✳ 本 の 帯 (おび) にある 言葉 から ✳
「 どんな 境遇 にあっても、
ひたむきに、人間 を 磨 (みが) く。」
「 当代 随一 (とうだい ずいいち)
の 経営者 が 実践 (じっせん)
してきた自己 成長 を
促 (うなが) し、真 の 充足
(じゅうそく) を もたらす
唯 (ただ) ひとつ の
確実 な 方法 」
「人生の 目的 に 迷 (まよ) うとき、
生き方 に 悩 (なや) む とき、
心 が 晴れない とき、
支 (ささ) え に
なって くれる 1冊 ! 」
「 人間 として 正しいこと を
正しい まま に 貫 (つらぬ) く。
・ 大きな 志 ( こころざし = 目的
などの こうしようと 心 に
決めたこと ) を 持つ こと
・ 常 (つね) に 前向き ( = 物事 に
対して 積極的 で、肯定的、
建設的 である 様。 ポジティブ )
で あること
・ 努力 を
惜 (お) しまないこと
・ 誠実 ( せいじつ = 私利 私欲 を
まじえず、真心をもって 人 や
物事 に 対すること ) で あること
・ 創意 ( そうい = いろいろ 工夫
して 見いだした 考え や 方法 )
を 凝 (こ) らすこと
・ 挫折 ( ざせつ = 仕事や計画などが、
中途 で 失敗し だめ になること )
に へこたれないこと
・ 心 が 純粋 で ある こと
・ 謙虚 ( けんきょ = 自分を 偉いと
思わず、すなおに 他に 学ぶ
気持があること ) で あること
・ 世 の ため、人 の ために
行動 すること 」
本来、人生 とは
希望に 満 (み) ちて
いる もの です。
( 中 略 )
未来 に 希望 を
抱 (いだ) き、
明るく 積極的に
行動 していく ことが、
仕事 や 人生 を
より 良くする
第 1 条件 です。
── 本文 より
◇ 12ページ から。
《 幸せな 人生 に
導 (みちび) いてくれる
たった 1つの 鍵 (かぎ) 》
私 は これまで 仕事 に
追 (お) われ、仕事 を
追いかける 人生 でした。
しかし、そんな 人生 を
振 (ふ) り 返ってみると、
「 私 ほど 幸せな
人間 は いない 」
と しみじみ 思います。
1959年 に 28名 の
町 工場 から スタート した
京セラも、1984年 に
電気 通信 事業 の 自由化 に
際 (さい) して 設立 させて
いただいた 第二 電電
( 現・KDDI ) も、
順調 に 成長 発展 を
遂 (と) げることが できましたし、
晩節 (ばんせつ = 晩年) を
汚 (けが) す のではないか と
心配 された 日本 航空 の 再建 も、
なんとか その 任 (にん) を
果 (は) たすことができました。
もちろん、その 過程に おいては、
さまざまな 苦労が あった
ことも 事実 です。しかし、
そんな 苦労 も 含 (ふく) めて、
今になって 振 (ふ) り 返れば、
「 何 (なん) と幸せな 人生 だろう 」
と 思える のです。
それは、どんな 境遇 (きょうぐう)
に あろう とも、「 人間 として
正しいこと を 正しいまま に
貫 (つらぬ) く 」 と いうことを
強く 意識し、現在 まで 変わらずに
実践 (じっせん) してきたことが
もたらして くれたこと
なのではないか と 思っています。
私は どのような 「 考え方 」 を
選択 (せんたく) するか によって、
自分 の 人生を、素晴 (すば) らしい
ものに つくり 上げる ことも
できれば、壊 (こわ) すこと
にもなる と 考えて います。
人 は 誰 でも、人生 で、
思いもよらぬ 障害 (しょうがい) に
遭遇 (そうぐう) します。
そんな 困難 (こんなん) に
直面 (ちょくめん) したとき、
どちらに 向 (む) いて 進むのかは、
すべて 自分 の 「 考え方 」 から
来 (く) る 判断 (はんだん) です。
その 1つ ひとつ の 判断 が
集積 (しゅうせき) された ものが、
人生 の 結果 となって
現 (あらわ) れるのです。
ならば、常 日頃 (つねひごろ) より、
自 (みずか)ら を 正しい 方向 へ
導 (みちび) く 「 考え方 」 に
基 (もとづ) いた 判断 をしていれば、
