
なかなか興味深いものだったので、じっくりと読んでみた。
一言で言えば、あれだけ前々代表監督のトルシエ・バッシングをしていたマスコミ
が、今度は、ジーコバッシングに近い論調に回っている。
ただ、当たっているので、当人も反論できないだろう!?(もう日本に居ないが…)

こと。
王様と言えば、一人はジーコ監督自身であり、もう一人は既に引退しチームを
去った中田ヒデだ。
「自分はこう思っている…そして、準備も充分やってきた…身をもって示して
いる…だから、チームメイトも同じようにやってくれるしできる筈だ…」という
風に、全くの思い込みによる過信とディスコミュニケーションの産物でもあった。

Jリーグが盛り上がりを見せている。
やはり、新生・オシムジャパンへの期待もさることながら、W杯期間中は封印を
余儀なくされていた「ジーコバッシング」や「ジャパンバッシング」が解かれた
ということもあるのだろう。

それにまだ結果は伴わないけど日本復帰の大久保など、先のW杯に出場しても
おかしくなかったJの選手たちが、「輝き」を取り戻したようなのが不思議だし、
皮肉な話だ。

監督を招聘した頃に似ているのでは!?と思った。
ブレイザーはメジャー仕込みの近大野球を持ち込んだが、グラウンド内外での素行
に問題があり、何より、チームとのディスコミュニケーションから孤立を招いた。
江本氏が「ベンチがアホやから、野球がでけへん!」という有名なセリフでチーム
を離れたあの「事件」に次ぐ不祥事として、阪神球団はブレイザーを解雇した。
本当に、歴史は繰り返される。
川淵キャプテンが惚れ込み一存だけで招聘したジーコだったが、実際は、日本
でもチームの中でも孤立し、コミュニケーションのまずさから、自分にとって不利
な環境を自ら作ってしまった。
監督としてと言う前に、一人の人間として「怠慢」だった点は否めない。
仕事の環境を整えるのは自分の責任だ。
それから、チームや選手の環境を整えてあげる…というのが筋なのに、ジーコの
場合、最初からVIP待遇で甘やかせてしまった。
少なくとも、協会側が何もかも「お膳立て」してしまった印象は拭えない。
就任早々、オシム監督がチームの「日本化」を指摘していた。
蓋し、早くも名言である。
・他国の物マネをしていても、その国以上にはなれない。
・ライオンに襲われたウサギが肉離れを起こしますか!?
・練習の時から頭を使っていないと、試合では練習の出来以上にはできない。
当り前の言葉なのに、妙に胸に突き刺さり響いてくる。
一言で片付けるにはおこがましいが、ブラジルで長らく英雄として生きてきた
ジーコと、戦火をくぐり抜け「人と目の前の現実しか信用しない」という哲学に
辿り着いたオシムとの、「人間性」の差だと言わざるを得ない。

ということは、2010年南アフリカW杯もオシムで…という目算なのだろう。
でも、それはないような気がする。
恐らく賢明なオシムのことだから、当面は、少なくともこの2年間は、Jリー
グ寄りの采配をすることだろう。
息子のアマル氏にジェフ千葉の監督を継がせていることからも、それは窺える。
図らずもドイツW杯で断絶してしまった選手間の世代継承も、疑心暗鬼に陥っ
てしまった代表とJリーグとの溝も、2年がかりでジックリと時間をかけながら、
綻びを修復する…という腹づもりなのだと思われる。
結果オーライではないが、本来なら芽が出る筈だった「アテネ世代」が、一転、
谷間の世代になるなんてことがないよう、オシム監督には幅広く目を配ってもら
いたいし、それが2年で達成できれば、日本の未来は明るいと信じたい。

方はどうだろう!?
返す返すも、4年という歳月の長さと、サッカーという競技の持つ本来的な
「残酷さ」には、何と言ったらイイのだろう!?と、戸惑ってしまう。
◎全然別の話だが、ボクシングで全く無名の選手が、ジョー辰吉の記録と並び、
8試合目での世界タイトル奪取となった。
これで、日本のジムに所属する世界王者は、新記録の6人目となった。
8月の世界戦で、亀田興毅選手が王者になれば、一足早く、日本ボクシング
界の「黄金期」に入るのでは!?という予感すらさせる。
◎やはり、スポーツ・コンテンツは、球技から格闘技系へ…という流れが、本流
となって流れ始めているのを感じざるを得ない。
今年の夏は、梅雨明け宣言がないまま深まっていくようだが、パッとしない
天候不順をブッ飛ばす8月になる期待が強まる。
熱くなるのはスポーツだけでイイってのが本音だけど…
