奥山舎 オウザンシャ

寺内はキリスト教とCharles Dickensの独立研究者。専門分野だけでなく広く社会問題に関心があります。

#聖書を妄信する人たち―キリスト教福音派 

2023年11月24日 | 日記
 アメリカにキリスト教福音派の人たちがいます。彼らは「聖書の言葉を一字一句大事にする」人たちです。その信徒数は米国人口の「4分の1近くを占め」ています(朝日新聞2023.10.19です)
 福音派自身は自らを、「聖書は神の霊感によって書かれ、誤り無い神のことばであるという、聖書の十全霊感(聖書信仰)を信じるすべての教会」と定義します。「アメリカの福音派」の信徒数は「同国の人口の4分の1を占め」ています(ウィキペディアの「福音派」です)。
 聖書は信仰の書であっても、真理を極めた研究書でありません。聖書は神を「天地万物」創造の「全能の神」と記しますが、これは事実ではありません。
 聖書の申命記4章34節に、「神」は「一つの国民を他の国民の中から選び出し、御自身のものとされた」とあり、ゆえに「イスラエルの人々」は自分たちを「神、主の民」と誇りにします。
 皆さんは、天地万物創造の全能神が1民族のみを偏愛するなんてことがあり得ると信じますか。わたしは拙著『キリスト教の発生』で、「神は全能神にあらず」、「神」はイスラエルの「民族神」に過ぎないと、繰り返し主張しています。
 聖書は古代人の発想に依拠しています。古代人の発想から抜け出さない限り、ハマスとイスラエルの対立は根本的には解決しないのではないでしょうか。
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#イスラエル考3 聖書とコーランと