どんな 局面 でも 迷 (まよ) う
ことは ありません。
いつも 正しい 行動 が とれ、
結果 も 素晴らしいものに
なって いく はずです。
一方 (いっぽう) 、自分だけが
よければ いい という 利己的
(りこてき) な 心 や気まぐれな
感情 など、自分 を 悪 (あ) しき
方向 (ほうこう) へ 導 (みちび) く
「 考え方 」 が もたらす
判断 基準 (はんだんきじゅん)
しか 持っていない 人 は、
常 (つね) に 揺れ 動く 自分 の 心 に
左右 (さゆう) される ことに なります。
人間 とは 弱 (よわ) いものです。
環境 に 負け、自分 自身 の 欲望に
負 (ま) け、心 が 乱れ、人 の 道 に
反することも やってしまう のも
事実 です。
だからこそ、何かに 迷ったときに
判断 の 基準 となる 正しい
「 考え方 」 を 持つことが
たいへん 大切 です。
自ら を 正しい 方向 に 導く
「 考え方 」 と いうものは、
まさに 闇 (やみ) を
照 (て) らす 光 です。
人生路 (じんせいろ) を
歩いて いく とき に、
素晴らしい 人生 へ と
続く 道 を 示 (しめ) してくれる
羅針盤 (らしんばん) と なって
くれる のです。
《 「 考え方 」 と 「 熱意 」 の
大切さ に 気づく 》
人間として 正しい 「 考え方 」 を
持つことが、私たち の 人生 に
どれほど 大きな 影響 を 与えるか。
そのことを 理解して
いただく ために、まず、
人生 や 仕事 の 結果を
表 (あらわ) す 方程式 に ついて
お話 したい と 思います。
私 は 長年、この 方程式 の
値 (あたい) を 最大にするよう、
日々 懸命 (けんめい) に
仕事 に 取り組んで きました。
また この 方程式 でしか、
自分 の 人生 も、京セラ や
KDDI の 発展、そして
日本 航空 の 再生 も 説明することは
できない と 思っています。
《 私 の 考える 人生 の 方程式 》
《 人生 ・ 仕事 の 結果 =
考え方 × 熱意 × 能力 》
私は、さして 裕福 では ない
家 に 生まれ、若い ときは
中学 や 大学 の 入試 試験、
そして 就職 試験 に
ことごとく 失敗 しました。
多くの 挫折 (ざせつ) を 経験 し、
人並 (ひとな) み 程度 の
「 能力 」 しか 持たない 私 が、
人並み 以上の ことを
成 (な) し 遂 (と) げる には
どうすれば いい のだろうか。
そう 悩 (なや) んだ 末 (すえ) に
見出 ( みいだ = 発見 ) したのが、
この 方程式 です。
この 方程式 は、「 能力 」 「 熱意 」
「 考え方 」 という 3つ の 要素
から 成り立って います。
「 能力 」 というのは、頭 が
いい と いうだけ では なく、
運動神経 が 発達 しているとか、
頑健 ( がんけん = 健康 )
で ある と いった 身体的 な 能力
も 含 (ふく) めたもので、
多くは 生まれつき
備 (そな) わって いる ものです。
この 「 能力 」 を 点数 で
表 (あらわ) せば、個人差 が
ありますから、0 点 から 100 点
まで ある と いえる でしょう。
ろくに 勉強 も せず 運動 能力 も
ない と いうような 人 を 0 点
と すると、運動 神経 も 発達 し、
健康 でも あり、学校 の 成績 も
抜群 (ばつぐん) という ような
人 が 100 点 と なる わけ です。
この 「 能力 」 に 「 熱意 」 という
要素 が 掛 (か) かって きます。
「 熱意 」とは、「 努力 」 と
言い 換 (か) えても いい のですが、
これに 関 (かん) しても、やはり、
個人差 が あり、0 点 から 100 点
まで あります。
人生 や 仕事 に 対して 燃える
ような 情熱 を 抱き、一生 懸命 に
努力する 人 を100 点 とすると、
やる気 や 覇気 ( はき = 意気・意志)
の ない、無気力 で 努力 しない 人
は 0 点 と なります。
この 「 熱意 」 は 「 能力 」 と
異 (こと) なり、自分 の 意志 で
決める ことが できます。
だから 私 は、まず 誰にも
負けない 努力 を 重ねよう
