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お医者の生活奮闘記。

お医者生活も7年目。ちょっと疲れて、温泉と喫茶店がないと頑張れなくなってきた小児科医の奮闘記です。

言葉の壁

2007-10-07 20:39:28 | Weblog
さて、アメリカはひとまずおいといて、今日は、県内の病院に外来のパートに行ってきました。そこは、日本でも有数の外国人が多く住む町が近くにあり、そこの病院で外来をしていると、必ず外国人のこどもが来ます。しかも英語は通じず、たいていはポルトガル語かスペイン語。ハンドブック片手に片言のやりとりで、意志疎通をはかります。

しかし、異国の地で、子どもが熱を出したとあらば、親の心配は日本人以上です。きちんと説明できない自分の不甲斐なさと、礼儀正しい彼らの期待に応えられない歯がゆさがそこにはあります。

礼儀正しいといえば・・・

私が中学生の頃、野辺山高原に旅行をしたときのこと。見渡す限りのレタス畑に、母が車から降りて、農家の人の方へ向かい、直接レタスを買う交渉を始めました。
その時、『1個100円だそうだけど何個にする?』と大声で車の僕らに叫びました。私は『どうせ100円なら余ってもいいじゃん。10個くらい。』と返したところ、農家のおじさんは、その言葉に腹を立て、売ってくれませんでした。

その時は、何を!金払ってるのになんだよ。と思いましたが、働き始めた今となっては大変失礼なことをしたと後悔しています。

人は確かに生活をするために仕事をしています。しかし、その仕事の中にはたくさんの苦労や自己犠牲、思いやりなどなど数え切れない要素が詰まっています。

お金を払えば何したっていい、診察してもらって当然という人が多いような気がしますが、周りの人たちには常にお世話になっている訳ですから、そのことに感謝しながら暮らせる社会になるといいですね。

ヨセミテ国立公園

2007-10-07 20:11:48 | Weblog
アメリカ2日目は、ヨセミテ国立公園に行って来ました。サンフランシスコから片道約5時間、往復で10時間という超ロングドライブでした。

途中、メロン畑やオリーブの木が延々と続いていて、たまにジューススタンドと呼ばれる休憩場所が出てきます。とってもアメリカンな感じ!

さて、公園の滞在時間はわずか3時間ほどでしたが、世界一大きいと言われる一枚岩があったり、雪解け水がはるか上空で水しぶきをあげる姿からブライダルベール滝と呼ばれる大きな滝など、超ど迫力の自然がそこにはありました。

水もとっても澄んでてきれい。

普段、日本ではあまり昼寝をすることもないのですが、この日ばかりは、バスの中から車窓を眺めてはうたた寝するという、のんびりした時間を過ごしたのでした。

夜は、ナパバレーと呼ばれる、サンフランシスコの北部にある、広大なカリフォルニアワインの産地があるそうなんですが、そこのワインで乾杯!
スモーキーなブドウの香り豊かなワインで、産地の風景を想像しながら、満喫したのでした。

アメリカ西海岸

2007-10-04 17:08:35 | Weblog
お医者にとって夏休みは1年で1番の大イベントで、盆と正月がないかわりに、夏休みは毎年7-9日間とることが私の周りでは一般的です。そこで、今年は、アメリカ西海岸に8日間行ってきました。

というのも、義理の兄夫婦が昨年の10月に結婚したのですが、12月から、サンノゼ(サンフランシスコの南)に赴任したので、今までほとんど話す機会がなかったこともあり、交流を深めることも兼ね、今年はアメリカ西海岸に決めたのでした。

9月の土曜日に出発!行きの成田空港って、とってもわくわくしますよね。なんか旅の楽しみの半分くらいを占めちゃっているようで。ちなみに今年もやっぱり日本食を食べたくて、回転寿司を食べて、お土産を買って、飛行機に乗り込みました。
久々のANAだったのですが、映画はたくさんやっているし、ゲームもあるし、しかも見たいときに映画を見れるようになっていて、退屈しないですね~。ウイスキー、赤、白、赤ワインと次々に酒を飲み干し、夢見ごこちでアメリカに向かったのでした。

サンフランシスコの空港に着くと、義兄夫婦が出迎えてくれて、そのまま市内観光へ。日本はまだ、うだるような暑さでしたが、港町のサンフランシスコは海風が涼しくて、Tシャツでは寒いくらいでした。ピア39という有名な桟橋で名物のクラムチャウダーをたいらげて、おなかも満足。その後はゴールデンゲートブリッジをみたり、海岸沿いのリゾートでお茶したり、心があらわれるようでした。

夜はちょっとリッチにカニ(タンジネスクラブとかいうタラバみたいなカニ)をたらふく食べ(ガーリックだったり、ケチャップベースだったり、日本のポン酢とは違ったおいしさでした)、夜景(世界三大の1つらしい)を堪能してサンノゼ近郊の兄宅へ向かったのでした。

