久しぶりの長編。
今回も何か喚起・想起させてくれるような気配がする。
魂復興?の物語??
上巻の最初の数十ページは物語の世界に入る導入部分、一人称の世界、パラレルな世界
少しずつ『羊をめぐる冒険』が思い出す。
読んでいる時は村上ワールドの浸る。
そして物語は終わる。
読み終えてなんだったんだ!?!?との
思いがいつも残る。
そしていつかまた読み返す「⁉︎」のために
なぜ読み続けるのか
下記の本文が1つの的を得ている様な気がする。
「私はあなたに迷惑をかけているのかしら?」とユキは言った。
僕はそれについて少し考えてみた。
「かけているかもしれない。でもそれは君が気にするべきことじゃない。どうしてだろう?どうして僕は君といるのが好きなんだろう?歳もこんなに違うし、共通する話題だってろくにないのに?それはたぶん君が僕に何かを想い出させるからだろうな。僕の中にずっと埋もれていた感情を思い起こさせるんだ。僕が十三か十四か十五の頃に抱いていた感情だよ。もし僕が十五だったら君に宿命的に恋していただろう。それは前に言ったっけね?」
「言った」と彼女は言った。
「君と一緒にいると、時々そういう感情が戻ってくることがあるんだ。そしてずっと昔の雨の音やら、風の匂いをもう一度感じることができる。すぐそばに感じるんだよ。そういうのって悪くない。それがどれほど素敵なことかというのは君にもそのうちわかる」
あとがき
この小説は一九八七年十二月十七日に書き始められ、一九八八年三月二十四日に書き上げられた。僕にとっては六冊目の長編小説にあたる。主人公の「僕」は『風の歌を聞け』、『1973年のピンボール』、『羊をめぐる冒険』の「僕」と原則的には同一人物である。
一九八八年三月二十四日 London 村上春樹