2023年11月21日 | 日記
 聖書にもコーランにも不寛容の記述がある。
 聖書を言えば、敵を「撃つときは、彼らを必ず滅ぼし尽くさねばならない。彼らと協定を結んではならず、彼らを憐れんではならない。」(申命記7:2)、「人に傷害を加えた者は、それと同一の傷害を受けねばならない。骨折には骨折を、目には目を、歯には歯をもって人に与えたと同じ傷害を受けねばならない。」(レビ記24:19-20)
 コーランを言えば、「これ、汝ら、信者の者、ユダヤ人やキリスト教徒を仲間にするでないぞ」(第5章85節)、「聖典を頂戴した身でありながら真理(まこと)の宗教を信奉もせぬ、そういう人々に対しては、先方が進んで貢税を差出し、平身低頭して来るまで、あくまで戦い続けるがよい。」(第9章29-35節)(井筒俊彦訳『コーラン』岩波文庫、1987、上巻、155、254-56頁)。
 ハマスのイスラエル攻撃、イスラエルのハマス反撃に、これらの不寛容思想が相互に機能しているかどうかは分からないが、聖書もコーランも、それぞれがよって立つ聖典である以上、無関係とはいえないのかもしれない。
聖書の律法(創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記)は、モーセがシナイ山で神から授かった掟(ただし、創世記にはモーセは登場しない)である。
 他方、イスラム教の創始者ムハンマド(マホメット)は、西暦610年頃、天使ガブリエルを介して全知全能の唯一神アッラーの啓示をうけて預言者を自覚し、「アッラーのほかに神なし」としてイスラム教を創始した。イスラム教の聖典「コーラン」はムハンマドの教えを記述したもので、彼の死後に出版されたものである。
 イスラム教ではムハンマドの上位に5人の偉大な預言者、アダム、ノア、アブラハム、モーセ、イエスを置く。聖書の記述によれば、これら5人の預言者はすべて天地万物創造の全能神に連なっている。
 創世記によれば、「神」が、「土(アダマ)の塵(ちり)で人(アダム)を形づくり」、その「人」を「東の方のエデン」の「園」に「置」いた。つぎに「人」から「あばら骨」を「抜き取」って「女を造り」、「人のところへ連れて」行くと、「アダムは女をエバ(命)と名付けた。」エバは、「神」の造物なる野生物中で最賢の「蛇」の甘言に乗せられ、「神」の禁じた「善悪の知識の木」の「果実」を食べ、アダムも食べ、その罪ゆえに楽園「追放」にあった(創1・27-3・24)。
 その「アダム」が「妻エバを知」り、「エバは長男カインを産み」(創4・1)、次いで次男「アベル」(創4・2)を、そして3男「セト」を得る(創4・25)。長兄カインは、弟アベルへの神の愛をねたみ、アベルを「殺」す(創4・1-8)。カインはその罪のために主から譴責されるが庇護もされる。のちにカインは長男エノクを得、自分が「建てていた」町を、その子にちなんで「エノク」と「名付け」、カイン家6代がつづくなかで文明が始まる(創4・9-22;聖書フラ13注7参照)。3男セトはエノシュを授かり、「主の御名を呼び始めたのは、この時代のことである。」で創世記4章は終わる。
創世記5章はアダムの3男セトの系図で、セトから数えて9代下にノアが現れ(創5・1-29)、ノアが500歳のとき、3男児セム、ハム、ヤフェトを得る(創5・32)。
 創世記7章は洪水である。神は、「地上」に人が「増え」、「悪」が蔓延する様をみて、「人」を、そして「家畜も這うものも空の鳥」も「造ったことを後悔」し、「無垢」なノアを除いて「すべて」を「滅ぼす」ことを決め、ノアに「箱舟」の建造を命じる。ノアは神の指示に従い、妻と、3男児夫妻と、「清い動物をすべて7つがい」と、「清くない動物をすべて1つがい」と、「空の鳥」の「7つがい」とともに「箱舟」に「入」る。
ノア600歳のとき「洪水」が起こる。神は大雨を四十日間降らせ、「百五十日の間」水勢は引かない。
 創世記8章は水勢の衰えと下船である。ノア「六百一歳」のとき「水は乾」き、ノア一家とすべての生き物は「神」の指示で下船する。9章で、「ノアの息子、セム、ハム、ヤフェト」の「三人」から「全世界の人々」が「出」た、と(創9・18-9)。
 創世記は「神」を「天地万物」創造の「全能の神」と規定するが(創2:1、17:1)、神の実態はイスラエルの守護神、民族神に過ぎないと、わたしは拙著『キリスト教の発生』で繰り返し述べている。
 アラビア・メッカ生まれの商人ムハンマド(マホメット)(570年頃-632年)はユダヤ教とキリスト教の影響を受けつつ西暦610年頃、天使ガブリエル(下線部は下記「注記」を参照せよ。以下同)を介して全知全能の唯一神アッラーの啓示をうけて預言者を自覚し、「アッラーのほかに神なし」とするイスラム(教)を創始した。イスラム教では、創世記の「神」が生み出した5人、アダム、ノア、アブラハム、モーセ、イエスをムハンマドの上位に位置づける。
聖書もコーランも古代人の空想に依拠している。イスラエルもハマスも、聖典と信じる書の本質を見極めるべきであろう。我々は古代人の空想から脱して、人間みなきょうだいの観点から、新しい歴史を創造すべきであろう。

注記、天使ガブリエルは「ルカによる福音書」1:19に、「天使は答えた。『わたしはガブリエル、神の前に立つ者。あなたに話しかけて、この喜ばしい知らせを伝えるために遣わされたのである。』」とある。
注記。アブラハムは、ノアの長男セムの子孫で、セムから数えて9代目、遊牧民テラの長男である(創11・11-26)。モーセは、アブラハムの孫ヤコブに3男レビがあり、レビのひ孫である。 イエスの系図は新約聖書の「マタイによる福音書」第1章と「ルカによる福音書」3章にある。ルカではイエスはアブラハムの子孫とあり、マタイでは父ヨセフに連なる先祖はアダムとある。

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#イスラエル考2 イスラム教の成立、エルサレム、シオニズム(ユダヤ人のエルサレム帰還)

