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エルサルバドル公演 顛末記⑤

2015-03-05 12:07:42 | ライブ・レポート
いよいよ3日目。
この日は、国立芸術センターでのワークショップとMARTE(エルサルバドル美術館)での日本大使館主催コンサートです。

まずは、国立芸術センターでのワークショップの方から。

この写真は、国立センターの外観。
『国立の何か』…というと、日本だと、超一流の建築家が設計した最新鋭の建物を想像しますが、そういうのは、いとも簡単に裏切られる感じでした。
何でも、エルサルバドルでは、『国立』というのはしょぼくて、民間の方が立派…という事はよくあるそうです。
ただ、黄色く塗られた外観が、芸術センター感を演出してますね。


ワークショップは1時間30分の予定時間でしたので、前半・後半45分づつにしました。
前半は、レクチャーの部、後半はセッションの部にしました。

前半のレクチャーの部では、ピアノの奏法の可能性についてお話ししました。


とはいえ、あまり説明が多くても、面白くも無いだろうと思い、ちょっと話しては、ピアノを弾き…という感じのレクチャーでした。
内容的には、
・右手と左手を独立させて演奏する方法
・それにボイス・パーカッションを加える奏法
・ピアノをギターの様に伴奏する奏法
 1. ストローク
 2. ロックンロール
 3. ボサノバ 
等をお話ししました。と言っても、一度話を聴いたくらいではまねできないとは思いますが、
・自分ならではの個性を身に付ける
・そのためにも基礎練習をみっちりやること
を何度も何度も強調しました。

事件は、後半の部に起きました。
事前に、センターの先生との打ち合わせでセッション曲を「Take The A Train」と決めていました。

また、セッション参加者を募った時に、手を挙げて出てくる生徒も、「もう仕込んである」という事でした。

という事で、時間もあまり無いので休憩も撮らず後半へ。
「これから、セッションを通して、色々指導します」
と言ってから、
「誰か出て来ませんか?」
と言いました。
すると、仕込んであった生徒さんが、続々と出てきました。
パートは、アルトサックス、フルート、ピアノ、ベース、ドラムス。
ドラムス…あれ、先生が出てきたぞ。
おいおい、先生が出てきてどうする…って事で、「生徒さんに代わって欲しい」というと、渋々自分の生徒さんをステージに呼んで交代しました。


「さぁ、それでは『Take The A Train』を弾いて下さい!」
と言うと、みんなキョトンとした顔になりました。
人の「キョトンした顔」というのも、最近では、あまり見なくなってましたが、この土地で久しぶりに見ました。そして、ピアノの生徒が
「僕達、そんな曲知らないよ~」
みたいなことをスペイン語で言っています。僕は、
「えー、話が全然違うじゃん」
頭が真っ白になりました。

そうする間に、そのピアノの生徒がカウントを出すと、全然別の曲が始まりました。
曲と言うか、コード進行らしきものがあるものの、集団即興演奏…とでもいうか、とにかく、全員が同時にアドリブしているみたいになりました。
カオス…とは、音楽の世界ではこういう事を言うのでしょう。
頭は、真っ白という状態から、さらに白さを増した状態に…、何なんだこれは!!!

慌ててしまった僕は、とりあえず演奏をストップさせ、
「この曲は何なんだ?」
と聴くと、ピアノの生徒が
「僕のオリジナルだ」
と答えました。オリジナルも何も、コード進行だけ決めて、みんなで即興演奏してるだけ…なんですが。まぁ、気を取り直して、
「とても素晴らしい曲だ。しかし、みんなもっとアンサンブルを考えないと…」
と言いました。そしてとっさに後半のテーマを
「シンプルに演奏するという事を学ぼう」
に切り替えました。

それからは、少しだけ頭に色が戻って来ました。
まず、ドラムスには、シンプルなスイングを刻んでもらいました。
フィルインを入れたそうでしたが、
「我慢して、ベーシックなパターンを刻み続けてくれ」
と指導しました。
そして、ベースには、Cのコードでシンプルなベースランニングをしてもらいました。
ピアノには、Cでのコードバッキングをしてもらいました。
すぐにアドリブしそうになるので、
「我慢してコードバッキングに徹して。」
と指導しました。
そして、その状態で2,3分維持してもらいました。
段々、みんなリズムを刻むことに楽しさを覚えたようです。

そして、いい感じになった頃に、フルートにアドリブを入れてもらいました。
シンプルなバッキングの上で奏でられるフルートのアドリブは、先ほどの集団即興演奏よりも、はるかに聴きやすいものになりました…と僕は今でも確信してます。
フルートの後にはアルトサックスにもアドリブをしてもらいました。

スイングがいい感じだったので、次はファンクのリズムでも同じような事をしてもらいました。ただ、コードは、CからCmに変更してもらいました。

何とか、いい感じのファンクになり、最後は、僕の指揮でリットしてフェルマータになり、無事(?)終了。

色々ハプニングはありましたが、ワークショップは成功しました。うん、多分。
というか、そうでも思ってないと、やってられない…。

最後は記念撮影大会。
終了後、2、3分誰も来なかったので、この会場では記念写真退会は無いのかな?…と思いましたが、一人の生徒が、もじもじしながら、
「もしよろしければ、一緒に写真を撮って下さい」(と、多分スペイン語で言ってたんだろうと思います。多分。)
と言ってきたので応じたら、その後私も私も…と言う感じでした。
積極的で人懐っこい方々と思っていましたが、こういう日本人的な恥ずかしい部分もあるんだな…とも覆いました。



↑左下の女性がフルーティスト。日本に来たら、大人気必至。



↑彼がオリジナルのフリージャズ(?)を披露してくれたピアノの生徒さん。

(続く)
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