄する長崎奉行所と連絡を取り合って朝鮮人以外は長崎港より帰還させていたんです。
唯一正式に国交のあった朝鮮人については、対馬藩を通じて朝鮮に帰国させています。
そんな中でこの事件が起こったわけで、だから一大不祥事として記録に残っているわけですね。
それにしても、中国や朝鮮の船の海岸への漂着は初めての経験ではない筈の萩藩が、なぜこの中国船に対してだけ、問答無用!というような激烈な反応をしたのか?
これはうがった見方ですが、ひょっとすると、記録には残っていない萩藩を激怒させるような何らかの事件がこの直前にあり、たまたま漂着したこの中国船が巻き込まれてしまった…それともこの中国船自身がその何らかの事件の当事者だった…のかも知れませんね。
この件について、幕府から萩藩に対して責を問うということはなかったんですが、幕府自身不快感を持ったのはたしかなようで、
この事件の後、漂着民に対する処遇に関する通達を (ずっと前から出ていたのですが) より厳しく諸藩に徹底しています。
またこの事件のもう一つの側面は萩藩の出動の速さで、八日に侵入して来た船をもう翌九日には攻撃しています。
数人の役人が小舟に乗って近づくのならいざ知らず (本当はそうするべきでしたが)、動員を掛けて鉄砲や大砲を揃え、戦闘体制を整えて出動するのは意外に時間がかかるものです。
こういうことから見ても、130年も前に設定された西日本の海岸線全域の臨戦体制がちゃんと生きていたことが窺えます。
また、幕府も諸藩も、百数十年もの永きにわたり臨戦体制の下で代を重ねれば 「何故、その体制ができたのか」 という部分は忘れ去られ、体制そのものが 「国是」 と化してしまっていたのでしょう。
まさに本末転倒ですね。
これを外から見れば、なるほど、武力を持って自ら国を閉ざしてしまっている 「鎖国」 と映っても仕方がないことかも知れませんが、本当は決してそういうつもりではなかったんじゃないかな?って思うんですよ。
つまり 「有事立法」 がそのまま定着してしまった?
「江戸幕府と西日本の防衛体制」 に関する視点からみた 「鎖国」 に対する疑問の項は、一応これで終わります。
次回からは、別の視点で見た 「鎖国」 に対する疑問を書いて行こうと思っています。
漂着民を気の毒な受難者として丁寧に扱い、もちろん病人やけが人がいればきちんと治療し、漂着民の問題を管轄する長崎奉行所と連絡を取り合って朝鮮人以外は長崎港より帰還させていたんです。
唯一正式に国交のあった朝鮮人については、対馬藩を通じて朝鮮に帰国させています。
そんな中でこの事件が起こったわけで、だから一大不祥事として記録に残っているわけですね。
それにしても、中国や朝鮮の船の海岸への漂着は初めての経験ではない筈の萩藩が、なぜこの中国船に対してだけ、問答無用!というような激烈な反応をしたのか?
これはうがった見方ですが、ひょっとすると、記録には残っていない萩藩を激怒させるような何らかの事件がこの直前にあり、たまたま漂着したこの中国船が巻き込まれてしまった…それともこの中国船自身がその何らかの事件の当事者だった…のかも知れませんね。
この件について、幕府から萩藩に対して責を問うということはなかったんですが、幕府自身不快感を持ったのはたしかなようで、
この事件の後、漂着民に対する処遇に関する通達を (ずっと前から出ていたのですが) より厳しく諸藩に徹底しています。
またこの事件のもう一つの側面は萩藩の出動の速さで、八日に侵入して来た船をもう翌九日には攻撃しています。
数人の役人が小舟に乗って近づくのならいざ知らず (本当はそうするべきでしたが)、動員を掛けて鉄砲や大砲を揃え、戦闘体制を整えて出動するのは意外に時間がかかるものです。
こういうことから見ても、130年も前に設定された西日本の海岸線全域の臨戦体制がちゃんと生きていたことが窺えます。
また、幕府も諸藩も、百数十年もの永きにわたり臨戦体制の下で代を重ねれば 「何故、その体制ができたのか」 という部分は忘れ去られ、体制そのものが 「国是」 と化してしまっていたのでしょう。
まさに本末転倒ですね。
これを外から見れば、なるほど、武力を持って自ら国を閉ざしてしまっている 「鎖国」 と映っても仕方がないことかも知れませんが、本当は決してそういうつもりではなかったんじゃないかな?って思うんですよ。
つまり 「有事立法」 がそのまま定着してしまった?
「江戸幕府と西日本の防衛体制」 に関する視点からみた 「鎖国」 に対する疑問の項は、一応これで終わります。
次回からは、別の視点で見た 「鎖国」 に対する疑問を書いて行こうと思っています。