と 思いました。
能力 は さほど 高くは ない
かも しれない が、熱意 だけは
誰にも 負けないほど、
持とうと 思ったのです。
頭 が いい からと 努力 をしない 人
より は、自分 には 能力 は ない と
自覚 して、誰 よりも 情熱 を 持って
努力 した 人 の ほうが、はるかに
素晴らしい 結果 を 残すことに
なる はずだ と 考えた わけ です。
最後に 「 考え方 」 という 要素 が
掛 (か) かって きます。
「 考え方 」とは、その 人 の 思想、
哲学 という 意味 でも ありますし、
理念、信念 といっても
構 (かま) わないでしょう。
または、人生観、人間性などと
置き換えても いい でしょうし、
人間 としての 生きる姿勢 と
いっても いい かもしれません。
そういうもの を 総称 (そうしょう)
として 「 考え方 」 と 呼ぶ わけです。
この 「 考え方 」 こそ が、
最も 大事な 要素 であり、
方程式 の 結果 を 大きく
左右 (さゆう) することになります。
なぜなら、先 (さき) の 「 能力 」 や
「 熱意 」 が 0 点 から 100 点 まで
あるのに 対して、「 考え方 」 には、
悪い 「 考え方 」 から、
良い 「 考え方 」 まで、
それぞれ マイナス 100 点 から
プラス 100 点 まで の 大きな
振れ幅 (ふれはば) が ある からです。
「 能力 」 も 「 熱意 」 も、
高ければ 高いだけ いい のは、
言う までも ありません。
しかし、それ 以上に、自分の
「 考え方 」 が プラス なのか、
それとも マイナス なのか、
さらに、その 数値 は 高いのか、
低いのか という ことが、
人生 や 仕事 の 結果 を
大きく 左右 (さゆう) する
ポイント に なります。
〈 中 略 〉
◇ 22ページ から。
《 良い 「 考え方 」 と
悪い 「 考え方 」 》
よく 「 才 (さい) に 使われるな 」
と 言います。才能 の ある 人 は
つい 自分の 才能 を 鼻 に かけ、
傲慢 ( ごうまん = 高慢・不遜 )
に 振る舞 (ふるま) って しまいます。
それは、先 (さき) ほど も 述べた
日本 航空 の 例 を みても
明 (あき) らかです。
以前 の 日本 航空 は、「 日本を
代表する 航空 会社 」として、
ちやほや されてきた 長い 歴史 が
あるものですから、幹部 社員 たち は
知らず 知らず のうちに
傲慢 ( ごうまん = 高慢・不遜 )
に なって いました。
ですから 私 は、生意気 (なまいき)
で 不遜 (ふそん) な 態度 をとる
幹部 社員 には、厳 (きび) しく
叱責 (しっせき = 相手 の 非を
とがめ、きびしく注意する )
を しました。
「 リーダー には 謙虚 (けんきょ)
さ が 必要であり、こういう 事態
に なったことを 自分 自身 の
責任 として 反省 しなければ
ならない 」 と 説 (と) きました。
幹部 社員 は 皆 (みんな)、
高い能力 を 持つ 非常に
エリート 意識 の 高い
人たち ばかり です。
学歴 も 高く、礼儀 正しくも
見えるけれども、実は
慇懃 無礼 (いんぎんぶれい) で、
努力 の 大切さ や 人間として
正しい 「 考え方 」 など
気にも 留 (と) めません。
そんな 才覚 だけを 備えた
人間 が 大きな 権力を 握り、
企業内 を 牛耳 (ぎゅうじ) る
ようになり、組織 全体 が
「 人 として 大事 なこと 」 を
ないがしろ に して しまった。
そのような 組織 が お客様 を
大切に するはず が ありません。
そのために、日本 航空は
2 兆 3 千 億 円 もの 巨額 の
負債 (ふさい) を 抱えて 経営 破綻
(けいえい はたん) しました。
才能 を 使うのは 「 心 」 だと
言われるように、「 考え方 」 が
自分 の 能力 を 動かして
いかねばなりません。
心 を 失 (うしな) い、能力
だけ が ある という 人 は、
「 才 に 溺 (おぼ) れる 」 と
言われるように、
必ず 失敗 します。
つまり、プラス の 「 考え方 」 を
持って 「 心 を 高める 」 こと に
努める のが たいへん
