ぽんしゅう座

優柔不断が理想の無主義主義。遊び相手は映画だけ

■ 遊星よりの物体X (1951)

2019年04月28日 | ■銀幕酔談・感想篇「今宵もほろ酔い」
1935年の原作から南極が北極に、探検隊は軍隊に置き換わり、科学者もジャーナリストも意見や要望は口にするけれど、あくまでも国家機構の配下を逸脱しないとろに冷戦時代の要請が滲む。怪奇SFの王道シノプシスはこうして“その時代”ごとに受け継がれていくのだという見本。

(4月26日/シネマヴェーラ渋谷)

★★★
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■ 愛がなんだ (2018)

2019年04月27日 | ■銀幕酔談・感想篇「今宵もほろ酔い」
人には二つの目玉以外にも“心の目”のようなものがあるとして、人それぞれに見えていることを、みんながみんな正直に言葉や態度に現したとしたら、きっとこの物語の登場人物たちのように、じれったさと苛立たしさだけが人間関係の「すべて」になってしまうのでしょう。

だからみんな、相手を傷つけないことで、自分も傷つかないように生きているわけで・・・。確かにみんな“心の視線”に嘘をつきながら、不誠実を正直に生きていることに耐えながら、心の安らかさを何とか保って生きているのでしょう。

(4月24日/イオンシネマ多摩センター)

★★★
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■ 麻雀放浪記2020 (2019)

2019年04月18日 | ■銀幕酔談・感想篇「今宵もほろ酔い」
控えめな亡霊のように姿を現す“あの国立競技場(ザハ・ハディド!)”がツボにはまり、楽しんだもん勝ちと割り切ってこの無茶ぶり映画に付き合う覚悟を決める。後は繰り出される皮肉、嫌味、揶揄、自戒まみれのパロディ(オマージュ?)の連発に心地よく苦笑しっぱなし。

終わってみれば、坊や哲(斎藤工)が喝破した「勝負しない奴にできるのは長生きだけだ!」の強烈なひと言が、この映画のすべてだったのだ。なんと、これは勝負をかけ葬り去られた「者」たちへの、そして葬った「者」たちの、過去をほじくり、今を嗤い、未来を憂う、騒々しくも真摯な鎮魂歌だったのだ。

もう一度、勇気をふりしぼって書こう。勝負しない奴にできるのは長生きだけだ! と・・・でも、やっぱり長生きしたい私、なのです。

(4月14日/TOHOシネマズ南大沢)

★★★★
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■ バイス (2018)

2019年04月17日 | ■銀幕酔談・感想篇「今宵もほろ酔い」
このコメディ、コケにされて笑われるのは大衆を馬鹿にするラムズフェルド(スティーヴ・カレル)と大衆から馬鹿にされるブッシュ(サム・ロックウェル)、そして馬鹿な(私たち)大衆。チェイニー(クリスチャン・ベール)の自分&家族至上ぶりは、あまりに“馬鹿”正直すぎて笑えない、という苦笑劇。

ディック・チェイニーという男、あまりに自分に正直すぎて、どこか憎めないと感じてしまうのは、やはり私が“馬鹿”で鈍感な大衆だからでしょう。『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(15)のときもそうでしたがアダム・マッケイ監督またも「道徳の根拠」の不確かさをつきつけます。

他人から苦笑まじりに、なんて意地の悪い奴だといわれようと、この監督さんは為政者と大衆の胡散臭さい「共依存関係」に触れずにはいられない“馬鹿”正直な人なのでしょう。

(4月12日/TOHOシネマズ日本橋)

★★★★
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■ ぼくの好きな先生 (2018)

2019年04月14日 | ■銀幕酔談・感想篇「今宵もほろ酔い」
この画家はよくしゃべる人らしい。さらに、編集でその饒舌さが強調されるのだが、発せられる「言葉」に大した意味も力も感じなかった。饒舌さは「鎧」なのだろうか。前田哲監督は、この画家の「言葉」の薄さが気にならなかったのだろうか。そこが本作の出発点だと思うのですが。

自分は半端者だから半端な画しか描けないと画家は言う。自虐、遠慮、謙遜、迷い。この自己肯定の低さは何に根ざしているのでしょうか。その原点は、どうやら画家が過去に関わったある「ふたり」の存在にありそうだ、と発見したところで、このドキュメンタリーは終わります。

なんだかもの足りなかった。だって、作中で紹介された、その「ふたり」からきた、それぞれの手紙の“文字”と“思い”のあまりの「差」が強烈な印象を残したから。このドキュメンタリーは、画家と「ふたり」との関係(痛み)にさらに踏み込むところから、やっと始まるような気がしてなりません。

(4月5日/K's cinema)

★★★
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