西表島 POLEPOLE アウトドアツアー

急がず焦らず、ポレポレな毎日を志すツアーショップのブログです。

沖縄県カヤックカヌー協会 安全講習会

2018-05-26 21:39:03 | 安全への取り組み
5/24 NPO法人沖縄県カヤックカヌー協会 安全講習会に参加してきました。
前回に続き、今回も沖縄本島より医療関係者の方々による座学も含まれており30を超える事業所が参加。
西表島にいながらこういった講習に参加できることに感謝です。

午前は実技講習。
基本のパドリング技術の確認、シチュエーション別のレスキュー訓練など2時間半しっかりと行いました。
しかしまた天気がいいこといいこと。



僕は今回シットオントップカヤックのグループを担当、生意気に講師役です。
考えられるシチュエーションも底をつき、最後の一手は「底が割れたカヤックに水が入った状態を体験する」という事に。
いわゆる水船ですね。
シーカヤックも驚くほど安定性が欠けますが百聞は一見にしかずという事でいい体験ができました。



そして午後は座学。



危険生物の対処法から始まり、緊急時の通報に関する事や事例の紹介もありました。
休憩を挟んで一時救命措置講習。



何度も繰り返し訓練する事で緊急時に備えます。
せめて一年に一度は行いたいものです。

最後は傷病者の搬送法。
これも何度か受けていますが復習を繰り返します。



そして講習は終了。
今回も遠方より講師の方々に来島頂き充実した内容の講習になり嬉しい限りでした。
皆様ありがとうございました。

次回は6月、認定ガイドの試験です。


沖縄県カヤックカヌー協会 定期講習会

2018-04-12 21:29:14 | 安全への取り組み
昨年12月より「沖縄県カヤックガイド協会」から「NPO法人沖縄県カヤックカヌー協会」へと法人化され、本日は法人化して初めての講習会となりました。
法人化された事により今までより強固な組織体制となり、一層の社会的信頼性の向上が期待されています。

今回の講習は認定ガイドの認定継続講習。
基本のパドリングは技術確認と、パドリングに関する各参加者からの疑問点や質疑応答による技術向上が図られました。
 


一通り確認が終わった後はツアー中を想定した二人乗りカヤックを使用するレスキュー訓練。
基本的な方法からはじまり、カヤックにある荷室の蓋が外れて浸水し、半水没した状況を想定したレスキュー訓練も行われました。


※写真の中央に見えているのは船体の前半分が沈んでしまったカヤックです。

休憩をはさんで午後は座学。
トラゾウ保護基金によるやまねこパトロール代表の方からやまねこの現状や世界遺産についてのお話や、
各事業者の情報共有のためにツアーにまつわるリスクを洗い出しなどのリスクマネジメント、
各事業者持ち寄りでファーストエイドキットの内容確認、ツアーに携行しているカヤック修理キットの情報共有など、
普段一堂に集う事のない業者間での情報交換が盛んにおこなわれ、ファーストエイドキットの内容にて個人的にも良い情報をつかむことが出来ました。



5月にも行われる定期講習会。
次回も参加させていただく予定です。

日本ケイビング連盟 全国合同研修

2017-12-06 12:42:21 | 安全への取り組み
2017.11.25~12.1 愛知に本部がある「日本ケイビング連盟」(以下JCU)の全国各支部が集まり、合宿スタイルでの研修が行われました。
今回の参加は北海道、奈良、沖永良部、西表島。
JCUはケイビングの技術提供や訓練の実施、レベル分けしたガイド認定などを行っている国内唯一の民間団体です。

国内では減少しているケイビング人口。
昔の探検部のような活動を行っている報告もあまり聞かなくなったとのこと。
今回の研修は、代表の吉田勝次率いる探検活動やテレビロケを共に行える人材育成の意味合いも持っていたようです。

今回の研修に備え、オンロープレスキューやリギングなど予習も行い参加しました。






今回の研修に合わせ、JCU本部施設にクライミングウォールが登場。
洞窟内に存在する地形を再現し、それに対応するべく訓練が可能となっています。
研修前日から到着していた西表島・奈良支部でクライミングウォールの石付け作業やマットの修理を行い本番に備えたのですが、皆気合が入り過ぎていたために深夜早朝問わずいきなりハードなスタートに・・・笑

