とういうアニメが気になっていたので
遅ればせながらも今回の休みを利用して一気に鑑賞させてもらいました。
本当に面白いのかよ!っと半信半疑のまま突入!
なんと止まらなくなってしまい、4本ずつと決めていたのに速効で見てしまって
また、借りに行くことにここまでくるとアニメの世界に完全にココロを重ねてましたね。
感情移入ですよ。
最初は、主題歌を歌っている中川翔子にイラツイテいたんですが、5本目くらいまでくると
口ずさみはじめて、いい感じに翔子がフィットしてきましたよ。
「俺が信じるお前を信じろ!」という言葉早速合コンで使ってみよう!
と思いました。
あと、展開もサクサクしていて非常によかったです。驚きの連続でした。
うーm
やっぱり最近の下手なTV番組やらせSHOWとか糞宗教のコネコネドラマとかみるよりよっぽどタメになりますわ。大根役者が増えすぎですな。
ということで
気になったら、是非見てみるといいですよ。
あと、伊坂幸太郎の「砂漠」って本読みました。
やっぱりこの人のセンスって僕は好きですね。
西嶋君はかっこいいよー!
この人は、細かなところで散りばめているエッセンスがあって
この小説で言えばその一部分は「クラッシュ」のジョー・ストラマーとか「ラモーンズ」のジョーイ・ラモーンなんだけど、そのセンスがやっぱり読み手に共感をえるわけ。
この場合だったら、「クラッシュ」と「ラモーンズ」を知らない人は、この本に出てくる西島君が好きな「クラッシュ」と「ラモーンズ」が気になって絶対調べると思う。
そこらへんの書き方が上手いなーと感じてしまう。
伊坂幸太郎氏のインタビューがあったので
“トランプとか、ジャンケンとか、
小説のなかでどう書くかを考えるのが好きなんです”
──今日は、『砂漠』にまつわるキーワードについてお聞きしたいのですが、まず、主人公は「大学生」ですね。
伊坂さん ぼくにとっての青春時代というと大学生なんです。高校生はまだ親の管理下にあるけれど、大学生は親からある程度は独立して、しかも生意気。そんなイメージがあって、大学生を主人公にした青春小説を書いてみたかったんです。
正直、学生時代の話だったら、いくらでも書けると思っていたんですよ。「友情」というとちょっと違うんですが、友達とすごすくだらない日常が好きなんですね。でも、いざ書いてみたら、なかなか書けなかった(笑)。
──『砂漠』だけに限らないんですが、伊坂さんの小説はしばしば仙台が舞台になりますよね。もちろん、いま、お住まいだということはあるにせよ、なぜ「仙台」が舞台なんでしょう?
伊坂さん 楽天があるから! って、それは最近だろう(笑)。
──(笑)。
伊坂さん 自分が住んでいるからっていうことがもちろん大きいんですが、ウソがつきやすい。知らない土地を書いて、「こんな町じゃない」って言われたら住んでいる人たちに申し訳ないけれど、自分が住んでいる町だからウソをついてもいいだろう。あくまでフィクション。知っていてウソをついているんだよ、ということですね。
それに、仙台の特徴として、市街地から自然があるところまで比較的近い。『砂漠』でも海に行く場面がありますが、海も山もある。ちょうどいいんですよね。
でも、仙台じゃないと成り立たない話、というのはいまだかつて書いたことはないですね。とくに仙台そのものに大きな意味合いがあるわけじゃないんですよ。
──仙台は地方都市のひとつの典型だと。
伊坂さん そうですね。ぼくの小説を読んだ友達からよく言われるんですよ。「仙台、こんなに物騒なところじゃないだろう」って(笑)。放火とか通り魔とか、小説の中で事件を起こしていますからね。もちろん、純粋にフィクションです(笑)。
──伊坂さんの小説の「名前」の付け方は独特ですね。『砂漠』でも、東堂、西嶋、南、北村。東西南北が揃って麻雀をやる(笑)。
伊坂さん そこはこだわっている部分なんですよ。変な名前を付けたいという意味ではなくて、読者に登場人物を覚えて欲しいんですよね。正直、ぼくも小説を読んでいて、「この登場人物誰だっけ?」ということがあるんですよ。連想記憶術じゃないんだけど、記憶しやすいようにと思って名前をつけますね。
『砂漠』の東西南北っていうのも、あざといというか、作りすぎかなと思って悩んだんですけど、でも、それがきかっけで出会う、という設定にしています。
──「麻雀」が登場しますが、お好きなんですか?
