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NPO法人POSSE(ポッセ) blog

避難所から引っ越せない被災者、避難所にも行けない被災者

NPO法人POSSE(ポッセ)では仙台で避難所から仮設住宅への被災者の引越しを手伝っています。その活動を続けているスタッフの @Hiroto_1988 が聞いた被災者の声です。
http://togetter.com/li/149156

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昨日は各仮設住宅に、布団一式を運び込む作業をした。仮設がある場所まではトラックで運んでくれるけど、そこから各住宅へ運び込むのはボランティア。はじめての作業だったのに、いきなりその場にいた50名ほどのボランティアの仕切りを任された(笑)戸惑いながらもなんとか完遂。

その50名のなかには、中学生から学校の先生、市の職員から社協の人までさまざまいました。そんな人たちを仕切るのはなかなかハードな仕事だったなぁ(笑)

東北のある大学ではボランティアに登録している学生が600人以上いるらしいが、うちボランティアに参加できるのは10~20人程度とのこと。これが意味するのは、ボランティアの数が足りているということではなく、ニーズを掘り起こせていなかったり、コーディネートができていない、ということだ。

被災地支援をやってて思うけど、ボランティアが飽和してるなんてことは全くない。むしろ全然足りてない。ニーズを汲み取り、それを把握し、適当な場所に適当な人やモノを配置するだけの人手も能力も、行政に欠けている。

というと、「公務員なんて役立たずだから減らせ!」という意見が聞かれそうだけど。でも実際は、公務員の人数や能力のある人材を増やしていく必要がある思う。被災者のニーズを汲み上げらず、ボランティアを活用できない状況をつくり出してきたのは、公務員を減らしてきた結果なのだから。

仮設への入居説明会@若林区役所に参加しています。午前の説明会ではおよそ10世帯の方々から引越しサポートの依頼を受けました。なかには塩釜に荷物がある方もおられました。

世帯状況に応じて、1世帯で2~3戸に入居することもあるが、世帯によっては、2Kの狭いプレハブに3人~4人が入居することになる。住民から「空いた仮設を利用することはできるか」との質問。区役所の説明によると、現状では途中で仮設が空いたとしても、そこを利用することはできないとのこと。

疲れているのに全然眠れない。この間ずっと被災地で支援活動をしていて、ほとんどツイートできなかったから、思いつくままに、少しツイートでもしていこうかな。

仙台市では仮設住宅の建設が進んでいる。入居が決まれば、避難所や短期で契約しているアパート、あるいは被災した自宅から、仮設住宅への移動の必要が出てくる。しかし入居が決まったところで、誰しもが簡単に移動できるわけではない。それぞれの事情があって移動が難しい人もいる。

したがって、入居が決まっても、避難所から抜け出せない人たちも少なくない。そんな人たちの移転を支援することが、今おこなっている活動の中心だ。入居者に対して行政が開催している入居説明会に出向き、支援を呼びかけている。あるいは避難所で、支援が必要そうな人に声をかけている。

相談は合計で40件ほど。実際にサポートした件数は15件前後。そこから、引越支援を必要としているのは、どのような人びとなのかがみえてくる。多くは、身寄りのない高齢者、母子家庭、障がい者を抱えた家族、被災して失業した家族なのだ。

仮設への入居が決まってもなお(人が生活していく環境としては劣悪な)避難所に取り残されているのは、いわゆる「社会的弱者」と呼ばれる人びとなのである。

この間、いくつかの避難所をまわってきたが、避難所の様子はそれぞれ異なる。場所によっては個室が確保されているところもあった。しかしその一方で、館長の指示で、「仕切りを一切つくってはいけない」というルールがある避難所もあった。そこでの生活は相当にストレスフルなものだったであろう。

そこで避難生活をしていた方はとてもストレスを感じていたようだが、自宅は被災して住めるような状態ではなく、そこにいるほかなかったそうだ。

中学生の女の子にとっても、避難所生活はかなりのストレスだった。腰ぐらいまでの高さしかないダンボールで区切られた体育館で生活していた彼女は、常に人目にさらされている状態がとても辛かったと話していた。ストレスからか、避難所生活のなかで過呼吸の症状も出てくるようになった。

避難所生活の過酷さは、挙げ連ねていけばきりがないだろう。しかしなかには、避難所生活をそれなりに(語弊があるかもしれないが)「楽しんで」過ごしていた人たちもいた。とくに高齢の女性からそのような話を聞くことが多かった。彼女らの話によると、男性の方が苦労していたそうである。

被災した人びとが、必ずしも避難所にいるわけではない。衝撃的だったのは、赤紙が貼られているアパートに住んでいた人がいたことだ。その男性には入居説明会で出会った。そのアパートは、二つある階段のうちひとつが崩落しており、いたるところに亀裂が入っていた。

避難所にいかずに自宅にいた理由を聞くと、「避難所は家を流失した人たちで溢れていた。自分はまだ家が残っているし、自分より被害がひどい人たちを優先すべきだと思った。」また、「赤紙の意味がわからなかった。直せば住めると思っていた」と、彼は話していた。

必要なものを詰め込んだかばんを枕元に置いて、余震におびえながら夜を過ごしていたそうだ。避難所とは別の過酷さがそこにはあった。


避難所にいれば情報は入ってくる。支援物資も、場所によって差はあるけれども、十分な量が支給されている。しかし避難所の外にいる被災者に対しては、情報も支援物資も行き届いていない。「避難所に行って支援物資をもらうのは気が引けてなかなかできなかった」と、彼は言う。

被災して「貧困」になってしまった人も少なくない。これまでも収入は少なかったけれど、持ち家があり、家族や地域のつながりのなかで、質素ながらも生活を成り立たせることができていた人も、被災によって実家が半壊して住めなくなったことで、生活を成り立たせるために働かざるを得なくなった。


彼女は10年以上働いていない。「仕事がみつけられるのか、みつけられたとしても、うまくやっていけるのか」と不安を漏らす。一緒に暮らしていた母親とは、被災によってバラバラになってしまったそうだ。

「ずっと専業農家をやってきたから、これまで働いたことなんてなかった」という女性。GWごろからパートに出ている。夫は日雇いのアルバイトをしている。ふたりとも日曜以外は毎日働いているそうだ。彼らにはまだ小さい子どもが3人いる。農地は津波でやられているため、再建の目処は全くたっていない。

被災したことでたくさんのものを失ってしまった彼らに必要なものは、お金だけではない。元通りの生活を取り戻すために、あるいはより良い生活をしていくために必要なものは何か。被災者支援を通して考えていかなければならない、求めていかなければならないと強く感じる。


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