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刑法論点

刑法論点

未成年者略取・誘拐罪

2006年04月21日 | 刑法各論ー総則
未成年者略取・誘拐罪(224条)
1 本罪の保護法益としては、①被拐者の自由と②保護監督権(人的保護関係の保護)とがある。①は基本的な保護法益であり、②は、未成年者誘拐罪の特異性から生じる付加的な保護法益である。つまり、人的保護関係の保護は、未成年者の自由をより確実に保護するための手段であると考えるべきである。
  ①の保護法益と②の保護法益との関係は、常に併存的な関係にあるわけではなく、はこう的である場合もある。被拐者の行動能力、判断能力等の具体的状況を考慮して個別に見定めることが必要である。
  具体的には、嬰児、幼児等の場合には、承諾能力がない。ここでは、親権者の保護監督権が第一次的な保護法益であり、親権者の承諾の有無が犯罪の成否を決定する。また、  
自己の判断に従って適切な行動をなしうる18,9歳のような場合には、承諾は違法性阻却事由となる。この場合には、被拐取者たる未成年者の自由が第一次的な保護法益となっており、親権者などの保護監督権の保護は、第二次的なものとして後退していると考えるべきである。
2 本罪は、継続犯、親告罪。