伊坂さん 大学時代の思い出というと、麻雀なんですね。あ、麻雀だけじゃないですよ!(笑) 雀荘に入り浸ってて単位を落としたっていうほど、のめりこんでいたわけではないんですが、友達と何かをやろうということになると、麻雀だったんですよ。外に出てボーリングに行くとか飲みに行くとか、そういうアクティブなことをのぞけば。昼間っから「麻雀やろう」って。一人暮らしだったので、よくうちが麻雀する場所になっていましたね。
──ゲームつながりでいうと、「ボーリング」もこの小説の小道具としては印象的ですね。
伊坂さん ボーリングも、大学時代にけっこうやっていましたね。ゲームを小説に書くことが好きなんですよ。『砂漠』はボーリングと麻雀ですが、トランプとか、ジャンケンとか、小説のなかでどう書くかを考えるのが好きなんです。
競馬もよく書くんですけど、馬が走っているとか、そういう運動が好きなんですよ。ボーリングだったら、ゴロゴロゴロゴロってボールが転がっていくところを書くのは好きですね。
──『砂漠』では「音楽」も重要な要素ですね。強烈な個性の持ち主、西嶋くんがこだわるのが「クラッシュ」、「ラモーンズ」などのパンクロックです。
伊坂さん 『砂漠』のことを考え始めたのが2002年の終わりくらいなんですけど、「クラッシュ」のジョー・ストラマーが亡くなったんですよ。その前の2001年に、「ラモーンズ」のジョーイ・ラモーンも亡くなっていて、ぼくのなかでは、大ショックというほどではないけれど、「ああ、死んじゃったんだなあ」という感慨があったんですよ。高校時代によく聴いていたので。
『砂漠』は最初から大学生の話にしようと決めていたので、「ジョー・ストラマーが死んじゃったのに、俺たちは何やってるんですか」っていう人を出したいなって思ったんですよ。
小説で固有名詞を出すのは本当は嫌いなんですけど、ジョー・ストラマーが亡くなった記念に出そうと思ったんです。
──西嶋くんは突飛なことを口走る熱い男です。西嶋くんの「熱さ」に触れると、引くか、巻き込まれるかということになっちゃうんですが、周りの登場人物たちとのバランスとうまく調和していくところが面白かったですね。
伊坂さん 周りがあんまり西嶋に同調すると、「それが正しい」みたいになっちゃうじゃないですか。それはやっぱり辛い。「ジョー・ストラマーが死んじゃったのに、俺たちは何やってるんですか」っていう発言もそうだけど、言っていることが絶対的に正しいわけでもないじゃないですか。だから、突飛なことを言う人を出す一方で、主人公は引いた人にしよう。そういうバランスは考えましたね。
『チルドレン』の陣内もそうなんですけど、『チルドレン』を出したときに、ぼくの予想以上に、陣内くんに好感を持つ人が多かったんですよ。西嶋くんはどうなんだろう?
──とにかく、印象に残るキャラクターですね。「陣内」も「西嶋」も、フィクションの中だから好感が持てるんじゃないでしょうか。実際にいたらウザイかもしれないけど、フィクションの中だと、こういうやつの居場所があってもいいよな、って思える。
伊坂さん こういう人がいてもいいよなっていうのは、たしかにほんとにそう思いますね。
──こういう人がいてもいい、という意味では、『砂漠』には「超能力」が登場しますね。
伊坂さん テレビを見ていて、超能力否定派の人が出てくると、ちょっと嫌だったんですよね。ぼくは超能力を信じているわけではないんですけど、なぜ、そんなにムキになって否定するのかなあ、と。
そんなときに、森達也さんの『スプーン』(飛鳥新社→『職業欄はエスパー』として文庫化・角川文庫)を読んで、すごく感動したんですよ。
それで、フィクションのなかでくらい、超能力者を登場させて、否定する人たちにひと泡吹かせてやりたいな、と思ったんですよ。
伊坂幸太郎さん──『砂漠』はミステリー小説としての面白さもあります。犯罪も関わってくるわけですが、伊坂さんが「犯罪」を書くのはなぜでしょう?