大事 なのです。
では、私 の 考える プラス の
「 考え方 」、マイナス の 「 考え方 」
とは、どのようなものなのでしょうか。
プラス の 「 考え方 」 とは、
端的に 言えば、正義、公正、
公平、努力、謙虚、正直、
博愛 などの 言葉 で 表現される、
プリミティブ ( = 素朴・そぼく) な
倫理観 (りんりかん) そのもの
であり、世界 の どこでも 通用する
普遍的な もの ばかりです。
そして、その 反対 に、マイナスの
「 考え方 」 とは、プラスの
「 考え方 」 の 対極 に くるもので
あると 私 は 考えています。
それら を 対比 させて 列挙 (れっきょ)
するならば、下 に 挙 (あ) げる ような
項目 (こうもく) として
示 (しめ) すことが できます。
✳ プラス の 「 考え方 」 ✳
常に 前向きで、肯定 的、
建設 的 である。
皆 (みんな) と 一緒 (いっしょ) に
仕事 を しようと 考える
協調性 を 持っている。
真面目 で、正直 で、謙虚 で
努力家 で ある。
利己的ではなく、「 足 (た) る 」
を 知り、感謝 の 心 を 持っている。
善意 に 満ち、思いやり が あって
優 (やさ) しい。
✳ マイナス の 「 考え方 」 ✳
後ろ 向き で、否定 的 で、
非 協力 的 で ある。
暗く、悪意 に 満ちて、
意地 (いじ) が 悪く、他人 を
陥 (おとしい) れようとする。
不真面目で、嘘 (うそ) つきで、
傲慢 ( ごうまん = おごり
たかぶって 人 を 見くだすこと )
で、怠け者 (なまけもの)。
利己 (りこ) 的 で 強欲 (ごうよく)、
不平 不満 (ふへい ふまん) ばかり。
自己 の 非 (ひ) を
棚 (たな) に あげて、
人を 恨 (うら) み、
人を 妬 (ねた) む。
〈 中 略 〉
幸運 に 恵 (めぐ) まれよう と、
災難 に 遭遇 (そうぐう) しようと、
常 (つね) に プラス の 「 考え方 」 を
養 (やしな) い、実践して
いくこと に 努 (つと) める。
人生 の 鉄則 は それに 尽 (つ) きる
といっても よい と 思います。
《 ほれぼれ するような
人 に なれ 》
本書は、素晴らしい 人生 を
送るために、正しく、清らかで、
強く、純粋 な 「 考え方 」 を 持つこと、
すなわち 美しく 高邁 (こうまい) な
人格 を 築 (きず) き 上げることが
いかに 大切 であるか ということを、
私 の 体験 を 交 (まじ) えて
述 (の) べた ものです。
本書 を 構成している 九つ の 章 は
「 大きな 志 を 持つこと 」
「 常 に 前向き で あること 」
「 努力 を 惜 (お) しまないこと 」
「 誠実 (せいじつ) で あること 」
「 創意 を 凝 (こ) らすこと 」
「 挫折 (ざせつ) に
へこたれ ないこと 」
「 心 が 純粋 で あること 」
「 謙虚 (けんきょ) で ある こと 」
「 世 の ため、人 の ため に
行動 する こと 」
から 構成 (こうせい) されており、
それぞれ が 独立 した
テーマ と なっています。
しかし、「 人生 は 考え方 に よって
形 (かたち) づくられる 」
という 本質 の 部分 では
互 (たが) い に しっかり と
結 (むす) びつき、一体 (いったい)
と なって、人生 に 幸福 を
もたらす「人間 の あり方 (かた) 」
を 指し示 (さししめ) しています。
〈 中 略 〉
大切なのは、「 こうありたい 」と
思い 続ける ことです。
「 こういう 人間 で ありたい 」
と 思って、一生 懸命
(いっしょう けんめい)
努力 し 続ければ、必ず
人間 は 成長 するものです。
もともと、生まれながらに 立派 な
人格 を 持った 人 は いません。
人間 は 一生 を 生きていくなかで、
自 (みず) ら の 意志 と 努力 で
高邁 (こうまい = 気高い・けだかい)
な 「 考え方 」 を 持った 人格 を
身 (み) に つけて いきます。
本書 が、そのように 絶 (た) えず
自分 自身 を 磨 (みが) き、
素晴らしい 人生 を 歩 (あゆ) んで
いこうとする 皆 (みな) さん に
