今回の計画担当は私。みなさんにはクマよけ鈴と、剪定ばさみ・ノコの持参をお願いしておいた。普段は、クマよけ鈴など持って歩かないが、めったに人の入らないこの山域だけは怖い。剪定ばさみ・ノコは、ヤブ山を歩くにしては、9月は木や草が生い茂り、時期が悪いと思ったからである。計画ルートは次の通り。田島橋から千両山・三坂山・大神が岳・赤谷山をへて、大神が岳登山口に降りる予定。ブルーの線はエスケープルート。
この付近については、1週間前の9月5日に「山歩きのページ」のK田さんが歩かれたようだ。いつもながらの健脚に脱帽。
おばけ杉については、N村さんの「心に山と故里ありて」に詳しいので、そちらをご覧ください。
三坂八郎林道の田島橋付近を出発したのは8時半ごろ。
登山道はあるのか?と聞かれたので、いや大神が岳までは全くありません、と私。
橋を渡ると、明瞭な林道が左と直進に分かれているが、今回は右に曲がってグリーンのフェンスを越えていく。ここからの林道も1年半前は明瞭な道だったが、今は草ぼうぼうで、全く利用されていないようだった。
ここから堰堤までは、宮島の登山道整備で鍛えたS田さんに先頭をお願いする。さすがになれたもので、ストックで草を払いながら、剪定ばさみを片手に、このジャングルの中を苦も無く分け入っていく。15分も歩くと林道右手下に、巨大なおばけ杉が現れる。下に降りて写真を撮る予定だったが、雑草が激しいのであきらめる。
そこから10分で渡渉地点。平成11年に堰堤を作った時には、作業道としてここには橋があったと思われるのだが、今はない。
ここを渡ると、さらにジャングルはひどくなる。まもなく第一の堰堤。右の斜面を駆け上る。
ここを乗り越え次の堰堤に登ったところで休憩。9時50分。ここで15分ほど休憩。
ここまでの、ルート図。
ここからは全くの未体験ゾーン。登山教室大先輩のT嶋さんに、ここから千両山まで先頭をお願いする。今までは堰堤工事のため左岸に道路があっただろうということで、ずっと左岸を歩いたが、ここからは歩けるところを歩くので、渡渉地点などもおまかせだ。
途中沢が大きく2分するところで、左に曲がることだけはお願いしておいた。
ここからは、沢を右へ左へと何回もわたる。T嶋さんの的確なルートファインディングに脱帽。
道なき道を、どんどん歩くT嶋さん。
さて次はどこを歩くか?と辺りを見回すT嶋さん。
9時54分、沢の2分地点に到着。ここから左の沢に入り、行ける所まで行って、右の尾根に上がる予定。
楽しそうに倒木を越えるT川さん。
10分も歩くと、谷が狭くなり、行き詰まってきたので、尾根に取り付く。わずか標高差50mくらいだが、この急斜面はきつい。
尾根に登って一休み。尾根を歩き始めると、藪は藪でも、今までの沢がはるひこさん(大藪晴彦)級なら、尾根のヤブはかずとよさん(吉本の小藪千豊)級で、非常に楽になった。
尾根を登って、千両山山頂に着いたのが10時55分。以前、といっても12年前にあった、広島山稜会や亀の子会などの標識は消えていた。とりあえず記念写真。
さて、ログを見てもらうとわかるが、千両山(1175m)からは北の尾根を下りヨソウ谷の本流に出る予定。ここから三坂山を越えて二艘船岩までは、メンバー唯一現役・若手のT川さんに先頭をお願いする。
西の尾根を通って三坂山に行くこともできそうだが、今回は四艘船岩を通って三坂山(1169m)に行くのが目的。
古い記録では、西の尾根を下って「三坂山に行くつもりが、いつの間にか林道に出てしまった(左にそれた)」との記述あり。私自身は、三坂山に行くつもりで、右の沢(ヨソウ谷の源・右にそれた)に降りてしまったことがある。どうもこのルートは一筋縄ではいかないようだ。
千両山から北に向かうとベロ尾根に出るが、このベロ尾根は10m以内の地図に出ないアップダウンが結構あり、面白い。なるほどこういうことか。
間もなく左に曲がる明瞭な尾根が現れるが、その手前にやはり地図にない小さい鞍部があり、これもなるほどと納得する。地図を見るだけでは気が付かないが、左右の等高線を見れば、ここは鞍部であってもおかしくない。
尾根の途中から左に下り、ヨソウ谷本流をめざす。
T川さんは、さすが馬力があり、藪をかき分けどんどん下っていく。このあたりになると、地面の倒木や枝木が腐って、しばしば踏み抜く。腐っていない木は、逆に、滑ってなんども転ぶ。T岡さんは、ストックがはまり込んで折れた。つるが足に引っかかって転びそうになったことも一度や二度ではない。惨憺たる状況を切り抜けて、やっと沢に出た。
昔歩いたとき、この沢は広い谷で歩きやすかったが、今は見通しもきかず岩の位置がわかりにくい。少し悩んだ末、下ることにするがジャングルだ。先頭を歩くT川さんのルートファインディングもなかなかのもの。つくずく、このメンバーはみな凄い、と思う。
さて、下ってみて四艘船岩のある沢がなければ、滝に出るはず。その場合は行き過ぎなので引き返して、また探さなければならないが・・・・・
次の沢の入り口で、のぞき込むと大きな岩が見える。四艘船岩に間違いない。やれやれ。船岩というよりは、枯れ枝が覆いかぶさって巨大なイノシシに見える。この沢の右側(左岸)を登り、四つ目の岩を過ぎたら、尾根に取り付いてください、とT川さんにお願いする。
沢の上に向かって、このような巨大な岩が四つきれいに並んでいる。四つ目の岩の上で記念写真。
ここからは適当に登って尾根に出ると、すぐに三坂山山頂(1169m)に出る。山頂に着いたのが12時23分。
ルーターで彫った「益田やまぼけ会」の標識が12年前と変わらずにあった。
ここで30分近く休憩ののち、山の反対側の斜面をダダーっと転ぶようにして下ると、向こう側に石のようなものが見えてきた。二艘船岩に違いない。
あの岩の向こう側に、釣橋林道があるはず。
近寄ると間違いない。二艘船岩だ。
ところが、林道に出たとたん、激しい雨がザーッと降ってきた。さてどうするか、雨はやみそうにない。これから先も道なき道のヤブを歩くことを思うと、心が折れそうになる。もうヤブはげっぷが出そうなほど満喫したのだ。土砂降りの中でそれを続けるのか?。
本来なら、林道を少し右に歩き、左手の沢筋から鞍部に登り、あとは尾根沿いにたどれば大神が岳まで行けるはずなんだが・・・
みんなに相談の結果、「断腸の思い?」で断念することにした。みんな、げっぷが出そうになっていたに違いない(笑)。
運よく、ここは当初予定していたエスケープルートでもあるのが幸い。そのまま釣橋林道を下り、トンネルを抜けて車をデポしていた大神が岳登山口まで歩いた。
しかし三坂八郎林道に出るころには雨もやみ、残念無念。あと30分雨の降るのが遅ければ、とにもかくにも完登できただろうに。
かくて二艘船岩から大神が岳までの縦走は、またいつかやりましょうということになった。
本日のルート。残念!大神が岳まで到達できず!
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