伊坂さん いくつか理由はあるんですけど、1番大きいのは、小説のなかで何も起きないということへの不安なんだと思います。
ぼくが言うとウソくさいんですけど、小説に毒を入れたいんですよ。何も起きない、無菌な状態の小説というのも世の中にはあるし、ぼくの小説も比較的そうだと思われている節があると思うんです。「癒し系」的な。
でも、ぼく自身は、小説や映画、つまりフィクションには毒がないと嫌なんですよ。毒という意味で、思いつくのが犯罪なんです。だから、何か事件を起こしたくなる。
──今回の『砂漠』では、大学生の話らしく「恋愛」もありますね。
伊坂さん そうですね。ないのもウソくさいじゃないですか。ぼくは恋愛を書くのはあんまり好きじゃないんですけどね。恋愛に主眼がいかないように気をつけました。超能力と同じで、自然にそこにある、という感じにしたいと思って。
──なぜ、恋愛を書くのが好きではないんですか?
伊坂さん 展開が読めてしまうような気がするんですよ。「これとこれがくっつくのねー」とか、「ケンカするのねー」とか。バリエーションになってしまうような気がして、読者に「こんな小説、読んだことない」と思わせる自信はないんですよ。従来あるパターンをなぞるしかなかったら、読者も楽しくないと思うんですよ。だから、恋愛はあくまで横道、というふうにしたいですね。
──「こんな小説、読んだことない」と驚きを与えたいというのは、ほかの伊坂さんの作品にも共通する狙いですね。
伊坂さん そうですね……。やっぱり、読者の方に、ぼくの小説を選んで読んでもらう理由が欲しい。これだったら、別の誰それの小説を読んだほうがいいとか、この人といっしょだ、と思われるのって寂しいじゃないですか。
これは伊坂幸太郎的だよね、と思われるものを書きたいんですよ。
書き下ろしに特別な思い入れを持っているという伊坂さん。しかし、『砂漠』は、1年半ぶりの書下ろしという「大作」としてではなく、単純に楽しめる小説として読んで欲しい、とおっしゃっていた。『グラスホッパー』『死神の精度』『魔王』といった近作と比較すれば、確かに日常的寄りの親しみやすいる世界だ。読み終えた後、この登場人物たちと会えないのかという一抹の寂しさが残るほど。伊坂ワールド未体験の方にもおすすめしたい1冊。【インタビュー:タカザワケン】
遅ればせながらも今回の休みを利用して一気に鑑賞させてもらいました。
本当に面白いのかよ!っと半信半疑のまま突入!
なんと止まらなくなってしまい、4本ずつと決めていたのに速効で見てしまって
また、借りに行くことにここまでくるとアニメの世界に完全にココロを重ねてましたね。
感情移入ですよ。
最初は、主題歌を歌っている中川翔子にイラツイテいたんですが、5本目くらいまでくると
口ずさみはじめて、いい感じに翔子がフィットしてきましたよ。
「俺が信じるお前を信じろ!」という言葉早速合コンで使ってみよう!
と思いました。
あと、展開もサクサクしていて非常によかったです。驚きの連続でした。
うーm
やっぱり最近の下手なTV番組やらせSHOWとか糞宗教のコネコネドラマとかみるよりよっぽどタメになりますわ。大根役者が増えすぎですな。
ということで
気になったら、是非見てみるといいですよ。
あと、伊坂幸太郎の「砂漠」って本読みました。
やっぱりこの人のセンスって僕は好きですね。
西嶋君はかっこいいよー!
この人は、細かなところで散りばめているエッセンスがあって
この小説で言えばその一部分は「クラッシュ」のジョー・ストラマーとか「ラモーンズ」のジョーイ・ラモーンなんだけど、そのセンスがやっぱり読み手に共感をえるわけ。
この場合だったら、「クラッシュ」と「ラモーンズ」を知らない人は、この本に出てくる西島君が好きな「クラッシュ」と「ラモーンズ」が気になって絶対調べると思う。
そこらへんの書き方が上手いなーと感じてしまう。
伊坂幸太郎氏のインタビューがあったので
“トランプとか、ジャンケンとか、
小説のなかでどう書くかを考えるのが好きなんです”
──今日は、『砂漠』にまつわるキーワードについてお聞きしたいのですが、まず、主人公は「大学生」ですね。
伊坂さん ぼくにとっての青春時代というと大学生なんです。高校生はまだ親の管理下にあるけれど、大学生は親からある程度は独立して、しかも生意気。そんなイメージがあって、大学生を主人公にした青春小説を書いてみたかったんです。
正直、学生時代の話だったら、いくらでも書けると思っていたんですよ。「友情」というとちょっと違うんですが、友達とすごすくだらない日常が好きなんですね。でも、いざ書いてみたら、なかなか書けなかった(笑)。
──『砂漠』だけに限らないんですが、伊坂さんの小説はしばしば仙台が舞台になりますよね。もちろん、いま、お住まいだということはあるにせよ、なぜ「仙台」が舞台なんでしょう?