とって、少しでも 役立つ ことを
願って やみません。
〈 後 略 〉
□ 参考 文献
「 考え方 」
稲盛 和夫 (いなもりかずお) 著
大和 書房 (だいわしょぼう) 発行
◇ 稲盛 和夫 オフィシャル サイト
https://www.kyocera.co.jp/inamori/
「 どんな 境遇 にあっても、
ひたむきに、人間 を 磨 (みが) く。」
「 当代 随一 (とうだい ずいいち)
の 経営者 が 実践 (じっせん)
してきた自己 成長 を
促 (うなが) し、真 の 充足
(じゅうそく) を もたらす
唯 (ただ) ひとつ の
確実 な 方法 」
「人生の 目的 に 迷 (まよ) うとき、
生き方 に 悩 (なや) む とき、
心 が 晴れない とき、
支 (ささ) え に
なって くれる 1冊 ! 」
「 人間 として 正しいこと を
正しい まま に 貫 (つらぬ) く。
・ 大きな 志 ( こころざし = 目的
などの こうしようと 心 に
決めたこと ) を 持つ こと
・ 常 (つね) に 前向き ( = 物事 に
対して 積極的 で、肯定的、
建設的 である 様。 ポジティブ )
で あること
・ 努力 を
惜 (お) しまないこと
・ 誠実 ( せいじつ = 私利 私欲 を
まじえず、真心をもって 人 や
物事 に 対すること ) で あること
・ 創意 ( そうい = いろいろ 工夫
して 見いだした 考え や 方法 )
を 凝 (こ) らすこと
・ 挫折 ( ざせつ = 仕事や計画などが、
中途 で 失敗し だめ になること )
に へこたれないこと
・ 心 が 純粋 で ある こと
・ 謙虚 ( けんきょ = 自分を 偉いと
思わず、すなおに 他に 学ぶ
気持があること ) で あること
・ 世 の ため、人 の ために
行動 すること 」
本来、人生 とは
希望に 満 (み) ちて
いる もの です。
( 中 略 )
未来 に 希望 を
抱 (いだ) き、
明るく 積極的に
行動 していく ことが、
仕事 や 人生 を
より 良くする
第 1 条件 です。
── 本文 より
◇ 12ページ から。
《 幸せな 人生 に
導 (みちび) いてくれる
たった 1つの 鍵 (かぎ) 》
私 は これまで 仕事 に
追 (お) われ、仕事 を
追いかける 人生 でした。
しかし、そんな 人生 を
振 (ふ) り 返ってみると、
「 私 ほど 幸せな
人間 は いない 」
と しみじみ 思います。
1959年 に 28名 の
町 工場 から スタート した
京セラも、1984年 に
電気 通信 事業 の 自由化 に
際 (さい) して 設立 させて
いただいた 第二 電電
( 現・KDDI ) も、
順調 に 成長 発展 を
遂 (と) げることが できましたし、
晩節 (ばんせつ = 晩年) を
汚 (けが) す のではないか と
心配 された 日本 航空 の 再建 も、
なんとか その 任 (にん) を
果 (は) たすことができました。
もちろん、その 過程に おいては、
さまざまな 苦労が あった
ことも 事実 です。しかし、
そんな 苦労 も 含 (ふく) めて、
今になって 振 (ふ) り 返れば、
「 何 (なん) と幸せな 人生 だろう 」
と 思える のです。
それは、どんな 境遇 (きょうぐう)
に あろう とも、「 人間 として
正しいこと を 正しいまま に
貫 (つらぬ) く 」 と いうことを
強く 意識し、現在 まで 変わらずに
実践 (じっせん) してきたことが
もたらして くれたこと
なのではないか と 思っています。
私は どのような 「 考え方 」 を
選択 (せんたく) するか によって、
自分 の 人生を、素晴 (すば) らしい
ものに つくり 上げる ことも
できれば、壊 (こわ) すこと
にもなる と 考えて います。
人 は 誰 でも、人生 で、
思いもよらぬ 障害 (しょうがい) に
遭遇 (そうぐう) します。
そんな 困難 (こんなん) に
直面 (ちょくめん) したとき、
どちらに 向 (む) いて 進むのかは、
すべて 自分 の 「 考え方 」 から
来 (く) る 判断 (はんだん) です。
その 1つ ひとつ の 判断 が
集積 (しゅうせき) された ものが、
