『借りぐらしのアリエッティ』
監督: 米林 宏昌
企画・脚本: 宮崎 駿
プロデューサー: 鈴木 敏夫
原作: メアリー・ノートン
脚本: 丹羽圭子
美術: 武重洋二、吉田昇
主題歌: セシル・コルベル
アニメーション制作: スタジオジブリ
製作国: 2010年日本映画
上映時間: 1時間34分
配給: 東宝
●スタジオジブリ最新作は、人間に見られてはいけない小人たちの物語
今作は、「床下の小人たち」という小説を原作とした、スタジオジブリの最新作映画です。
監督は、アニメーターとして様々なジブリ作品に関わり、今回初めて監督に挑戦となった米林 宏昌氏。脚本にはおなじみ宮崎 駿氏。プロデューサーは『崖の上のポニョ』や『千と千尋の神隠し』などでもプロデューサーを務めた鈴木 敏夫氏です。
◆あらすじ
とある家の中で、両親とともに暮らしている小人の少女、アリエッティ。
彼女たち小人は「借りぐらし」と呼ばれ、人間の家にある様々なものを借りることで生きています。しかし、人間に見つかってはいけない。見つかったら、引っ越さなくてはいけないという掟がありました。
アリエッティが暮らしている家に、ある日、病を抱えた1人の少年「翔(しょう)」が泊まりにやってきます。
そして、翔はアリエッティを目撃し、アリエッティもそれを知ることとなります。しかし好奇心からか、アリエッティには翔のことを知りたいと思う気持ちが生まれていきます。
大きさの全く違う2人の関わりあい。それをきっかけに、小人たちに危機が迫っているとも知らずに…。
◆partygameの評価◆
インパクトは薄めですが、小人の世界をうまく表現しています
今作では、いわゆるこれといった明確な敵がいるわけではなく(いや、一応いるんですが「敵」と言っていいのか…)、全体的にわりと穏やかな作りでした。ファンタジー色が思ったより強くない(小人以外に架空の存在が出てこないため)こともあるかもしれませんし、ストーリーもまあ…原作の存在する作品であるからか、個人的にはあまりスッキリしない終わり方ではないと感じました。「バットエンド」とは言いませんが「ハッピーエンド」とも感じませんでした。
とはいえ、小人の視点で見せられる世界というのは面白いもので、私たちが普段使っている道具を、小人たちはどう使っているのか?その表現力には力を注いでいる様が伺えました。
ゲームの世界では、小さくなって周りのものが大きく見えるという設定はそこまで珍しくはありませんが…それでも、しっかり描写されていることで、改めてその魅力は感じることができました。
また、インパクトは薄いといいましたが、感情は静かに、しかし強く表現されていました。愛しさや憎しみや欲望といったものが人間らしく描かれており、また、それによってキャラクターごとの特徴がしっかり明確化されていました。
アリエッティはおてんば。翔はもの静か。その他のキャラクターも、気性激しかったり、表と裏の顔があったりと…色々とハッキリ見えるのが、分かりやすかったです。
また、だからこそ時として予想もしない行動や発言があったりして、ドキッとさせられることもあります。例えば<ちょっとネタバレ注意!→>翔は、普段はもの静かなイメージで口調も丁寧ですが、ある場面で一度だけ「皮肉な発言」があります。最初はちょっと違和感にも感じましたが、思えばそれも含めて、子供らしいのかな?とは思いました。<←ちょっとネタバレ注意!>
個人的にはちょっと物足りない感じもしましたが、小人の世界観をしっかりと描いているあたり、骨格はしっかり出来ていると思いました。何だかんだいってもジブリですね。
前情報をあえて見なかった私はちょっと物足りないと感じましたが、前情報をしっかり見ていた友人は、予想以上に面白かったと言ってました。
映画というのは、大きな画面と大きな音量。だからこそ、何も知らずに見に行くと、無意識のうちに何らかのインパクトを求めてしまうところがあるのだろうと思います。もちろん、映画の中にはラブストーリーみたいなもの静かなものもあれば、アクション満載の映画もあるわけですから、映画はインパクトが全てだとは思いませんが…少なくとも今回のジブリ作品は、おとなしめな作品であることは確かです。それを理解したうえでご覧になると、良いかと思います。
ちなみに…一部で、いかにも「となりのトトロ」を意識した場面がチラホラ。
もう、私にはあの人がトトロにしか見えません(笑)
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