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刑法論点

刑法論点

結果的加重犯

2006年03月09日 | 総論-構成要件
結果的加重犯
結果的加重犯とは、基本となる犯罪から生じた結果を重視して、基本となる犯罪に対する刑よりも重い法定刑を規定した犯罪をいう。
 では、結果的加重犯において、重い結果についての過失を要するか、責任主義の観点から問題となる。
 この点判例は、基本となる構成要件に該当する行為と重い結果との間に因果関係があれば足り、重い結果について過失(予見可能性)がない場合にも結果的加重犯が成立するとする。
 しかし、無過失に発生した重い結果は構成要件的結果とはいえないと解すべきであり、また、責任主義の見地から故意または過失が認められない限り非難できないから、少なくとも重い結果につき過失がない限り結果的加重犯は成立しないと解すべきである。
 また、重い結果について故意がある場合にも結果的加重犯が成立する。けだし、故意のない場合に限る根拠は乏しく、殺人の構成要件に該当しない遺棄行為によって人が死亡した場合に、致死の結果を認識していても殺人の実行行為となるわけではないから、重い結果について故意がある場合も含むと解しなければ、かえって不当な結論に至る場合が生じるからである。
 次に、結果的加重犯において、基本行為と重い結果との間に因果関係は必要か、条文上「よって」としか規定しておらず問題となる。
 この点につき、結果的加重犯が成立するためには、基本となる故意(又は過失)の犯罪行為によって重い結果が発生した場合において、第一に基本行為と重い結果との間に因果関係の存在が必要である。
 この点、判例は、条件関係があれば足りると解するが、折衷的相当因果関係説における因果関係が必要であると解すべきである。