人生 の 結果 となって
現 (あらわ) れるのです。
ならば、常 日頃 (つねひごろ) より、
自 (みずか)ら を 正しい 方向 へ
導 (みちび) く 「 考え方 」 に
基 (もとづ) いた 判断 をしていれば、
どんな 局面 でも 迷 (まよ) う
ことは ありません。
いつも 正しい 行動 が とれ、
結果 も 素晴らしいものに
なって いく はずです。
一方 (いっぽう) 、自分だけが
よければ いい という 利己的
(りこてき) な 心 や気まぐれな
感情 など、自分 を 悪 (あ) しき
方向 (ほうこう) へ 導 (みちび) く
「 考え方 」 が もたらす
判断 基準 (はんだんきじゅん)
しか 持っていない 人 は、
常 (つね) に 揺れ 動く 自分 の 心 に
左右 (さゆう) される ことに なります。
人間 とは 弱 (よわ) いものです。
環境 に 負け、自分 自身 の 欲望に
負 (ま) け、心 が 乱れ、人 の 道 に
反することも やってしまう のも
事実 です。
だからこそ、何かに 迷ったときに
判断 の 基準 となる 正しい
「 考え方 」 を 持つことが
たいへん 大切 です。
自ら を 正しい 方向 に 導く
「 考え方 」 と いうものは、
まさに 闇 (やみ) を
照 (て) らす 光 です。
人生路 (じんせいろ) を
歩いて いく とき に、
素晴らしい 人生 へ と
続く 道 を 示 (しめ) してくれる
羅針盤 (らしんばん) と なって
くれる のです。
《 「 考え方 」 と 「 熱意 」 の
大切さ に 気づく 》
人間として 正しい 「 考え方 」 を
持つことが、私たち の 人生 に
どれほど 大きな 影響 を 与えるか。
そのことを 理解して
いただく ために、まず、
人生 や 仕事 の 結果を
表 (あらわ) す 方程式 に ついて
お話 したい と 思います。
私 は 長年、この 方程式 の
値 (あたい) を 最大にするよう、
日々 懸命 (けんめい) に
仕事 に 取り組んで きました。
また この 方程式 でしか、
自分 の 人生 も、京セラ や
KDDI の 発展、そして
日本 航空 の 再生 も 説明することは
できない と 思っています。
《 私 の 考える 人生 の 方程式 》
《 人生 ・ 仕事 の 結果 =
考え方 × 熱意 × 能力 》
私は、さして 裕福 では ない
家 に 生まれ、若い ときは
中学 や 大学 の 入試 試験、
そして 就職 試験 に
ことごとく 失敗 しました。
多くの 挫折 (ざせつ) を 経験 し、
人並 (ひとな) み 程度 の
「 能力 」 しか 持たない 私 が、
人並み 以上の ことを
成 (な) し 遂 (と) げる には
どうすれば いい のだろうか。
そう 悩 (なや) んだ 末 (すえ) に
見出 ( みいだ = 発見 ) したのが、
この 方程式 です。
この 方程式 は、「 能力 」 「 熱意 」
「 考え方 」 という 3つ の 要素
から 成り立って います。
「 能力 」 というのは、頭 が
いい と いうだけ では なく、
運動神経 が 発達 しているとか、
頑健 ( がんけん = 健康 )
で ある と いった 身体的 な 能力
も 含 (ふく) めたもので、
多くは 生まれつき
備 (そな) わって いる ものです。
この 「 能力 」 を 点数 で
表 (あらわ) せば、個人差 が
ありますから、0 点 から 100 点
まで ある と いえる でしょう。
ろくに 勉強 も せず 運動 能力 も
ない と いうような 人 を 0 点
と すると、運動 神経 も 発達 し、
健康 でも あり、学校 の 成績 も
抜群 (ばつぐん) という ような
人 が 100 点 と なる わけ です。
この 「 能力 」 に 「 熱意 」 という
要素 が 掛 (か) かって きます。
「 熱意 」とは、「 努力 」 と
言い 換 (か) えても いい のですが、
これに 関 (かん) しても、やはり、
個人差 が あり、0 点 から 100 点
まで あります。
人生 や 仕事 に 対して 燃える
ような 情熱 を 抱き、一生 懸命 に
努力する 人 を100 点 とすると、
やる気 や 覇気 ( はき = 意気・意志)