2日目以降は、また近日中にアップしますので、また遊びに来てください。写真も入れていきますゆえ。


たらいまわしの影

2007-09-06 16:15:05 | Weblog
最近、妊婦の救急車の受け入れ先が見つからず、たらいまわしになっているという話が世間を騒がせています。本当にお気の毒な話だと思います。特に多いのが、かかりつけ医を持っていない妊婦の搬送先が見つからないことが多いようです。妊婦検診を受けるお金がなかったのか、何人目かで大丈夫と思っていたからかはわかりませんが、このことが大きく影響しているように思います。
従来、医師は患者さんからは頼りにされて、尊敬されるような、一目を置かれるような存在でした。しかし、近年は、医療ミスだなんだと医者バッシングが進んで、結果的にリスクをとる医者が減っています。もともとお産は命がけのイベントですが、今の日本では無事に生まれて当たりまえ、何かあったら訴訟になるという世の中です。ただでさえ、過酷勤務の産科医に訴訟のリスクが付きまとうようになっては、なり手が減るのは当然の結果のような気がします。結果的には患者が自分で自分の首を絞めているような気がします。もともと医者のプライドと善意の上に暗黙の了解に成り立っていた医師と患者の関係をつついた患者(マスコミ?)が、そのバランスを崩して、被害にあっているように思えてなりません。
世の中どこをみても人間関係が希薄になっており、もう一度、人と人とのつながりを見直さなければ、いくらこの国の医療制度を変えようとしてもこの国の医療は良くならないのではないでしょうか?
これを読んでくださった方、信頼できて何でも相談できるかかりつけ医をもちましょう。医者もおだてりゃ木に登りますよ。

心の傷

2007-08-09 10:55:41 | Weblog
ここ数日、朝青龍の仮病疑惑についての報道が世間を沸かせています。うつ病の一歩手前という診断から、今はPTSDという診断になっています。心の傷って外から見えないし、検査ではっきり異常ですと言えるものでもないので、判断が難しいですよね。しかし、モンゴル政府が日本相撲協会に謝罪をしたとのことですが、一国の政府が個人のためにここまでするのは、すごいことだと思います。品格と規律を重んじる相撲協会ですが、理事長が夏休みで回答保留。。。これはどうなんでしょう?病に苦しむ朝青龍は放ったらかしで、モンゴル政府に対しても失礼ではないのでしょうか。こんな協会でいいのでしょうか。なにか旧態然とした感じが否めないような気がします。故郷を離れて暮らす朝青龍、家族を思う気持ち、故郷を大切にする心は立派なことだと思います。もちろん、仮病だとすれば、朝青龍にもおおいに反省してもらわなければいけないと思いますけど。

話は変わりますが、誰でも好きな人、結婚を考えていた人に裏切られたときは、ものすごく心が痛むと思います。浮気相手がいれば、そいつに対してボコボコにしてやるか、慰謝料を請求するかでもしないとやってられません。しかし、法律的に、こういったことが罪にはならないので(結婚してれば話は別でしょうが)、ものすごい数の心の傷がうやむやにされています。時代の流れとともにこういったことも傷害罪で罰せられるような時代がくるんですかね。

命の値段

2007-08-07 22:10:23 | Weblog
命がお金には代えられないことは当然なのですが、あえてこのタイトルにしてみました。というのも、日本の医療費は今は膨大な金額に膨れ上がっており、そこに多額の税金が使われているからです。医療の発展は国民に世界一の長寿という形で、いかにも役立っているように思えます。しかし、アメリカの方が医療が進んでいるのに日本が一番なのは何故でしょうか?それはこの国の保険制度と大きな関係があります。日本は国民皆保険で誰もが安価で医療を受けることが出来ます。また、倫理的な問題が厳しく、最近でこそ少し話題にのぼりますが、脳死患者の呼吸器の取り外しの問題などもあります。こういった様々な要素が複雑に絡んで、日本の医療費はなあなあに膨らんでいるところがあると思います。回復の見込みのない方が一日生きながらえるのに、何万、何十万というお金がつぎ込まれています。毎月、何十万、何百万とかかる方がいます。かたや、後進国ではただの数百円の点滴で、命が救われるはずの胃腸炎で、命を落とす子が大勢います。また、働いても働いても生活がやっとという人がたくさんいます。何か、今のこの現実は歪んでいるように思います。私は医者なので、もちろん全力で治療にあたります。何がいい、何がわるいという個人的な意見を述べるつもりはまったくありません。しかし、国民ひとりひとりが今の現実を知って、医療費の使い方について最良の方法を議論するべき時ではないでしょうか?交通事故など突然死や恋愛の終焉は突然の別れが訪れます。しかし、残された人はみなそれを乗り越えてがんばって生きています。もう一度命について考える機会になれば幸いです。