隠しきれない意気込みが溢れてしまいました。

そして翌日から全国のケイビングガイドが集合。
早速室内トレーニングへ。



さらに、冗談かと思われた200メートルのロープ登高(以下SRT)トレーニング。
デモのギョニさんは25kgの重りをつけて・・・
すでに時間は22時ころ、汗だくの表情、疲労の声が響き渡っていました。




11/28
待望の実地訓練。
今回はリギングと呼ばれるアンカーとロープのセットがメイン。
壁に打ち込まれたネジ穴にハンガーをボルトで取り付け、そこにカラビナを介してロープをセットします。
翌日からキャンプで訪れる洞窟でのリギングの前に練習です。

移動車内はギアでいっぱい。



今回はトレーニングですのでザックの中には重りとなる石を入れていきます。



必死の思いで到着、装備を装着後にリギングスタート。
僕は一番手 全員が体重を預けるロープのセット、悲しい事に自分がやった作業が一番信用できません。

二番手に交代しどんどん進みます。
リギングのチェックは地球探検社のまっちゃんこと松下氏。












ロープには一人しかぶら下がりませんので、洞窟の中では一人っきりの時間が多いです。
写真にするとこんな感じ。


うまくいった時も失敗した時も全て自分に返ってくるのでトラブルは自分で解決するしかありません。
まるで自営業のような時間なのです。


しばらくして洞窟の最深部に到着。
一息ついて今度はロープを回収しながら戻っていくデリギングを開始。
担当しない僕はそそくさと洞口を目指し登っていきます。
すると洞口は・・・太陽が傾き、素敵な光景に。



あぁ、広角レンズの必要性を痛いほど感じました。
16-28mmとかで F2.8通しレンズなんか夢のレンズ。




洞窟を出て温泉と王将で身も心も満たし、洞窟キャンプのギア準備の打ち合わせ。







ロープは200m 100m 30mを準備。
国内最大級の竪穴なのです。




キャンプ当日。







ストリームトレイル社のヨクスプローラーというザックを使います。
これはストリームトレイル社のアンバサダーである吉田さんが監修の探検ザック。



それぞれ個人装備でザック一つ、ロープザックが3つですから誰かがザック二つで行動します。



準備を終わらせ、リギングスタート



↓リギングのチェックはJ.E.T.の近野さん。



メンバーを交代しながらどんどん進みます。







洞内でのコミュニケーションはトランシーバーで。



滑落しない体制を取っているとは言え、一歩踏み外すと闇の穴へ・・・というシーンでは全身がゾワゾワします・・・



僕の下に二人いるのが見えますか?
このピッチは60mくらいだと思われます・・・







最深部に到着、吉田隊長のメニューは焼いた餅に醤油と海苔、ウインナー、そして強奪した他人の食糧。
他のメンバーはフリーズドライ食やカップラーメンなど。
定番は鍋だそうですが今回は個人で揃えました。







この日の寝床。



快適空間、滴下水無し。
しかし翌朝は小さなゴキブリのようなものがウヨウヨ・・・



起床は3時。
当然ですが何時だろうが景色は変わりません・・・
写真撮影の時間を考慮し、早めの撤収となりました。

ここで洞窟写真家の肩書を持つ吉田さんの装備と方法を観察。
ツアー写真にも取り入れさせて頂きたいと思っています。
あぁ、また新たな物欲が・・・



そして撮影は終了、恐れられてた撮影時間は数十分で終わりホッと一息。
登り返しとデリギングを開始し、地上で無事全員合流となりました。







・研修を振り返って

今回はボルト穴があらかじめ用意されていた洞窟でのリギングがメイン内容。
そしてこの洞窟は我々にとって2回目であり、去年と同じような興奮はありませんでした・・・
という事で感じたのは、自分たちで見つけた洞窟に一からリギングした時の感動はどれほどのものなんだろうか、という事。
規模の大小や美しさではなく、最大の魅力はやはり「未踏である」という事なのだろう。

J.E.T.の方々が新洞にこだわる理由を肌で感じる事が出来ました。


リギングやSRTについては、ギアに触っている時間を増やさないと時間や手間がかかったりスムーズなケイビングのために改善の余地ありです。
特に、重いバッグを下げた状態でのSRTやトラバースは場数を踏まないと時間が掛かり過ぎだと指摘を受けました。
単純な筋力不足も。


こんな研修がツアーのどこに生きてくるのかとご指摘頂きそうなものですが、経験があることで生まれる「自身の精神的余裕」に尽きると思います。
地上では大した事でなくても洞窟の中で起きると一大事なる事はたくさんあります。
ツアーを引率する者にとってツアー中に心配事が消えることなどありませんが、こういった経験が自分の心の余裕を作ってくれます。
その余裕が、危険を誘発するお客さんの行動を見つける事が出来たり、お客さんの異変に気付く事が出来たり、につながると思っています。

