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有機化学の初歩である命名法。

2007-06-05 17:20:05 | Weblog
一般に覚せい剤というと,古典的なものでは 1893 年に長井長義が発見した,エフェドリンにヨウ化水素酸を反応させた,-デス オキシ エフェドリン (読みやすくするため,官能基ごとにわざと分けました)がいわゆる「塩酸 メタン フェタミン」,商品名「ヒロポン」てぇのがあります.この物質は様々な合成法があって,ある程度の化学の知識があれば接触還元法でラクに合成できます.もちろん,ある程度とは大卒や院卒を意味します.最近流行っているMDMAなんかも,マニュアル通りに合成機械を操作すれば,工業的に作れてしまいます.

Die Weblogtagesschau laut dem kaetzchen 覚醒剤の製法を教えたのは誰だ? - 魚拓


「1893年に長井長義が発見した」が「エフェドリン」にかかるのか「エフェドリンにヨウ化水素酸を反応させた,-デス オキシ エフェドリン (読みやすくするため,官能基ごとにわざと分けました)がいわゆる「塩酸 メタン フェタミン」」にかかるのかわからない書き方ですね。エフェドリンは長井長義が1885年に麻黄(マオウ)から単離したもので、メタンフェタミンは1893年に長井長義が合成した物です(ふつう、合成した物は"発見した"とは書かないものですが)。

それと、メタンフェタミンはエフェドリンからの接触還元法で合成できますが、エフェドリンを調達するのが困難です。メタンフェタミンは覚せい剤取締法対象物質ですが、エフェドリン自体も覚せい剤原料として覚せい剤取締法対象物質です。
しかも、さらりと接触還元法と書いてありますが、金属触媒を用いて水素ガス加圧下での反応なので、水素ボンベが必要です。化学の知識があるからといってちゃんとした設備が無いと、ラクに合成できるとは思えません。

あと、出発物質をどこにするかによりますが、少なくとも接触還元法を使うのなら、原料はエフェドリンでしょう。エフェドリンは覚せい剤取締法対象物質のためラクには手に入らないと思います(一般に咳止めとして含まれているのはメチルエフェドリンであり、メタンフェタミンの原料にはなりません)。


メタンフェタミン(methamphetamine)
IUPAC命名法では、1-phenyl-2-methylaminopropane

ちなみに アンフェタミンのスペルは (amphetamine) です。

メタンフェタミンは元は綴りをみればわかりますが、methane(メタン) + phetamine(フェタミン) ではなくmethyl(メチル) + amphetamine(アンフェタミン)です。分けるなら メト アンフェタミン とすべきです。構造的にもアンフェタミンにメチル基がついた構造をしていますし。

d-deoxyephedrine は ephedrine から de (除く) oxy (酸素) した構造をしているということです。d-は立体配置のこと。
この de は除去されたことを示す接頭語であり、des の意味は無い(なんで、わざわざデスと書いてあるのかね)。俺の持ってる命名法の本にもわざわざ「desではない」と書いてあるぐらいだし。通常、de は demethyl のように methyl (メチル) (de の後に続く置換基) が水素に置換されたことを示す時に用いられる。ただし、dehydro の場合は水素が無いこと(通常は2個の水素が無い)ことを示し、deoxy は ヒドロキシ基 (-OH) が 水素に置換されたことを示す。

しかも de は後に続くものを除くという意味の接頭語であるため、基で分けるにしても、deoxy は分離しないし、deoxy 基という官能基が書けるものなら書いてもらいたいものだ(前述のように酸素原子を除いたという意味しかないので、deoxy 基というものは書けないため、官能基ではない)。

官能基は物質の化学的属性(Chemical Profile)や化学反応性に注目した原子団の分類で、それぞれの官能基は特有の物性や化学反応性を示す。化学的な性質を化合物に与える原子群のこと。
Wikipedia - 基 より


有機化学を習ったものにとっては命名法は初歩ですよ。

数学が苦手な方のために

2007-03-07 20:04:13 | Weblog
もろに,ノロにやられたようです(泣) - ウェブ魚拓

数学が苦手な方のために、ちゃんと説明しましょう。
そのまえに、電子顕微鏡写真は、新潟衛生試験所-食中毒菌の写真だというのはどうでもいいですね。

 数学や物理が苦手な人のために説明しておくと,ウイルス学では「nm」(ナノメートル)という単位を使います.n(ナノ)というのは 10^(-9) 10のマイナス9乗「百万分の1」という意味です.
 だから,1nm=1/100000mm=1/1000000000m で,10のマイナス9乗mだから,10のマイナス6乗mmということになります.