の ない、無気力 で 努力 しない 人
は 0 点 と なります。
この 「 熱意 」 は 「 能力 」 と
異 (こと) なり、自分 の 意志 で
決める ことが できます。
だから 私 は、まず 誰にも
負けない 努力 を 重ねよう
と 思いました。
能力 は さほど 高くは ない
かも しれない が、熱意 だけは
誰にも 負けないほど、
持とうと 思ったのです。
頭 が いい からと 努力 をしない 人
より は、自分 には 能力 は ない と
自覚 して、誰 よりも 情熱 を 持って
努力 した 人 の ほうが、はるかに
素晴らしい 結果 を 残すことに
なる はずだ と 考えた わけ です。
最後に 「 考え方 」 という 要素 が
掛 (か) かって きます。
「 考え方 」とは、その 人 の 思想、
哲学 という 意味 でも ありますし、
理念、信念 といっても
構 (かま) わないでしょう。
または、人生観、人間性などと
置き換えても いい でしょうし、
人間 としての 生きる姿勢 と
いっても いい かもしれません。
そういうもの を 総称 (そうしょう)
として 「 考え方 」 と 呼ぶ わけです。
この 「 考え方 」 こそ が、
最も 大事な 要素 であり、
方程式 の 結果 を 大きく
左右 (さゆう) することになります。
なぜなら、先 (さき) の 「 能力 」 や
「 熱意 」 が 0 点 から 100 点 まで
あるのに 対して、「 考え方 」 には、
悪い 「 考え方 」 から、
良い 「 考え方 」 まで、
それぞれ マイナス 100 点 から
プラス 100 点 まで の 大きな
振れ幅 (ふれはば) が ある からです。
「 能力 」 も 「 熱意 」 も、
高ければ 高いだけ いい のは、
言う までも ありません。
しかし、それ 以上に、自分の
「 考え方 」 が プラス なのか、
それとも マイナス なのか、
さらに、その 数値 は 高いのか、
低いのか という ことが、
人生 や 仕事 の 結果 を
大きく 左右 (さゆう) する
ポイント に なります。
〈 中 略 〉
◇ 22ページ から。
《 良い 「 考え方 」 と
悪い 「 考え方 」 》
よく 「 才 (さい) に 使われるな 」
と 言います。才能 の ある 人 は
つい 自分の 才能 を 鼻 に かけ、
傲慢 ( ごうまん = 高慢・不遜 )
に 振る舞 (ふるま) って しまいます。
それは、先 (さき) ほど も 述べた
日本 航空 の 例 を みても
明 (あき) らかです。
以前 の 日本 航空 は、「 日本を
代表する 航空 会社 」として、
ちやほや されてきた 長い 歴史 が
あるものですから、幹部 社員 たち は
知らず 知らず のうちに
傲慢 ( ごうまん = 高慢・不遜 )
に なって いました。
ですから 私 は、生意気 (なまいき)
で 不遜 (ふそん) な 態度 をとる
幹部 社員 には、厳 (きび) しく
叱責 (しっせき = 相手 の 非を
とがめ、きびしく注意する )
を しました。
「 リーダー には 謙虚 (けんきょ)
さ が 必要であり、こういう 事態
に なったことを 自分 自身 の
責任 として 反省 しなければ
ならない 」 と 説 (と) きました。
幹部 社員 は 皆 (みんな)、
高い能力 を 持つ 非常に
エリート 意識 の 高い
人たち ばかり です。
学歴 も 高く、礼儀 正しくも
見えるけれども、実は
慇懃 無礼 (いんぎんぶれい) で、
努力 の 大切さ や 人間として
正しい 「 考え方 」 など
気にも 留 (と) めません。
そんな 才覚 だけを 備えた
人間 が 大きな 権力を 握り、
企業内 を 牛耳 (ぎゅうじ) る
ようになり、組織 全体 が
「 人 として 大事 なこと 」 を
ないがしろ に して しまった。
そのような 組織 が お客様 を
大切に するはず が ありません。
そのために、日本 航空は
2 兆 3 千 億 円 もの 巨額 の
負債 (ふさい) を 抱えて 経営 破綻
(けいえい はたん) しました。
才能 を 使うのは 「 心 」 だと
言われるように、「 考え方 」 が
自分 の 能力 を 動かして
いかねばなりません。
心 を 失 (うしな) い、能力