2023年11月21日 | 日記
 アラビア・メッカ生まれの商人ムハンマド(マホメット)(570頃-632)はユダヤ教とキリスト教の影響を受けつつ610年頃、天使ガブリエルを介して全知全能の唯一神アッラーの啓示をうけて預言者を自覚し、「アッラーのほかに神なし」とするイスラム(教)を創始した。ムハンマドはイスラムの預言者のひとりで、アッラーの教説を最も正しく説いた人とされている。イスラムではムハンマドの上位に5人の偉大な預言者がいるとされ、その5人とはアダム、ノア、アブラハム、モーセ、イエスである。これらの5大預言者はユダヤ教とキリスト教とに重なり合っているから、3つの宗教は共に縁戚関係にあるようなものであるが、現実は、どの宗教も、わが神こそ唯一、と主張する。故に、これらの宗教はすべて、発生の時点から不寛容を特徴としていると言えるし、現実にそのようであったのだ。
 今日、3者の関係をいっそうむずかしくしているのがエルサレム問題であり、3者はともに、エルサレムはわが聖地、と互いに主張しあっている。
ユダヤ教はソロモン王の時代から西暦70年までの間、ここに神殿を築いていたし、イエスは神殿の商業行為に立腹して宮清め(マタ21.12-13ナド)を行っているし、イエスの弟子たちはイエス死後ここに日参している。
 イスラム教がエルサレムを聖地とする根拠は、ここがムハンマドの昇天地と見なすからである。ムハンマドは632年に、エルサレム旧市街の、約1キロ四方の城壁に囲まれた神殿の丘(ハラム・シャリーフ)にある巨岩から昇天したとされている。
 他方、この巨岩は、旧約聖書によれば、アブラハムが一人息子イサクを神のいけにえに捧げようとした場所であって(創22章)、ユダヤ教とキリスト教にとっては、イスラム教以前の聖地ということになる。
 エルサレム史をひもとけば、ここは636年にアラブの支配に落ちている。このときイスラム教徒はエルサレム神殿跡に、メッカ、メディナに次ぐ聖なるモスク、アルアクサ・モスクを建立している)。さらに691年、イスラム教徒のウマイヤ朝時代(661~749年)に巨岩をおおう形で「岩のドーム」と呼ばれるモスクを創建し、修復を重ねて今日に至っている。
 1038年、イスラム教徒のセルジューク朝(1038~1157年)が中央アジアでおこり、のちに小アジアに進出して1071年にエルサレムを占領した。この占領で、キリスト教徒によるエルサレム巡礼が困難となったことから、キリスト教徒は1096年に十字軍を派遣し、1099年にエルサレム王国を建国したが、この王国は1291年、イスラム教徒の軍隊マムルークに壊滅させられ、以後マムルーク朝が1516年まで支配し、その後にイスラム教徒のオスマン・トルコ帝国が1917年まで統治している。
 ユダヤ人にとっては、エルサレムは聖地であるだけでなく、パレスチナは父祖の地であり、神から授かったと信じる「乳と密の流れる土地」である。このパレスチナへ、ユダヤ人は1897年に復帰運動(シオニズム、シオンへの帰還)(イザヤ書51章、エレミヤ書3:14)を起こすが、1922年にイギリスがパレスチナの委任統治に入るや、ユダヤ人、アラブ諸国、イギリスの3者間で対立抗争が激化するのである。そんなとき、第二次世界大戦(1939~45年)が勃発して欧州在住のユダヤ人600万人が虐殺されるという悲劇がおこり、シオニズムを加速させ、大戦後の1948年、ユダヤ人はパレスチナでイスラエル共和国の独立を宣言している。これによってユダヤ人は、西暦135年に祖国を失って以来およそ1800年間世界を流浪し、ついに建国にこぎつけたということになるのだが、この建国は、パレスチナ人からすれば迷惑な話で、70万人の難民を出すことになったのである。今日(2002年現在)ではその数は、自然増もあって370万人に達している(以上、出典:寺内孝著『神の成長』アポロン社、2002、273-75頁)。

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#イスラエル考1 ハマスとイスラエルの軍事衝突の根底に古代人の「律法」がある―古代人の思想から抜け出そう