伊坂さん 楽天があるから! って、それは最近だろう(笑)。
──(笑)。
伊坂さん 自分が住んでいるからっていうことがもちろん大きいんですが、ウソがつきやすい。知らない土地を書いて、「こんな町じゃない」って言われたら住んでいる人たちに申し訳ないけれど、自分が住んでいる町だからウソをついてもいいだろう。あくまでフィクション。知っていてウソをついているんだよ、ということですね。
それに、仙台の特徴として、市街地から自然があるところまで比較的近い。『砂漠』でも海に行く場面がありますが、海も山もある。ちょうどいいんですよね。
でも、仙台じゃないと成り立たない話、というのはいまだかつて書いたことはないですね。とくに仙台そのものに大きな意味合いがあるわけじゃないんですよ。
──仙台は地方都市のひとつの典型だと。
伊坂さん そうですね。ぼくの小説を読んだ友達からよく言われるんですよ。「仙台、こんなに物騒なところじゃないだろう」って(笑)。放火とか通り魔とか、小説の中で事件を起こしていますからね。もちろん、純粋にフィクションです(笑)。
──伊坂さんの小説の「名前」の付け方は独特ですね。『砂漠』でも、東堂、西嶋、南、北村。東西南北が揃って麻雀をやる(笑)。
伊坂さん そこはこだわっている部分なんですよ。変な名前を付けたいという意味ではなくて、読者に登場人物を覚えて欲しいんですよね。正直、ぼくも小説を読んでいて、「この登場人物誰だっけ?」ということがあるんですよ。連想記憶術じゃないんだけど、記憶しやすいようにと思って名前をつけますね。
『砂漠』の東西南北っていうのも、あざといというか、作りすぎかなと思って悩んだんですけど、でも、それがきかっけで出会う、という設定にしています。
──「麻雀」が登場しますが、お好きなんですか?
伊坂さん 大学時代の思い出というと、麻雀なんですね。あ、麻雀だけじゃないですよ!(笑) 雀荘に入り浸ってて単位を落としたっていうほど、のめりこんでいたわけではないんですが、友達と何かをやろうということになると、麻雀だったんですよ。外に出てボーリングに行くとか飲みに行くとか、そういうアクティブなことをのぞけば。昼間っから「麻雀やろう」って。一人暮らしだったので、よくうちが麻雀する場所になっていましたね。
──ゲームつながりでいうと、「ボーリング」もこの小説の小道具としては印象的ですね。
伊坂さん ボーリングも、大学時代にけっこうやっていましたね。ゲームを小説に書くことが好きなんですよ。『砂漠』はボーリングと麻雀ですが、トランプとか、ジャンケンとか、小説のなかでどう書くかを考えるのが好きなんです。
競馬もよく書くんですけど、馬が走っているとか、そういう運動が好きなんですよ。ボーリングだったら、ゴロゴロゴロゴロってボールが転がっていくところを書くのは好きですね。
──『砂漠』では「音楽」も重要な要素ですね。強烈な個性の持ち主、西嶋くんがこだわるのが「クラッシュ」、「ラモーンズ」などのパンクロックです。
伊坂さん 『砂漠』のことを考え始めたのが2002年の終わりくらいなんですけど、「クラッシュ」のジョー・ストラマーが亡くなったんですよ。その前の2001年に、「ラモーンズ」のジョーイ・ラモーンも亡くなっていて、ぼくのなかでは、大ショックというほどではないけれど、「ああ、死んじゃったんだなあ」という感慨があったんですよ。高校時代によく聴いていたので。
『砂漠』は最初から大学生の話にしようと決めていたので、「ジョー・ストラマーが死んじゃったのに、俺たちは何やってるんですか」っていう人を出したいなって思ったんですよ。
小説で固有名詞を出すのは本当は嫌いなんですけど、ジョー・ストラマーが亡くなった記念に出そうと思ったんです。
──西嶋くんは突飛なことを口走る熱い男です。西嶋くんの「熱さ」に触れると、引くか、巻き込まれるかということになっちゃうんですが、周りの登場人物たちとのバランスとうまく調和していくところが面白かったですね。
伊坂さん 周りがあんまり西嶋に同調すると、「それが正しい」みたいになっちゃうじゃないですか。それはやっぱり辛い。「ジョー・ストラマーが死んじゃったのに、俺たちは何やってるんですか」っていう発言もそうだけど、言っていることが絶対的に正しいわけでもないじゃないですか。だから、突飛なことを言う人を出す一方で、主人公は引いた人にしよう。そういうバランスは考えましたね。
『チルドレン』の陣内もそうなんですけど、『チルドレン』を出したときに、ぼくの予想以上に、陣内くんに好感を持つ人が多かったんですよ。西嶋くんはどうなんだろう?
