
マグロとカツオの刺身をつつきつつ、酒を呑む。特別な夜だ、このくらいの贅沢は許されるだろう。
あと少し呑みたいくらいの酔いすぎないくらいのところで酒を切り上げ、ぼくは家を出た。
「こんな時間にどちらへ?」
「ええ、ちょっと敵討ちに」
「敵討ち……って、誰の?」
「自分自身のです」
雪が降りはじめる。
敵討ちの夜に雪か…おあつらえ向きじゃないか。俄然雰囲気が出てくる。
どうやら天はぼくに味方してくれるらしい。人は誰も味方なんかしてくれなかったのに……
ぼくだってこんなことしたくないさ。
でも、仕方ないんだよ。
ぼくはもう、なにもかも気に喰わないのです。
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