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まずは、vol.3の目次を紹介します。今回のメイン特集は、なんと言っても「派遣切り」です。またサブ特集では「テレビドラマ」批評をとりあげました。
●雑誌『POSSE vol.3』目次
【特集】「派遣切り」されたのは誰か
◆「フリーター」か「半失業者」か ―「失業できる」日本社会を―/後藤道夫(都留文科大学教授)
◆「フリーター」という虚像と実像 ―不安定就業論の視角から―/伍賀一道(金沢大学教授)
◆派遣切りに対抗するキャリアラダー戦略/筒井美紀(京都女子大学准教授)
◆派遣村の若者はどこから来たか―「家計自立型非正規」という新局面/今野晴貴(NPO法人 POSSE代表)
◆「派遣切り」に労働運動はどう立ち向かったのか/本誌編集部
◆ルポ 「非正規」になる若者たち ―高卒就職の現場から―/進藤正樹(首都大学東京大学院生)
◆特別企画・ポスト「フリーター」論の時代に/本誌編集部
①「フリーター」論を徹底検証!ブックガイド10
②予告:「格差論壇」MAP/解説:木下武男(昭和女子大学教授)
【特集2】格差と仕事のテレビドラマ論
◆ポスト・トレンディドラマ時代の「働く女性」 ―『ハケンの品格』が到達した地平―/伊藤守(早稲田大学教授)
◆『サラリーマン金太郎』のユニオニズム ―解雇と闘ったテレビドラマの労働者たち―/坂倉昇平(本誌編集長)
◆対談:『銭ゲバ』は貧困にどこまで迫ったか/五十嵐泰正(筑波大学講師)
◆座談会:格差恋愛ドラマのゆくえ/本誌編集部
◆日本版「ワークシェア」の虚妄を超えて―「賃下げ」か「失業シェア」か―/竹信三恵子(朝日新聞編集委員)
◆奨学金問題と若者の貧困 ―なぜ「ブラックリスト化」は強行されたのか―/川村遼平(NPO法人 POSSE理事)
◆韓国キャンドルデモはなぜ広がったのか ―「マルチチュード」と「ヘゲモニー」の若者運動/錦織史朗(大学院生)
◆<連載・労働と思想3>サスキア・サッセン ―グローバル・シティの出現と移民労働者―/伊豫谷登士翁(一橋大学教授)
◆<書評>シャンタル・ムフ『政治的なものについて』/佐々木隆治(一橋大学大学院社会学研究科博士課程)
◇「特集1 「派遣切り」されたのは誰か」
「仕事なんて選ばなければあるはずだ」。「派遣切り」がますます本格化する中、こうした批判は後を絶ちません。若者がダメになったからニートやフリーターが増えた。かつてメディアを席巻した「俗流若者論」は現在でこそ、影を潜めつつあります。しかし、非正規雇用労働者の問題を、自己責任や個人の意識に矮小化する議論には、いまだ決着がついていないのではないのでしょうか。
本特集でみていくように、「派遣切り」も「フリーター」問題も、同じ現象に異なるレッテルが貼られているにすぎません。なぜ、不安定で過酷な生活を強いられる「彼ら」は生まれるのか。内面分析や自己表現に陥るのではなく、日本社会の根源的な構造、そしてそれを乗り越えていくための具体的な政策論を試みています。 特集の冒頭を飾るのは、後藤道夫さんインタビュー。「失業」できない、福祉国家なき日本社会の構造を明らかにし、「派遣切り」のいま、必要なセーフティネットを論じています。また、伍賀一道さんには「フリーター」の構造的分析の論考を寄せていただきました。さらに、筒井美紀さんの「キャリアラダー」論は、派遣切りに対抗するための新たな戦略を提起していて、非常に刺激的な内容となっています。他には、インタビュー・アンケート調査をふまえた「派遣村」分析、「高卒就職者」のルポも掲載しています。
特集の終わりには、特別企画として「フリーター」論ブックガイド、また一足先に予告としてですが、一目で論者の主張とスタンスがわかる「衝撃的?」な「格差論壇」MAPも公開しています!!
◇「特集② ドラマでたどる仕事と格差」
テレビドラマは、日本でもっとも身近でポピュラーなメディアのひとつです。バブル崩壊から平成不況、そして格差社会と時代が移りゆくなかで、会社との関係や働き方、ライフスタイル、そして労働問題はどう描かれ、描かれてこなかったのか? 『銭ゲバ』、『ハケンの品格』をはじめとしたテレビドラマの限界と可能性を検証します。
早稲田大学教授の伊藤守さんインタビューでは、トレンディドラマから00年代に話題を呼んだ『anego』、そして『ハケンの品格』まで、「働く女性」の働き方、結婚像はどのように変わり、変わってこなかったのかをお話しいただきました。また、『サラリーマン金太郎』を中心とするテレビドラマにおける「労働運動やユニオニズム(労働組合運動)」を論じた批評、そして筑波大学講師の五十嵐泰正さんが、『銭ゲバ』を題材にドラマにおける貧困を語っていただいた企画も大変興味深い内容になっています。
さらに、特集以外にも、今話題になっている「ワークシェアリング」や「奨学金ブラックリスト化」問題など、その背景と対策についてもタイムリーに論じています。また、「韓国のキャンドルデモ」報告は、他のメディアでは全くみられない貴重なルポとなりました。そして、今号の連載「労働と思想」は伊豫谷登士翁さんによる「サスキア・サッセン」の解説です。
―以上、非常に読み応えのある内容となっています。値段はもちろん、前号と同じ850円(送料別)のままです。
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