ガーデニング

2007-08-05 16:04:50 | Weblog
子供の頃から土いじりが大好きな私は、夕方暗くなるまで、真っ黒になって遊び、汚い足で家を汚して母に怒られ、大学時代はラグビーにいそしみ、やはり泥だらけになり(大学生は貧乏なので芝のグランドなんてとても貴重で・・・)、働くようになってからは、なかなか土をいじれず、最近、低金利時代も終わりそうなので、ローンを組んで家を手に入れました。田舎なので、土地もそれほど高くなく、広くはないですけれども、少し庭があるので、本日、ウッドデッキでもつくろうかと庭を耕してみました。しかし、暑いしこれがなかなか大変。でも、土いじってると落ち着くんですよね。たまに、弥生時代とかに生まれたら朝から晩まで、楽しいだろうなと思うことがあります。せめて、トムソーヤの冒険の時代でもいいんだけど。物を作る仕事って、夢があっていいですよね。建築士とかとても憧れます。もちろん、今の仕事が好きですが、悪くなったものを元に戻す仕事というのは、時に、ものすごく大変ですし、生身の人間が相手ですから、とても気を遣います。だけれど、元気になって帰っていく後ろ姿を思い浮かべながら日々、がんばってます。

小児科医の力

2007-08-04 14:46:13 | Weblog
よく、熱が出たばかりで受診される方がいます。しかし、我々小児科医であっても熱が出てすぐでは、連れてくるのが早すぎて、よくわからないことが多々あります。ただの風邪でも髄膜炎、脳炎のような重い病気であってもたいていは熱から始まるからです。ですので、熱があっても機嫌が良かったり、受け答えがしっかりできていれば、すぐに連れて来るのではなくて、少し観察してみて、どんどん具合いが悪くなるようであれば、その時点で連れてくる方が、機を逃さず、後手に回らないことがあります。一晩に2回受診される方はまずいないので、熱が出てすぐ受診し、大丈夫ですよと帰され、その後急変するというのは十分あり得る話です。我々の当直している本当の意味は、心臓が止まってしまった、呼吸してない(残念ながらこういうときは運ぶ時間のロスもあり、ダメなことがほとんどですが)、けいれんがとまらない、意識がない、喘息発作で苦しくてどうにもならない、早い週数で急に赤ちゃんが生まれちゃった(生まれた瞬間からこどもは小児科です)などです。夜間の当直帯で見逃してはいけない病気は、髄膜炎、虫垂炎、腸閉塞(腸重積)、心筋炎くらいでしょうか。髄膜炎は意識障害、けいれんを来します。虫垂炎、腸重積は1,2時間ではおさまらないようなかなり強い腹痛です。かくいう私も1度、夜間、熱が出てすぐに来た子を大丈夫と帰したら、細菌性髄膜炎だったことがあります。幸い、その子は後遺症なくきちんと治りましたが、非常に苦い思い出です。自分では見逃したと言うよりは、あれは気づけなかったと思う症例ですが、それでも患者さんには今でも申し訳ない気持ちでいっぱいです。無事で本当に良かった。

当直して思うこと。

2007-08-04 14:07:27 | Weblog
一昔前は、夜間、自宅から呼び出されて、お酒を飲んでいても、診察すれば、お休みのところありがとうございました。と言ってもらえる時代だったそうです。別にそれがいいというつもりはありませんが、今は、親たちはうちの子に何かあったらただじゃおかないよと言わんばかりに食ってかかる人も普通にいます。お金もらってるんだから働くのは当然でしょという感じです。確かにそうなのかも知れません。ワーキングプアという言葉に代表されるように、働いても働いても生活が大変という人がたくさんいます。確かに医者の給料が恵まれているのは事実です。でも、それって悲しいですよね。我々も人間ですので、夜間頑張って働いているのですから、ねぎらいやいたわりの言葉をかけてもらえるとそれがエネルギーになるんです。自分が体調悪い時でも当直の順番はおかまいなしにやってきます。たとえばそんな時、ハナがひどくて昼間病院行けなかったので、、、とやってくる人もいます。はっきり言ってがっかりです。僕らも本当に具合が悪い子が来れば、たとえ深夜でも全力で頑張ります。でもハナたれが深夜に病院に来るようでは、はっきり言って……、頑張れません。

医療レベルの低下は免れない?

2007-08-03 21:46:03 | Weblog
数年前から研修医はストレートに希望する科に入るのではなく、最低2年間、いろいろな科を回って、幅広く知識をつけることが義務化されました。これに伴い、各科のいいところ、悪いところをよりみられるようになったことで、やはりお医者も人間ですから、きつい科や患者の目が厳しい(小児科の親の目とか、、)は敬遠されるようになりました。夜間の呼び出しが多く、訴訟の多い産婦人科、緊急呼び出しの多い脳外科、比較的人気のあった整形外科などは、実際には交通事故の処理が多く、近年は不人気です。それに引き換え、急患の少ない精神科、皮膚科、眼科などは人気があります。また、研修先として、少し前までは地元や出身大学の大学病院を選ぶ研修医が多かったのですが、近年は大都市圏に出て行く傾向が顕著です。これにより、地方の不人気の科はより医師不足に苦しみ、残った少ないお医者が疲れ果て、機動力、技術、知識のある本来は後身の教育に当たる優秀な先輩は勤務医を続けられなくなり、若くして開業するため、下はまともな教育を受けられず、医療レベルの低下を招くという悪循環に陥っています。ですので、なんとかこの悪循環を打破する方法を考えないと、この国の医療は・・・でしょう。