☆つる姫の星の燈火☆

つる姫的夏の18切符の旅・まじめバージョン~つる姫西へ向かう~

  懐中印籠

 

朝の東京は曇り空。

西の方は大雨が降っているという天気予報を気にしながら

未明に起きて洗濯機を回す。

 

ロッキーは、いつもより数時間早い朝のお散歩の後にご飯をもらって

なんとなく予感がしているようだ。

 

ママがるすにするがママ  

怪文である。

 

これまで私が旅に出ると、彼は必ず問題を起こした。

今回はそんなことはないだろう、と希望的に考えて

耳の聞こえなくなった彼の視界に入らないように家を出て

早朝の街を駅に向かって歩く。

 

今回の旅では、初めて「億歩計」を装着した。

今日は電車での移動である。

移動距離は長いが、駅までの道のりや乗り換えでの歩数は大したことはないだろう。

 

まずは東海道線の下りに乗る。

金曜日の朝は、通勤通学の人々の日常であふれている。

大き目のリュックを膝の上に置いた、非日常の私がこの日向かう先は「和田山」

高倉健さんの映画などで一躍脚光を浴びて、

近年は大変な人出となっていると聞く、兵庫県朝来市にある竹田城跡に行こうと思う。

 

9回ある乗り替えの時間は、大体5分以内。

その度に急ぎ足で移動する人たちがいる。

多分彼らは懐中に、私と同じ18切符を印籠のように忍び込ませているのだ。

長い電車の移動では、席の確保に必死になるのは必至である。

みんなの想いがひっしひし伝わる。

 

どんよりとした曇り空の下

電車はゴトン、ガタン、ガトン、ゴタン、メタン、エタン、ブタンと西に向かう。

 

  つるは西へ雨雲は東へ

焼津の辺りで車窓は大雨の風景に変わった。

まるで沢山の不気味な生き物のように、雨粒が窓ガラスを高速で這う。

停車駅で電車のドアが開くと、ホームに真っ白い雨がたたきつけられて

電車の中にまでそのしぶきが入って来る。

しかし、私は旅先で雨に降られる気が全くしなかった。

大体晴れ女なのである。

 

西に行くにつれて雨は全く降らなくなった。

どこかで雨雲とすれ違ったらしい。

 

米原からは山陽本線となる。

無事に乗り換えて座席も確保し

これで姫路まで乗り換えなしで一安心、、と思った時

京都の手前辺りだったろうか、車内アナウンスが流れた。

どうやら福知山方面は大雨が降って、福知山線は全線で運休になっているようだ。

しかし、姫路からの播但線は問題なさそうだ。

福知山から和田山はそう遠くはないが、どうも最近の大雨は狭い範囲に集中するらしい。

 

姫路から播但線に乗る。

途中の福崎というところで乗り継ぎ。

大雨は完璧に東に移動したように見えるが

Yahooの天気予報では、この日も翌日もこの辺りは曇りや雨だった。

しかし雨模様の天空の城もまた、いとおかし、であろうと思う。

カンカン照りよりはましである。

山の霧が空に昇って行く様は、私が最も好きな景色の一つなのだ。

晴れ女が雨に降られたときのためのいい訳としておこう。

 

  サトリ

 

これまでの経験がものを言い、お手洗いはよいタイミングで車内で済ませた。

しかし、食事と言えば、かなり飲まず食わずである。

ささっと口に入れられる小さなパンやカロリーメイト的なものを準備して食べてはいたが

着いたら美味しいものを食べる気満々で和田山駅に到着。

しかし、駅の周りは思いのほか閑散としている。

とりあえずビジネスホテルにチェックインして

もう一度町に出た。

 

駅近くにあったお店に突入。

一人旅の私がお店に入る時には「突入」という言葉がふさわしい。

えいやっ!

シャイな私は心の中でかけごえをかける。

 

マスターが一瞬びっくりして、すぐに笑顔になり

カウンターの端を勧めてくれた。

反対側の端の方では、常連らしきおじさんたちが数名で盛り上がっている。

 

もちろんとりあえずビール。

いつもつい、プハッ!としてから気づいて写真を撮る。

気をつけねば。

胃は空いているのだが、座りっぱなしだったせいで腸がパンパン。

とはいえ、ビールには油ものも食べたい。

共食いになるか

タコのから揚げ

味のある女は

アジのお造り

腸を気にして

大根のサラダ

 

しかし食べるのはこれで限界。

腸が胃を圧迫している。

 

もちろん第二の胃は健在である。

生ビールはおかわりして、マスターと少しおしゃべりをした。

マスターは飲み過ぎで、すい臓が悪いそう。

去年は入院したそう。

でも飲むのをやめる気はないんだそう。

そして、お店も作って孫も出来たし、もういつ死んでもいいんだそうだ。

 

