逃走

ある日。
冷やし中華製造ロボットが誤作動を起こし、製麺工場を脱けだす。
あとでわかったことだが、ロボットは工場を出る直前、職員用ロッカーからお茶菓子用のチロルチョコを14個ばかり盗み出していた。


ロボットは常磐線に乗り逃走、夕方には神立駅付近の高級天ぷら店にその姿はあった。
海老の天ぷらを食べ、熱燗を呑む。
海老の次はサツマイモを、次はししとう、次はナス……そして、また海老を頼むころには、酒はもう10合ばかり呑んでいた。



工場長から連絡を受けた、このロボットの開発者である××博士はつぶやく。
「いちばん恐れていたことが起こってしまった……もうなにをやっても無駄だ、やつを止めることはできない……！」

◯

翌日。
××博士が、横領した研究費で連日パチンコに通っているという疑惑が、新聞・テレビで報道された。

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