セグメントゲームズ

元ゲームプランナーという、しがない肩書きだけが取り柄のゲームブログ。生ラジオの告知が中心で、たまにテキスト対談を更新中!

E3 2008の感想

2008年07月21日 21時56分53秒 | 【旧】ゲーム関連記事
「E3 Media and Business Summit 2008」記事リンク集
(GAME WATCH様より)


記事自体は上記をどうぞ。面倒くさがってごめんなさい(謝)


●マイクロソフト
今回、一番大きな動きが目立ったのは、Xbox360ではないかと思います。大型タイトルをガッツリ揃えられてきましたし、なにより、初代Xboxの時代では考えられなかった、FFのナンバリングタイトル最新作となる「FFXII」も、欧米のみですがXbox360でも発売することになり、まさに勢いを感じます。
かつて、ニンテンドウ64で発売される予定だったはずのFFVIIが初代プレイステーションに参入したことで、ゲーム業界の流れが大きく変わった時代もありました。今回は、完全に移行したわけではなくマルチではありますが、徐々に似たようなことを、Xbox360が起こそうとしています。

あと、Wiiを意識しているのか、Miiのようなアバターや、体感系エンターテインメントもアピールしてきています。Wiiのように完全にそちら路線でもなく、かといってPS3のように完全ヘビーな方向でもなく、すき間をうまく狙っていこうということかもしれません。

ほとんどの日本ユーザーからすれば「Xbox360の何がすごいん?」みたいな話でしょうが、まあ海外人は全く逆のことを言うんでしょうね。日本と米国では基本的にお国柄というものが違いますが、日本より遥かに市場規模の大きな米国のほうでジャストミートし、3年目となってゆっくりと他の方向性にも手を出し始めています。


●任天堂
今年は、Wiiでよりライトユーザーをターゲットにした作品が主に取り上げられ、内容自体はいいとは思うんですが、結果的にコアゲーマー層には、かなり物足りなさを感じているようです。私もまあ…もちろん今回発表されたタイトルも楽しみではありますが、わりと思い切ってライトユーザーに焦点を合わせてきているような感じを受けました。
かつてDSで『しゃべる!DSお料理ナビ』のように、いわゆるツールなどの、もう完全にゲームではない存在というのを2~3年目に展開してきました。今年で2年目となるWiiですが、Wiiももしかしたらそういう時期に向かっているのかもしれません。

一方で、ゼルダの新作やピクミンの新作を制作中だという発言もあったらしい(参照記事:ゲーム情報ブログ(SF&NF)さんより)ので、ヘビーゲーマーにもちゃんと対応はしていくのでしょうが、あまり任天堂がそれを「アピールしたくない」みたいな印象も受けまして…まあ確かに、ヘビーゲーマーは放っておいても情報は調べてくれるから、今アピールすべきはそういう情報を仕入れようとしないライトゲーマー層だということなのかもしれませんが…。

なんか、複雑な感じですね。まあDSも、4年目に突入した今ようやくゲームらしいゲームがかなり充実してきましたので、Wiiもそれまではゲーマーは辛抱してくれ、ということなのかもしれません。ただ、携帯ゲーム機と違って据え置きゲーム機は、それだけでデメリットを抱えているわけですから、DSのように簡単にはいかないでしょう。


●ソニー・コンピュータ・エンタテインメント
「長いスパンで考えていく」と今まで通りの考えもあり、あまりあせっている様子を見せていないPS3。まあ日本では、いっても大型タイトルによって徐々にですが伸びてきていますからね。

ただ…非常に怖いのは、あまりPS1、PS2時代と引き比べないでほしいです。ビックタイトルの発売に絡めて、ひっきりなしに「PS1の2年目は…」「PS2登場後7年目のタイトル」とか並べていますが、明らかに今はあの頃と状況が違います。
そこまで脅威でもなかったXboxは、Xbox360となってその猛威を振るい始め、あと日本メーカーも世界を見据えて作品を生み出すようになってきたために、よりXbox360の存在が引き立っています。また、任天堂もPS2と同じ方向性を目指していたGCの時代とは違い、完全に違う姿で市場を抱えています。
特に、Xbox360の存在は強く、かつてPS2で発売されてきたシリーズものなどが、次々とPS3とXbox360のマルチ展開、及びXbox360への移行を始めてきました。それは、Xbox360もそうですが、PS3も決定打に欠けるものがあるために、どちらで発売したほうが今後のためになるのかが分からない=マルチで発売せざるを得ないわけで、それがPS2時代とは違うものを証明しています。むしろ、マルチどころか私は、Xbox360のみで発売の有名タイトルがあることもまた、時代の違いを感じます。

PS3は、PS1から培ってきたユーザーや信頼というものがあるかもしれませんが、日本はともかく、海外でそれがどこまで続くのかは怪しいものです。それにあまりに頼り切っているのか、あまりソニーがPS3を全力で推していない気がしてなりません。