今年の2017年はケイビング中にツアーを中断したり中止にする事があり、
ツアー参加者が熱中症気味になったりする身体的要因と、経験のない閉所や暗所での精神的要因の両方がありました。
放っておくといずれ事故につながる出来事でしたので、ケイビングの面白さと隣り合わせにある危険性を考慮するなら今回は有意義な研修だったと思っています。


・他に感じた事
SRTや洞内の移動を困難にするのは荷物の量ですが、この荷物は自分のものもあれば共同装備が入っていたり、他人の荷物も一緒に持たないといけないシーンが多々あります。
そしてお互いの連携を取りづらい環境で後続者へトランシーバーで連絡したり、洞窟を出た時には連帯感や仲間意識がかなり生まれます。
逆に言うと初対面の人といきなり洞窟に入るなんて嫌だなと思ってしまいます。
これは洞窟ならではのモノかも知れないなと感じました。

ここには書けない話もありますので、興味のあるお客様はツアー中にでも聞いてやってください。
ツアーが押してしまうかも知れませんが・・・笑





今回お世話になった日本ケイビング連盟代表の吉田隊長、地球探検社ciao!(チャオ)のまっちゃんとゆかりん、JETの近野さん、ギョニさん、大変お世話になりました。
また、北海道・奈良・沖永良部の皆様お疲れさまでした。

来年の研修も楽しみにしています。

レスキュー3テクニカルロープレスキュー&ワークショップ

2017-10-26 13:37:22 | 安全への取り組み
2017.10.21〜23
レスキュー3テクニカルロープレスキュー講習、
10.24〜25
ロープレスキューワークショップ

今回は上記講習に参加致しました。
テクニカルロープレスキュー(以下TRR-T)講習が沖縄本島にて開催されるという事で沖縄本島や石垣島から消防士15名、西表島から3名、韓国から山岳救助関係者9名が集結。

予備知識無しで理解出来る講習内容では無いとの事で、予習を行い参加させて頂きました。

TRRTの初日は座学と室内練習。
レスキュー理論や機材の解説から始まり、基本のロープワークやロープとアンカーの結着方法、担架使用時の縛着方法を学びました。













2日目はアリゾナボーテックスというレスキュー用の三脚フレームの使い方、ロープの登高と下降、講師によるロープの結び方(ノット)の解説でした。
レスキュー理論、機材、ノット、支点作成など初日に習った内容を総動員で三脚フレーム設置を実践し、翌日の野外実習への準備が整いました。













3日目、フレームを使った野外での救助訓練。
ピンポイントに設定された場所へ下降しレスキューに向かう為、フレームの位置決めやそれに合わせた支点を作るために初日2日目の講習内容を再び総動員。
地面が平らでは無い、都合の良い場所に木が生えている訳でも岩がある訳でも無い状況下に対応する難しさは学びが多かったです。
場所を変え、数メートルの高さで実際にフレームを使い要救助者と救助者をロープで垂直に上昇、下降させる訓練も行いました。













至らない点も多かった学科試験も合格を頂くことが出来、無事全日程を修了。





そしてより実践的な内容を期待していたロープレスキューのワークショップ。
結果は内容の濃い2日間でした。
TRRTで学んだ内容の応用編レスキューや、機材を限定したレスキューシステム、野外環境でのレスキューシステムの構築などTRRTの内容をある程度理解出来ないと収穫は少ないと思われる内容でした。
また、西表島メンバーの意向を汲んで頂いた内容を取り入れて頂いたりと多くの収穫を頂く事が出来ました。


TRRTとワークショップで合計5日間。
その時その時に一つの正解の形を作る為にいつでも講師に質問出来る、という大変貴重な時間でした。


















・講習を振り返って
この講習、ワークショップで習った内容はそのままツアーに活きてくるものではありません。
習った内容のままレスキュー活動を行う訳でもありません。
個人的に特に学べたなと思う事は、一番大きいのは「支点」。ノットを含めた支点取りに関する事とそれに対する理由、他には「ここが壊れた時の為に」などの徹底したバックアップ、ロープに掛かっている荷重とそれに対する意識、です。

