違法性の実質
[定義]
形式的違法性とは、行為が形式的に刑法上の行為規範(命令・禁止)に違反するという性質をいう。
行為が違法であるというためには、さらに、実質的に違法であることを要する。
実質的違法性とは、行為が全体としての法秩序に実質的に違反するという性質をいう。
実質的違法性の内容については、私法・公法といったあらゆる法体系は、全体としての法秩序を形成しているが、その法秩序はもっぱら法益保護を目的として成立するものであり、刑法も全体としての法秩序の一部を形成するものである。また、今日の複雑な社会においては多くの法益が複雑にからみ合っているため、法益侵害だけで違法性の程度を判断することは困難であること、刑法は刑罰という道義的非難を具体化する苦痛を通じて法益侵害を防止するものであるから、あらゆる法益侵害の実態を違法として刑法評価の対象とするのは妥当でないことなどから、社会倫理的な面を無視して違法性の実質を把握することは不可能であり、社会倫理規範と法益侵害とを融合した形で違法性の実質を把握する必要がある。
実質的違法性とは社会的相当性を逸脱して法益侵害・危険を惹起することであると解すべきである。
[参考]
大谷P248
[定義]
形式的違法性とは、行為が形式的に刑法上の行為規範(命令・禁止)に違反するという性質をいう。
行為が違法であるというためには、さらに、実質的に違法であることを要する。
実質的違法性とは、行為が全体としての法秩序に実質的に違反するという性質をいう。
実質的違法性の内容については、私法・公法といったあらゆる法体系は、全体としての法秩序を形成しているが、その法秩序はもっぱら法益保護を目的として成立するものであり、刑法も全体としての法秩序の一部を形成するものである。また、今日の複雑な社会においては多くの法益が複雑にからみ合っているため、法益侵害だけで違法性の程度を判断することは困難であること、刑法は刑罰という道義的非難を具体化する苦痛を通じて法益侵害を防止するものであるから、あらゆる法益侵害の実態を違法として刑法評価の対象とするのは妥当でないことなどから、社会倫理的な面を無視して違法性の実質を把握することは不可能であり、社会倫理規範と法益侵害とを融合した形で違法性の実質を把握する必要がある。
実質的違法性とは社会的相当性を逸脱して法益侵害・危険を惹起することであると解すべきである。
[参考]
大谷P248