ただ、一方で好調なのがPSP。こちらはソニー自身もそうですし、各メーカーもかなり力を入れてくるようになってきました。やはりモンハンの大ヒットは伊達ではなく、それが見事に大きな流れを作ったと思います。これを見ていたら、PS3もいつかそういう大きな存在によって流れを変えることができるのかもしれません。しかし、私の考えては、それは既存の有名タイトルだけでは事足りないと思っています。
『モンスターハンターポータブル』シリーズは、PSPで発売したからこそ当たった作品だと思っています。であれば、PS3で発売してこそ!と言える何かを見出さなくては、モンハンの再来は訪れないでしょう。ましてやFFは、Xbox360でも発売してしまう以上、もはや「PS3ならでは」なんてものはありません。

それをどこかで見つけることができれば、PS3もまた「ゲーム機として」の大きな流れを作り出せるかもしれませんね。


あと、PS3の価格をまた下げた…というよりは、同じ価格でよりハードディスクの大きなものを出してきたみたいですが、何かこう…よくコロコロと変わるな~、と。あまりハードの存在が安定しないと、購入しようと思っているユーザーは不安になって、何を買っていいのか分からなくなります。
今はハードよりもソフトやサービスを充実させることが大事だと思いますけどね。そのハードを買ってもいいと思われない限り、ライトユーザーは30,000円以下になったって買いませんよ。Wiiだってそうですし。


●全体を通して
何かいい悪いではなくて…ゲームというのが日本ではなく世界のものになっているな~と、わりと強く再認識した感じです。日本ユーザーからすれば海外のゲームがどうとかこうとか分からないですし、分かっても別にどうでもいいと思いますが、やはりゲームは今、世界を見据えていかなくてはならない時代に入っています。

Xbox360なんかはもうモロに米国向けな色を出しているわけですが、正直言うと任天堂だってソニーだって、わりと米国市場のほうに力を注ぎ始めていますよ。そりゃ、ゲーム市場を抱えていく存在である以上、規模の大きい市場のほうを攻めていきたいと思うことは、事業である以上は仕方のないことです。
正直な話、日本で発売していない海外タイトルって、けっこう存在します。明らかに日本向けであるギャルゲーのほとんどが、海外では発売されないように。

そういうのを考えると…正直言って、もちろん日本メーカーは日本人向けというものを作り続けていくでしょうが、もはや海外メーカーにとっては、日本人向けに作る利点がなくなっています。WiiだってPS3だってXbox360だって、米国のほうがユーザーの絶対数が多いのは当然のことです。だから世界的にはゲーム業界というと、米国市場を見据えていくことになるでしょう。
もちろん、それによって日本市場がなくなるということはありません。むしろ市場はいろんな国に広がっています。だからこそ、いわゆるゲームは「国際化」になっていっていることが、これまでとこれからのゲーム業界の大きな違いなのかもしれません。


そういった中で、それぞれ制作される作品は、どれだけその作品「らしさ」を貫き通すのか?その意識が大事だと思います。万人に受けられる作品を作るのか?その作品らしさとして個性あり作品を作るのか?もちろんどちらでも構いませんし、両方をうまく満たせれば万々歳ですが、いずれにしても最後には「面白い」と思って続けてもらえるものが一番だと思うわけです。
どんな作品を作るにあたっても、それは忘れないことです。「面白さが伝わらないんじゃないか?」とか、そんな不安を抱え続けるのは危険なんでしょう。

個人的には、『Wii Music』は今までのWiiタイトルにもあった「触ってみないと面白さが分からない」という類のもので、本来こういうタイトルは売り込むには不利です。しかし任天堂は、これまでの結果でそういった層からの信頼度を大きく上げています。そこまで信頼を得られないとこういうタイトルはなかなか売り込めませんが、(ユーザーの)信頼失いっぱなしなメーカーも、少なくありません。


この世にはこれまで、万を超える数のゲームが発売されてきましたが、どれひとつとして全く同じものはありません。明らかに模倣している作品はあったりしますが(笑)
どこまで作品として価値あるものにし、かつ最後にはちゃんと「面白い」と納得できるものを売り出していけるか?それは、日本だけではなく世界を見据えて考えて以下値九手はいけません。技術的な点より、感性が問われる時代です。


関連記事;
E3 2008 - マイクロソフト プレスカンファレンス
E3 2008 - 任天堂 プレスカンファレンス(リアルタイム速報)


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E3 2008の動画色々~その1その2その3(無数の月さんより)
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4 コメント

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Unknown (victor)
2008-07-22 20:47:09
今回はMS陣営が一番目立っていたかなーって感じですね。
『FFXIII』のマルチ化も大きなニュースでしたが、
今後のラインナップや本体のアップデートによる
機能追加の予定などが魅力的でした。

