川越「東屋」

尊敬してやまないかつての上司二人からのお誘いで、川越「東屋」へ。
川越には昔から鰻の名店が数多くあることは知っていたが、その中でも今回お世話になった「東屋」は味も歴史もトップクラスの老舗だ。
もちろん、入るのはこれが初めて。

喜多院のすぐ側にお店はあるのだが、この界隈はかつて遊郭があった場所で今もその名残を残す木造建築がいくつかある。
遊郭は絶えて久しいが、往年の雰囲気に思いを馳せれば、ちょっと粋で艶容なスポットである。

待ち合わせ時間よりちょっと早く着いたので、先に部屋へ通してもらった。
ぎしぎし軋む廊下を奥まで進み障子戸を開けると、ストーブが赤々と燃え、掘り炬燵が用意されていた。
今は亡き祖母の家を思い出した。

掘り炬燵なんて、何年ぶりだろう？
くつろいでいると鐘の音が聞こえてきた。喜多院の鐘だろうか。
とにかく静かだ。


そうこうしているうちに、かつての上司Ａさん、Ｔさんが到着した。
Ａさんに会うのは久しぶりだったが、笑顔に変わりなくお元気そうで安心した。


鰻の肝煮や白焼きなどの料理に舌鼓を打ちながら、酒も会話も心地よく進んでいく。
仕事のこと、趣味のこと、家族のことなど、Ａさん、Ｔさんの話は含蓄に富み面白い。
このお二人は、いつも私のことを心配してくれて、ご退職後も目をかけ言葉をかけてくれる。本当にありがたく、幸せなことだ。

シメの食事は、絶品の鰻重。

鰻の蒲焼きというと甘いタレを想像するが、ここのタレは辛口。
さっぱりとしている分、鰻の味が際だっている。


旨い！！
創業１５０年の老舗の味は、お世辞抜きで心を揺さぶり、笑顔になる。