ばんなそかな。

いや、そんなばかなと

以前ならこんな言葉を聞いたら、なぜもっと夢とか目標とか

あるいは、趣味などを見つけて人生を楽しまないのかなと思っただろう。

しかし、今の私はそうは思わない。

私を見て「いいねえ。優雅に旅できて」と彼は言った。

彼が旅をしたいならすればいい。

したくても出来ないのではなく、しないだけなのだ。

例えばピアノを弾けない私が、「いいわねあなたはピアノが弾けて」

というようなものなのだ。

ピアノを習う気はもうない。

 

いいわねあなたは髪の毛がふさふさで。。

現在はよい鬘があるのだから使えばよいのだ。

 

幸せという言葉は辛いという言葉と似ている。

求めて得られないもどかしさで苦しむより、今を受け入れて生きる方が楽。

たとえば、薄毛を気にしながらもヅラに頼らないで明るく生きる。

 

話がちがうだろうか。

 

人はサトリを開くと、他人に何も言えなくなる。

私はマスターに、そんなこと言わないで

元気で長生きしてくださいとは言えなかった。

思うように生きるのが一番の幸せだと思うし

そして、今の私も形は違えど同じようなものだから。

思うように生きていけない事を受け入れるのも然り。

年を重ねたから言える事だろう。

 

くれぐれも私がサトリを開いていると言っているのではない。

屈託のない笑顔のマスターを見ると

そのままでいいではないか、ありのままで、と思えたのだ。

そして実は彼は、こんな私なんか以上にサトリを開いているに違いないのだ。

 

縁があればまた行きますから、きっとそれまで生きててください。

と今ここで、心で祈っている私がいる。

 

私が先に死んだりなんかして。

 

 

  出るかおばけ

 

さて、3時半起きであった。

いかにも何か出そうな古いビジネスホテルの廊下を歩いて

別館のしかも一番奥の部屋に向かう。

 

廊下の途中に、電子レンジがチーンと置かれている。

ご親切にどうも。

部屋の隣は「ふとん室」だ。。

 

えいやっ!部屋に闖入する。

何者かがいるとしたら、私は闖入者である。

年を重ねるのがうれしい事の一つは、怖いものが少なくなることである。

 

小さなバスタブにお湯をはりしばらく温まると

腸の調子が復活。

自分では気づいていないが、どうも私は冷える体質らしい。

 

明日も3時半に起きて、始発電車で隣の駅の竹田まで戻り

天空の城にのぼる予定である。

疲れている割にはバタンキューとはいかなかったが

お化けが出なかったから勿怪の幸い。

 

 

 

本日の歩数   7184歩  食べ物を探して駅の周りをうろついたので意外と歩いていた

乗車距離    700.8キロ

 

 

つづく

 

 

今回の旅のお話は真面目バージョンで書いてみます。

ギャグは一切ありません。

 

 

 

ご訪問ありがとうございます。

この次も長くなりますが、お時間があったら読んでください。

あまり読み直さないで書いてますから、

おかしなところがあったら、それが受け狙いだと思ってお許しを カッコ笑 

 

末筆ながら、今日は911です。

13年経ったのですね。

あの映像は、私の頭の中からも消える事はありません。

世界平和を祈って 合掌

 

感謝をこめて

つる姫


私の好きなものは笑顔。笑顔は世界を救うと信じるつる姫のブログです。

コメント一覧

パイロット
それは、ヤダ(爆)
つる姫
パイロットさん
いつもアドバイスをありがとうございます。
写真を先に入れるのも
細かい時間を入れないのも
読者の方の想像力を高めてもらう
意図であります。
パイロット
ん~出来たら、シーンごとに時間が、わかると、臨場感が有るんだけどな~

これ、手抜きか?(爆)


写真の前に説明を入れたほうが、読む方としては、ボレー読みやしいよ。
サラダ・・・・と書いたら下に移動して<お~このサラダか~>ってなるからね。(爆)(爆)

しかし・・・(;´д`)オバサンタフだね~晩
つる姫
ふっきーさん
うちの辺りは大したことはありませんでしたが、まあしかし最近の天候は極端ですね。
お友達がいらっしゃいましたか。
かぐや姫とはここ何百年か逢っていないのですが。笑
大阪からだと近くてよいですね!
今回立ち寄れなくて残念でしたが
おととい帰ってきてよかったです。
昨日はまた帰路の途中が大雨だったようですから。
続きもお楽しみに。
ふっきー
おかえりなさい
まずはお帰りなさい(^^♪
昨日は東京も大雨だったようですが大丈夫でしたか?

和田山に行ったんですね。
実は長年の友達が竹田におりまして
久し振りに会いに行こうかなと先日、
電車の時刻表を調べていたんですよ。

彼女は家具屋の娘で友達の間では
かぐや姫って呼ばれてました。
つる姫さんとは身内かもね(^^;

竹田城址も友達に連れて行ってもらいました。
何十年も前ですけどね。

旅の続きのお話し、楽しみにしています。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

最近の「フォト&エッセイ」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事