そして知らない場所で、知らない人達に囲まれ、知らない事を教わり、至らない自分を突き付けられる事にも価値を感じます。
さらに、確立された技術に触れ、それを得ている講師陣の所作や頂いた指摘に精神が消耗しましたが、それと同じように学びが多く持ち帰れるものは多かったです。

今回の講習で人数も機材も不足の無いベストな状態を学びました。
今回学んだ事を基礎とし、限られた機材と人員での救助体制を整えて万が一に備えていきます。

TRRTに備えた事前講習を行って頂いた先輩ガイドの方々、申込みから会場の手配や表に出ない所で尽力頂いた中井様、連日講習をサポート頂いた島尻消防の皆様、消防職員でもない我々を暖かく受け入れて頂いた参加者の皆様に感謝致します。


そして講師陣の皆様。
今回は沖縄本島でのTRR-Tを開催して頂きありがとうございました。
初歩的な質問をするのは恥ずかしかったですが本当に勉強になりました。
今回学んだ事を基盤として、自分たちの形を模索していきますので、解決出来ない事が出来た際は質問させて下さい。
リフレッシュ参加やワークショップでまたお世話になりたいと考えていますのでその際はよろしくお願い致します。








ありがとうございました。

平成29年 海上保安庁との海上合同訓練

2017-05-23 19:46:48 | 安全への取り組み
本日 H29.5.23海上保安庁との合同海上救助訓練に参加してきました。



午前は海上保安庁職員の方々による講習と、石垣島地方気象台の職員の方による講習でした。
 


118番で救助要請した際の返答シュミレーションや、救助要請があった際の海保側の体制などの話を伺いました。
全国で起こった海難事故事例など、事業所として参考にさせて頂ける内容もあり勉強になりました。


午後は海上訓練。

今回はカヤックの海難事故の救助も講習内容に組んでいただけました。


カヤック業者はカヤックにて海上の訓練現場に向かいます。

石垣島からヘリの到着を待ち、海難救助の際のヘリコプターによる下降気流を海上で体験します。



今回は事前に要望を出しておいたので僕も体験できました。
カメラは・・・・・・持って行けませんでした・・・


↑巡視艇の左上に見えるのが海保のヘリです。

ヘリ下はかなりの風で、飛沫の痛さや風圧も肌で体験。
起こしてはならない海難事故ですが、要請を出さざるを得ない場合、海上での心構えが少しだけ整ったかも知れません。
百聞は一見に如かずです。


続いてダイビング・シュノーケル・カヤック業者のグループ別に分かれて海上から動力船への引き上げ訓練。
今回はシュノーケル業者様の和船にて引き上げ訓練を行わせて頂けました。



カヤックから動力船へ。
要救助者は何らかの理由によりほとんど体を動かせず、コックピット内に寝そべる状態でガイドが牽引し、動力船に救助要請という限定のシュチュエーションです。



何パターンか試し、検証。
海況や体格差などもあるので正解が決まってる訳ではないのですがガイドが集まり、人数や方法などの可能性を探りました。
でも最後はやっぱり力技になってしまうので筋力の必要性も個人的に痛感・・・


海難救助の際に使用される、要救助者をヘリから吊り上げ救助するハーネスのようなものも試着させて頂けました。



要救助者の体格や装備に関係なく、安全にヘリに引き上げ可能なものでした。

そして残り時間で海上保安庁の職員の方への質疑応答。
実際の救助についての質問や、シーカヤックの救助の進め方など具体的な話が聞けて収穫は非常に大きいものでした。
こういった質疑応答は少人数でないとなかなか言い出しにくい内容もあるので、この時間が個人的には有難かったと思いました。




そして最後はローカルテレビの撮影で全員集合。
ここで挨拶となり解散。
我々はカヤックにて帰港しました。



年に一度の海上保安庁との合同訓練。
ダイビング組合と海保が主導で開催して頂いているこの救助訓練ですが、カヤック業者向けの内容も今回組んで頂きこちらとしても有意義な講習を体験させて頂きました。
開催にあたってご準備頂いた全ての関係者の皆様に感謝致します。
また、ガイドからの質疑応答に親切に対応して頂いた海保の職員の方々にも感謝致します。
非常に参考になりました。


講習が続く夏目前のシーズンオフ。
事故を起こしてはならないという意識向上が、少なくとも図れたのではないかと感じています。
もちろん万が一の際の対応に関して勉強になりました。
これからも参加できる勉強会には極力参加させていただきたいです。

夏のシーズンはもうすぐ始まります。
今年も事故が無く、皆様に素敵な思い出作っていただければと思います。