めざめていても夢はみる

ぼくはいつまでもさまよいつづける、
夜が明けても醒めない夢のなかを…

病み上がりの散歩

2014-07-23 21:37:22 | ペン




3日間つづいた高熱がやっと引け、ぼくは街に出てみる。
気のせいか、街を歩く人びとがやけにうつむき気味に感じられる。きちんと前を見て歩いているのは、イヌとヤギだけだ。

「ちょっと、そこの水牛」
だしぬけに、しゃれた帽子をかぶったイケメンに声をかけられる。
「…ぼく、ですか?」
「お前以外に誰がいる!」
イケメンな上にひどく不遜な男だ。
「お前の好きな食いもんは?」
ぼくは正直に答える。
「チャーハン…ですけど」
すると男はマグロの握りを頬ばり、近くにいた女と手をつなぎ、どこかへ行ってしまった。

線路を東横線(菊名行きの急行)が走り抜ける。

ぼくは家に帰ると、久しぶりに『さらば友よ』が観たくなり、DVDを引っ張り出し、酒を呑みながら観ることにした。



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