とりあえず、
10-1 = 1/10 = 十分の1
10-3 = 1/1000 = 千分の1 (ミリ, m)
10-6 = 1/1000000 = 百万分の1 (マイクロ, µ)
10-9 = 1/1000000000 = 十億分の1 (ナノ, n)
ですね。これが基本です。この後の説明で使います。
さらりと、「10のマイナス9乗「百万分の1」という意味です.」とか書いていますが、こんな間違いはまだまだ序の口ですね。
 写真の中に「100nm」という物差しがありますよね.上の説明を使って,mmに換算してみると,100nmというのは 1/10000mm=1/100000000m,つまり10のマイナス8乗mということが分かると思います.

100nm = 1/10μm = 1/10000 mm = 1/10000000 m = 10-7 m ですね。途中から明らかに桁が違いますが、気にしちゃ駄目ですね。
実際のノロウイルスの大きさは直径が30~35nm,つまり1/300000~1/350000mm,mに直すと1/300000000~1/350000000mという,とてつもなく小さいドロップス状の形をしたタンパク質のかたまりです.パスタが好きな人は,このような形をしたパスタを見たことがあるかと思います.まさに,このタンパク質の塊が,内部の DNA を硬く守っているのです.しかも外壁のタンパク質も内部の DNA もとてつもなく耐熱性に優れているから,少々の熱処理じゃくたばらない (だから鍋料理で感染することが多いのだな).カキフライもどうしても心配なら,少々味が落ちても,電子レンジで少々高温でチンしてやれば確実にノロウイルスはくたばります.

これを見た瞬間、のけぞってしまいましたが…。何がおかしいのか気づかないあなたのために、算数の時間です。さて、30mm は 何 m でしょう。
答えは 30/1000 m で、 3/100 = 0.03 m ですね。

ということで、30~35 nm は、30/1000000000 ~ 35/1000000000 m です。3 × 10-8 ~ 3.5 × 10-8 m です。

ついでに書いておくと、
1/300000000 = 3.33… × 10-9
1/350000000 = 2.86… × 10-9
です( 上記の 3 × 10-8 ~ 3.5 × 10-8 の範囲とは一桁ずれています )。

これまたついでに言うと、ノロウイルスは別名小型球形ウイルスです。普通は中心に熱の通りにくい形状、つまり、球形のパスタは作りません。パスタ好きならなおさらです。素直に団子といえばいいのに…(団子状のニョッキでさえ、扁平形ですし)。
これまたついでに言うと、ノロウイルスは 一本鎖 RNA ウイルスであり、「内部のDNA」とか何言っちゃってんの?と言う話です。

また、ノロウイルスは85℃の1分間の加熱で感染力を失う(参考)とされており、貝などからの食中毒感染は熱処理で防げます。通常、食中毒での感染では、貝の生食で感染することが多いです。鍋料理で感染するのは、食材の中心まで加熱されていない場合です。

ということで、数学が苦手な人がだれかよくわかりましたね。

<追記>
いつの間にやら直されているようですね。ということで、修正後のウェブ魚拓
色分けして、単純な桁間違いは修正したようですね。ゼロがいくつ並んでいるとか数えるなんて、目に悪いですよね。

10-7 m には気づいたようだけど、「百万分の1」だとか、分数の根本的な間違いとか、気づいてないよぉ。

電波と赤外線

2006-12-23 12:11:55 | Weblog
「理科年表」出てきたので、最新版である平成19年(2007)版「理科年表」を手に入れた。

1.電波と赤外線は連続しているが、10-4m の波長において区分けされている。

2.欄外の *** でかかれているように、X線とγ線の区分は波長ではない。