2023年11月19日 | 日記
 2023年10月のイスラエル・ガザ侵攻は、同年10月7日、イスラム組織ハマスの大規模奇襲攻撃と、人質240人剥奪に始まります。
 歴史を紐解げば ユダヤ人はローマ帝国の支配に抗して2度蜂起(西暦66-70年、132-135年)し、結果、「生き残った者はほとんでいなかった」と記録されるほどの惨敗を喫しています(寺内孝著『キリスト教の発生―イエスを越え、モーセを超え、神をも超えて』の「律法、終末、メシア」7 ’すべて空(くう)なり‘参照)。
 ローマ帝国はユダヤ戦争終結後、ユダヤを「パレスチナ」と、エルサレムを「アエリア・カピトリナ」と改称しました。ユダヤ人は亡国したのです。彼らの中には戦前からパレスチナや欧州各地に居住していた人たちがいますし、戦後にユダヤを追われた人たちもいます。これらの人たちは世界各地に離散しましたが、その土地で帰化しなかった主因は、ユダヤ教の律法(モーセ五書、即ち創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記)があるからです。その掟の中で、ユダヤ人は天地万物創造の唯一神に「選ばれた」民と記されています(申7:7)。
 ユダヤ人は異郷の地で、1800年間、亡国の民の悲哀をなめました。第2次大戦後、彼らは大挙して、神が「与える」(創12:7、13:15)と誓われた「乳と蜜の流れる土地」(出33・3)・パレスチナに帰り、1948年にイスラエル共和国の独立宣言を出しました。この帰郷で、当地のパレスチナ人70万人が難民化しました。これがパレスチナ問題の発端です。
 難民の中から、あるいは難民を支持する人たちの中から、ハマスが誕生しました。イスラエルは、攻撃を仕掛けられれば存亡の危機に立たされますから激しい反撃に出ます。その反撃の仕方は、律法に支えられている部分があると思われます。「主なる神」いわく、敵を「撃つときは、彼らを必ず滅ぼし尽くさねばならない。彼らと協定を結んではならず、彼らを憐れんではならない。」(申7:2)、「人に傷害を加えた者は、それと同一の傷害を受けねばならない。骨折には骨折を、目には目を、歯には歯をもって人に与えたと同じ傷害を受けねばならない。」(レビ24:19-20)
 イスラエルは、圧倒的な軍事力でハマス撲滅の挙に出ています。彼らは間もなく、いくらかの点で、所期の目的を達成するでしょう。だが、世界の民は、無辜の民の死と損傷と悲哀を凝視しています。イスラエルはある意味で、世界の多数者を敵に回している点があるといえましょう。ハマスはハマスで、再起を期するに違いありません。武器による殺戮の応報には限りがありません。
 思うに、律法に記された「神」は、天地万物創造の全能神ではありません。その「神」の本質は、イスラエルの守護神、民族神なのです。このことを、私は上掲の拙著で繰り返し主張しています。そうであるにもかかわらず、モーセに発する3つの宗教(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教)は「神」を全能神と信じ、エルサレムにそれぞれの聖地を置いています。争いの根本に誤りがあるのです。われわれは古代人の発想から抜け出し、歴史を作りなおすべきでしょう。事の振り出しに戻り、人間みなきょうだいの観点に立ち、新しい歴史の創造に意を注ぐべきだと思うのです。

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今回ユニセフの呼掛けに応じ、些少ではありますが、「ガザ人道危機緊急募金」に、「武器を持つな」と記して寄付しました。

寺内 孝 様 
この度は、ガザ人道危機緊急募金にご協力を賜り、心より感謝申し上げます。 お寄せいただきました募金は、緊急事態下の子どもたちのために、病気の予防、安全な水や栄養補助食の提供、教育の再建や子どもたちの保護などの支援活動に大切に活用させて頂きます。 下記の通りご寄付のお申し込みをお受けいたしましたので、ご連絡申し上げます。 
■受付番号    :10001034140
 ■受付日     :2023年10月24日 
■お名前     :寺内 孝 様 
■ご寄付の金額  :〇,〇〇〇円(ガザ人道危機緊急募金として)
 ※領収書について ご寄付領収日は、各カード会社からの当協会への入金日付となり2023年12月、また領収書ご送付は2024年1月上旬予定です。 なお、クレジットカードのご利用日は、お申込日ではなく、当協会でのお手続き日となります。 今後ともユニセフを通じて、緊急事態に直面した子どもたちにご支援を賜りますようお願い申し上げます。 ]
]公益財団法人 日本ユニセフ協会 
〒108-8607 東京都港区高輪4-6-12 
ユニセフハウス https://www.unicef.or.jp 
フリーダイヤル:0120-88-1052(平日 9:00-17:00)]
 Eメール:webbokin@unicef.or.jp
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