あまりにもリアルすぎ、印象的な夢だった。
その夢を見てから一週間も経ったのに、何故かまだ憶えてる。
しばらく忘れはしないと思うんだけど、忘れてしまう前に私の限られてる日本語で語らせて頂きます。これはネタではなく、何かおちがあるお話でもない。単なる私が見た夢だった。
……
気付いたら、午後の商店街に来た。どこにもありそうな普通な商店街だった。彷徨ってきたわけではなく、何処かに急がないといけないと…それをはっきり意識しながら歩いてて、いつのまにか商店街に…
人をかわしながら歩き続けて、昭和らしき建物に辿り着いた。
二階建ての建物。壁が濃い黄色、木の扉が赤に近い茶色。
日本というより中国の時代劇に見られそう、寂れた建物ように見えたけど、入ってみたら…
多くの人が入っていたゲームセンターだった。
ゲーム台をちらっと見たら、ゲームも建物と同じく昭和時代のもの…
ゲームセンターに混んでるぐらい人が入ってたけど、何故か活気が全くなく、ぼんやりとしてゲームの画面をずっと見たり、ゲーム台の周りに座り込んだり…全ての人が単にそこにじっと居ただけだった。
でも…
私は何処かに急がないといけないと…その意識が何故かいっそう強まった。立ってる人を押し込んだり、座り込んでる人をかわしたりして、ゲームセンターの後門から外へ。
すると…
先ほどの商店街と全然違って、狭い坂道に出た。この道は、左から右に下っていった。よく見たら、家が並んでのどかな住宅街だった。全ての家に前庭があって、松が茂っていて…
左に向いたら、十数メートルに離れてるところに、一匹の茶色のトラネコが、ある前庭の竹の柵を軽く飛び越えてその庭に入った。
右に向いたら、自分の頭に「家のご主人の奥様の薬を…急いで薬を買いに行かないと…」という思いがいきなりに浮かんできた。
なんで…
どういうこと…
急いで向かうべきその行先がやっと分かったんだけど、何故か自分が家来のように意識して、そして…家のご主人?奥様?薬?
一体どうこうこと?
そして、さっきまでの光景がまるで薄い霧がかかったように、はっきり見えなかったんだけど、いまの全てがきれいに見えるようになった。
行先を確かめようとして、手元にある地図を見た。
この緑の線に沿って進んで…これは高速道路だろう…高速道路を潜って…そして赤い線に沿って…その先…道がないってこと?……と地図で道を探って…
そして…
振り向いたら、一本の細長い道が現れた。頑張って道の先を見ようとしたら、どうやら高速道路を潜るトンネルのようなものが見えた。地図に描かれた通りだ…実際に高速道路が見えなかったけど、それを囲む高い柵が見えた。もっとよく見れば、その高い柵が沢山のつる植物に覆われた。
この細長い道の先にある何処かへ急がないと…
歩き出したら…
気付いた…
道の両側には…
広い墓場があった。
古びた墓場ではなく、草地にまるでパブリックアートのように立てられた黒い墓碑の群だった。
「群」って…
「墓碑」と言っても立ってる人間のように感じたものだった。
一例ずつきれいに並んでるわけではなく、まるで何かを待ってるよう…何かを見てるよう…ばらばらに立ってた「墓碑の群」だった。
全ての墓碑は大理石で出来た。碑の真ん中に一行の漢字が縦に刻まれてた。
いかん。急がないと…再び歩き出そうとしたその時…
やっと気付いた…
空がたそがれた。
周りの全てが暗くなった。
なのに…空の紺色と草地の深緑色が鮮やかに目に焼きついた。
そして…
墓碑に刻まれた文字が…電気のように一斉に点った。
と同時に、
いままで気付かなかったけど、水溜りのような形に固まって、その細長い道の所々に咲いてた花が同じ明るさで点った。桜のような桃色の花なのに、何故か地面にぺたっとくっついて綺麗に咲いてた。
光、闇、色…目の前の光景が相次いで変わっていったけど、音が一つもせず…
行先が更に暗くなってきた。でも自分の中でどうしても「急がないと…急がないと…」と繰り返して…
勇気を持って、もう一度歩き出そうとしたら…
トンネルの入り口にいきなりに現れた…
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