シュリンクの小説「別れの色彩」、まだ読み終わっていないのだか、シュリンクはやっぱり素晴らしいな、と思った。
最初の「人工知能」という短編について。
まとまってないが、現時点で思ったことを少し書いておこうと思う。
東ドイツで研究機関に勤めていた2人の友情(不穏な友情)の話。西ドイツに逃げようとした友アンドレアスを、秘密警察に主人公は密告する。その為アンドレアスは逮捕され投獄される。刑期を終え出国したアンドレアスを支えて、2人はその後長きに渡り「友情」を育む。主人公の密告については、アンドレアスは何も知らない。アンドレアスが死に、主人公は、もう友に対する裏切りがバレる恐れが無くなったと安堵するのだか、アンドレアスの娘が父親の過去について調べ始める事で、主人公は自分の密告が明るみに出ることを恐れ苦しむ。
最初この話のどこが「人工知能」なのかわからなかった。だが、That's DanceのカリーナさんとミカスさんがAIの話をする中で、クラウド上の情報から亡くなった人を復元して云々という流れになり、あ、と思った。
「人工知能」にAIそのものは出てこないが、主人公は自分の意識や記憶、感情で、亡くなった友人(自分が裏切った友人)を「復元」し、メチャクチャ悩み苦しんでいる。
テクノロジーがなくても、人間は自分の脳からいくらでも「仮想現実」を作り出すことが出来る。というか、結構しょっちゅう作り出している。作り出してしまっている。
え、こわい。