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NPO法人POSSE(ポッセ) blog

雇用改革テーマ解説(『POSSE vol.20』)


今回は、『POSSE vol.20』からミニ特集「雇用改革テーマ解説」を紹介します。現在、安倍政権のもとでさまざまな雇用改革が議論されています。ジョブ型正社員、ホワイトカラー・エグゼンプションなど、5つの雇用改革のテーマについて、研究者や弁護士などそれぞれの分野の専門家に解説していただきました。

・ジョブ型正社員(濱口桂一郎)
濱口さんは、日本型雇用システムは、雇用契約が無限定の「メンバーシップ型」の正社員と、「ジョブ型」ではあるものの欧米のジョブ型労働者と異なり権利を剥奪された非正規労働者で構成されてきたと論じています。規制改革会議で「ジョブ型正社員」が個別解雇を自由にするための方便として議論されていることを批判しながら、労働側がそれを理由に「ジョブ型正社員」を拒否することにも警鐘を鳴らしています。

・ホワイトカラー・エグゼンプション、裁量労働制(渡辺輝人)
裁量労働制の拡大とホワイトカラー・エグゼンプション(WE)の導入についての議論の動向を整理しています。WEは第一次安倍政権に導入の動きがありましたが、世論の反対にあって挫折し、現在再び導入が検討されています。

・労働者派遣(塩見卓也)
2008年のリーマンショック、年越し派遣村を経て、2012年に派遣法が改正され、派遣料金・マージン率の明示など一定の規制強化が行われました。しかし、労働者派遣の規制緩和が再び行われようとしていると、塩見さんは批判しています。

・管理監督者(佐々木亮)
労働基準法の定める「管理監督者」に該当する労働者には、労働時間に関する規制が適用されません。行政解釈では、管理監督者とは、「経営者と一体の立場にある者」とされてきました。しかし、定義があいまいなため、いわゆる管理職とごちゃ混ぜにして残業代の支払いを免れるケースが多くあります。管理監督者制度は、長時間労働を助長し、労働者の「命と健康の問題」を引き起こすとして、規制強化を図る必要があるとしています。

・高度外国人材(五十嵐泰正)
成長戦略の一環として、高度外国人材を積極的に受け入れることが提起されています。しかし、現在、日本で働いている「高度外国人材」は、年功的な「日本型雇用」の中にはめ込まれてしまっています。本来の高度外国人材をより多く日本に誘致するには、ジョブ型のキャリアパスの整備など、日本企業の改革が必要であると論じています。

安倍政権で行われようとしている雇用改革には、ブラック企業を助長したり、不安定な派遣労働を拡大したりする改革がある一方で、ジョブ型正社員など、議論に値する政策も提唱されています。単に批判するだけで終わらないためにも、雇用改革のそれぞれのテーマのポイントを押さえておく必要があるのではないでしょうか。

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