Wiiはやはり「Wii MotionPlus」が気になりましたね。
早く自分で試してみたいです。
返信する
Unknown (partygame(管理人))
2008-07-23 21:35:42
>victorさん
マイクロソフトは、勢いを感じましたね。それこそ、『フェイブル2』なんかも紹介ムービーを見たら、何か面白そうに思えてきまして…。きっと、「深い」ゲームが多いんだろうな~とは思っちゃうわけです。あとは、リアル思考のデザインの問題でしょうね。まあこればっかりは仕方ないですが…それを受けて有り余る素晴らしさはありそうなんですが、その一歩がなかなか踏み込めない日本ユーザーは、私を含めけっこういそうなんですよね。

『Wii MotionPlus』は今後の対応タイトルも気になりますが、何よりこれをどこまで「流行らせることができるか?」も気になるところです。
バランスWiiボードはこの半年くらいで『Wii Fit』を含め2本か3本くらいしか対応タイトルが発売しませんでしたが、ようやく(海外タイトルが主ですが)対応タイトルが増えてきました。
しかし「Wii MotionPlus」はWiiボードと違って存在感ではなく能力でアピールしているので、短期間での勝負が必要でしょう。こういうのこそ、少し放っておくと本当に忘れ去られていくので。
返信する
ご無沙汰してます。 (グルグル)
2008-07-23 22:11:28
個人的に、今回はあまり際立った大きな発表は無かった様に思います。普通のE3、という感じでした。去年から規模が縮小したためなのか、前日までの騒ぎも殆ど感じられなかったです。
任天堂は新しい周辺機器や「Wii Music」など、色々と発表されましたね。特に「どうぶつ森Wii」は、動画を見て“町”みたいなのもあり、「Wii speak」という周辺機器も出て、新要素もきちんと揃えて来たみたいなので今から楽しみです。ボイスチャットが出来ればいいですねぇ~。
DSの方では、私的にかなり驚いたのがGTAのDS版ですね。いやまさかDSでGTAシリーズが出るとは……。
あと、少し逸れますがWiiの容量の件を早くなんとかしてほしいです…。そろそろ一杯なので…。


※そういえば、何かワンクリックアンケートでどの番号の選択肢を選んでも何故か4になってしまいますね。まあ取り敢えず自分は4では無く2を選びました。
返信する
Unknown (partygame(管理人))
2008-07-23 23:04:09
>グルグルさん
規模が縮小したおかげで、情報やタイトルを大放出!ではなくて、メーカー側が本当に戦略的な発表ができるようになったという事実もありますが、故に目立った情報が少ないのは、ちょいと怖い気もします。(特にSCE)

今回の『どうぶつの森』は、よりコミュニケーションの場としての広がりを目指したと言う感じで、単純にできることが増えているのもあるでしょうが、ボイスチャットの導入はわりと大きな手だと思います。ボイスチャット機能も、ただ出せばいいものではなく、結果として色んな人に使ってもらわなければ意味がないわけでして…。とはいえ、ボイスでチャットする行為自体が日本人にはなかなか受けにくいところもあるので、逆に言えば『どうぶつの森』という安全なドームを作ることができれば、誰でも気兼ねなくボイスチャットができるかもしれません。

>>いやまさかDSでGTAシリーズが出るとは……。
GTAは日本でもそこそこ売れているタイトルですし、海外では爆発的な記録を出しています。裏を返せば、お国柄が非常に伺えるシリーズとも言えますけどね。単純に、残虐系が好きだという海外ユーザーの性格が丸見えです。
DSで発売と言うのは確かに意外ですが、まあ乗りに乗っているハードなのと、日本市場にもシリーズの勢いを根付かせようとしているのかもしれません。

>>Wiiの容量の件を早くなんとかしてほしい
Wiiの容量は…まあ確かに私も若干困ってはいます。とはいえ、どういった対策が来るか予測も付かず…。アップデートで容量を増やすなんてできるわけないですし、大容量版の新型Wiiなんか出したらどういった騒ぎになるか分かっているでしょうし…。
一番妥当は、SDメモリから直接チャンネル起動…でしょうか?ただそれって、本体からではなくメモリーカードから読み込むわけですから、単純に考えると読み込み速度は尋常じゅない遅さになります。本体からSDメモリにコピーしたことがある人は…たぶん分かります。

正直現段階で、簡単な方法でWiiの容量を増やす手段はありません。本当に専用のHDDが発売されるか…あるいはDVD搭載版のときに容量も増やすか…。それくらいしか、今の私には思いつきませんね。

>>※
調べてみましたが、リンク先は正しく設定されていて、投票もちゃんとバラついていたので、たぶんこちらの設定が間違っているということではないと思いますが…。ひとまずグルグルさんは、2を選んだ、ということは了解しました。
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