Riron 写真塾 

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機材・感材の知識

2008年08月14日 | プロフェッショナルを目指す方々へ

 フィルム撮影からデジタルの撮影に時代は移行しても、やはり日本はカメラの超エリート国です。いくらコダックやライカを偉大と崇ても、メイド・イン・ジャパンカメラの優秀さは今さら言及するまでもありません。老舗メーカーが残念ながら次々にカメラ事業から撤退してはおりますが、事業の継続が途絶えてしまうことはなく次の事業体系へと引き継がれています。

 もっと注目しなければならないことはラボ(現像所)ワークの充実により、プリントをはじめ質のよい仕上がりが適正価格で得られるということなのです。スクラッチ(キズ)や現像ムラを恐れるがために、海外でのフィルム現像はもう論外のこととなっています。空港でのX線検査をわざわざ避けてでも日本で購入したフィルムで撮影し、現像もやはり厳正な管理の下、日本で処理をします。綺麗であることが「当たり前」という前提であるのですから、こんなに恵まれていることはありません。食料の自給率とは比較にもならない、写真撮影に興味があるなら日本人に生まれてきたことは本当に幸運なことであると言えます。

 新カメラの発売予定と同時に、まるで「どーだ」と言わんばかりに開発過程や設計図面までをも羅列記載したカタログ類が、相変わらずではありますが今では家電量販店の店頭に並びはじめます。その内容と言えば日常では全く聞き入れることのないカタカナ用語のオンパレードで、もう理工系の大学の教養書並に難解であることは言うまでもありません。正直、開設者(一応、写真工学科出身)ももうまるで何のことやらさっぱりわからないです。
 わからないからと言って別に「恥ずかしい」なんて思うようなことは一切なく、知らないよりかは知っておいたほうがよいかというぐらいで、実際、撮影にはほとんど役には立たないです。他社製品との差異を明確にアピールする手段であるように思いますので、やはりライバルが林立するということで技術が向上していくことは素晴らしいことです。
 ついには「使い捨てデジタルカメラ」や笑顔・表情まで認識して撮影できるカメラも発売されているとのことで、まあ唯一言える事、今のカメラは人間の頭より賢く出来ているんだと、そんな程度ぐらいにしか思っていないです。

 かつてバブルの絶頂期、毎月毎月メーカーから定期刊行冊子が無料配付されておりました。いずれは役に立ちそうな、ありがたい情報が満載かと思う反面、いいことばっかりに触れてあって、悪い事やうまくいきそうにもない事には全く触れられないことのほうが結構気掛かりであったように思います。
 「測光・感度設定に完璧はありません。撮影の際には絞りやシャッタースピードを変えて、露出の調整を試みた撮影を心がけて下さい。」「本製品の使用の際には、必ず予備の電池を所持していて下さい。」と記載されているほうがよほど親切ではなかろうかと思うのです。最近のカメラは電池がなければまさに「ただの金属の固まり」でしかないのです。
 新商品のアピールですので悪い印象が持たれるようであれば効果はマイナスとなってしまいますので、当然と言えば当然です。まずは使って、後は野となれ山となれ、使用者の自己責任ということになるのです。説明書の巻末に小さく記載されている、「大切な撮影の前には必ずテストをして下さい。」「万一の不測の事態には同数かつ同性能の代用品で補償し、これ以外の責任は負いかねます。」というのが、昔も今も何もかわらない一番にユーザーに伝えておきたいことなのです。「信用していたのに」という言い逃れは、まず撮影者として失格です。

 カメラコレクターというなら話しはまた違ってきますが、撮影者は如何様であれ、まずは道具に過ぎないのだということを心掛けなければなりません。表現という最終目的を達成するために、素材、道具をいかに、どう活用させるかというとが重要なのです。