京都文化博物館 旧日本銀行京都支店 (Photoed by I.Narumiya)
写真なんぞをやっておりましたら、開設者にも色々と変り種の友人がおります。
大学卒業後、ぺーぺーの新入社員として同じ営業所に配属された法学部出身の同期がおりまして、まあその彼の写真撮影への情熱は、(当初も今も)開設者とは比べ物にならないほど凄まじいものであります。
開設者が転属になった後、彼は撮影のために諸外国へと旅立っていったようで、以来ずっと創作活動を続けておられます(今年になって、こそっと「結婚しました」と記載された年賀状がきていたので、とうとう「地に足つけよ、と決心したんか」とふと思ったりもしました。)
さてさて、もう大分前のことになりますが、そんな彼から京都文化博物館にて、写真展と写真について語るシンポジウムが開催されるという連絡を頂き、「どんなもんやろ」と思い(重ーい)足を運んでみました。
「ああ、いたいた。」 スナップを熱心に撮影している彼と、写真家 教授の肩書きある数名のパネラーの面々。「概念」「観念」「・・・イズム」わけのわからん英単語の連続に、開設者の頭の中はやっぱり「言うたはること、ようわからんなあ・・・」という状態がしばらく続いておりました。
そんな中、ホスト役である建築士の方がパネラーの先生方へ
「私、同じ場所で撮影された写真を見て、いつもプロの人が撮影した写真より、熱心に撮影したはるおっちゃん、おばちゃんの撮らはった写真の方が、ほんまに素晴らしくてええと思うんですけど、これは一体どうしてでしょうか」
シンポジウムには到底ありえないような、まあ俗っぽい質疑のようでありましたのでパネラーも全く口を開かれず、静けさがしばらく続いておりました。
「そんなもん定年退職で、時間と金に余裕があるからやないか!」 と、いつオーバーホールしようかと悩んでいた開設者の頭の中は、もうそれで一蹴。
「本当に熱心で、上手やと思うのですよ」 再度の同じ質問に、パネラーのお一人がとうとう
「建築を専門にされているあなたにお聞きしますが、古い京町家を保存することに関してどのような見解をお持ちだというのですか、あんな耐震構造ですらなっていない・・・」 (耐震偽装が問題になった頃のことだな)
「おいおい・・・」と開設者が思うにも、周囲には割りと冷たい空気がシーンと流れていたように思います。 さて会も終焉に近づき、「もう帰ろ」と思って彼と目があった際にその口から出た言葉。
「まあ、こんなもんですわ!」
と、明るく元気に会釈をしてくれていました。
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