──とにかく、印象に残るキャラクターですね。「陣内」も「西嶋」も、フィクションの中だから好感が持てるんじゃないでしょうか。実際にいたらウザイかもしれないけど、フィクションの中だと、こういうやつの居場所があってもいいよな、って思える。
伊坂さん こういう人がいてもいいよなっていうのは、たしかにほんとにそう思いますね。
──こういう人がいてもいい、という意味では、『砂漠』には「超能力」が登場しますね。
伊坂さん テレビを見ていて、超能力否定派の人が出てくると、ちょっと嫌だったんですよね。ぼくは超能力を信じているわけではないんですけど、なぜ、そんなにムキになって否定するのかなあ、と。
そんなときに、森達也さんの『スプーン』(飛鳥新社→『職業欄はエスパー』として文庫化・角川文庫)を読んで、すごく感動したんですよ。
それで、フィクションのなかでくらい、超能力者を登場させて、否定する人たちにひと泡吹かせてやりたいな、と思ったんですよ。
伊坂幸太郎さん──『砂漠』はミステリー小説としての面白さもあります。犯罪も関わってくるわけですが、伊坂さんが「犯罪」を書くのはなぜでしょう?
伊坂さん いくつか理由はあるんですけど、1番大きいのは、小説のなかで何も起きないということへの不安なんだと思います。
ぼくが言うとウソくさいんですけど、小説に毒を入れたいんですよ。何も起きない、無菌な状態の小説というのも世の中にはあるし、ぼくの小説も比較的そうだと思われている節があると思うんです。「癒し系」的な。
でも、ぼく自身は、小説や映画、つまりフィクションには毒がないと嫌なんですよ。毒という意味で、思いつくのが犯罪なんです。だから、何か事件を起こしたくなる。
──今回の『砂漠』では、大学生の話らしく「恋愛」もありますね。
伊坂さん そうですね。ないのもウソくさいじゃないですか。ぼくは恋愛を書くのはあんまり好きじゃないんですけどね。恋愛に主眼がいかないように気をつけました。超能力と同じで、自然にそこにある、という感じにしたいと思って。
──なぜ、恋愛を書くのが好きではないんですか?
伊坂さん 展開が読めてしまうような気がするんですよ。「これとこれがくっつくのねー」とか、「ケンカするのねー」とか。バリエーションになってしまうような気がして、読者に「こんな小説、読んだことない」と思わせる自信はないんですよ。従来あるパターンをなぞるしかなかったら、読者も楽しくないと思うんですよ。だから、恋愛はあくまで横道、というふうにしたいですね。
──「こんな小説、読んだことない」と驚きを与えたいというのは、ほかの伊坂さんの作品にも共通する狙いですね。
伊坂さん そうですね……。やっぱり、読者の方に、ぼくの小説を選んで読んでもらう理由が欲しい。これだったら、別の誰それの小説を読んだほうがいいとか、この人といっしょだ、と思われるのって寂しいじゃないですか。
これは伊坂幸太郎的だよね、と思われるものを書きたいんですよ。
書き下ろしに特別な思い入れを持っているという伊坂さん。しかし、『砂漠』は、1年半ぶりの書下ろしという「大作」としてではなく、単純に楽しめる小説として読んで欲しい、とおっしゃっていた。『グラスホッパー』『死神の精度』『魔王』といった近作と比較すれば、確かに日常的寄りの親しみやすいる世界だ。読み終えた後、この登場人物たちと会えないのかという一抹の寂しさが残るほど。伊坂ワールド未体験の方にもおすすめしたい1冊。【インタビュー:タカザワケン】