だけ が ある という 人 は、
「 才 に 溺 (おぼ) れる 」 と
言われるように、
必ず 失敗 します。
つまり、プラス の 「 考え方 」 を
持って 「 心 を 高める 」 こと に
努める のが たいへん
大事 なのです。
では、私 の 考える プラス の
「 考え方 」、マイナス の 「 考え方 」
とは、どのようなものなのでしょうか。
プラス の 「 考え方 」 とは、
端的に 言えば、正義、公正、
公平、努力、謙虚、正直、
博愛 などの 言葉 で 表現される、
プリミティブ ( = 素朴・そぼく) な
倫理観 (りんりかん) そのもの
であり、世界 の どこでも 通用する
普遍的な もの ばかりです。
そして、その 反対 に、マイナスの
「 考え方 」 とは、プラスの
「 考え方 」 の 対極 に くるもので
あると 私 は 考えています。
それら を 対比 させて 列挙 (れっきょ)
するならば、下 に 挙 (あ) げる ような
項目 (こうもく) として
示 (しめ) すことが できます。
✳ プラス の 「 考え方 」 ✳
常に 前向きで、肯定 的、
建設 的 である。
皆 (みんな) と 一緒 (いっしょ) に
仕事 を しようと 考える
協調性 を 持っている。
真面目 で、正直 で、謙虚 で
努力家 で ある。
利己的ではなく、「 足 (た) る 」
を 知り、感謝 の 心 を 持っている。
善意 に 満ち、思いやり が あって
優 (やさ) しい。
✳ マイナス の 「 考え方 」 ✳
後ろ 向き で、否定 的 で、
非 協力 的 で ある。
暗く、悪意 に 満ちて、
意地 (いじ) が 悪く、他人 を
陥 (おとしい) れようとする。
不真面目で、嘘 (うそ) つきで、
傲慢 ( ごうまん = おごり
たかぶって 人 を 見くだすこと )
で、怠け者 (なまけもの)。
利己 (りこ) 的 で 強欲 (ごうよく)、
不平 不満 (ふへい ふまん) ばかり。
自己 の 非 (ひ) を
棚 (たな) に あげて、
人を 恨 (うら) み、
人を 妬 (ねた) む。
〈 中 略 〉
幸運 に 恵 (めぐ) まれよう と、
災難 に 遭遇 (そうぐう) しようと、
常 (つね) に プラス の 「 考え方 」 を
養 (やしな) い、実践して
いくこと に 努 (つと) める。
人生 の 鉄則 は それに 尽 (つ) きる
といっても よい と 思います。
《 ほれぼれ するような
人 に なれ 》
本書は、素晴らしい 人生 を
送るために、正しく、清らかで、
強く、純粋 な 「 考え方 」 を 持つこと、
すなわち 美しく 高邁 (こうまい) な
人格 を 築 (きず) き 上げることが
いかに 大切 であるか ということを、
私 の 体験 を 交 (まじ) えて
述 (の) べた ものです。
本書 を 構成している 九つ の 章 は
「 大きな 志 を 持つこと 」
「 常 に 前向き で あること 」
「 努力 を 惜 (お) しまないこと 」
「 誠実 (せいじつ) で あること 」
「 創意 を 凝 (こ) らすこと 」
「 挫折 (ざせつ) に
へこたれ ないこと 」
「 心 が 純粋 で あること 」
「 謙虚 (けんきょ) で ある こと 」
「 世 の ため、人 の ため に
行動 する こと 」
から 構成 (こうせい) されており、
それぞれ が 独立 した
テーマ と なっています。
しかし、「 人生 は 考え方 に よって
形 (かたち) づくられる 」
という 本質 の 部分 では
互 (たが) い に しっかり と
結 (むす) びつき、一体 (いったい)
と なって、人生 に 幸福 を
もたらす「人間 の あり方 (かた) 」
を 指し示 (さししめ) しています。
〈 中 略 〉
大切なのは、「 こうありたい 」と
思い 続ける ことです。
「 こういう 人間 で ありたい 」
と 思って、一生 懸命
(いっしょう けんめい)
努力 し 続ければ、必ず
人間 は 成長 するものです。
もともと、生まれながらに 立派 な
人格 を 持った 人 は いません。
人間 は 一生 を 生きていくなかで、
自 (みず) ら の 意志 と 努力 で
高邁 (こうまい = 気高い・けだかい)
な 「 考え方 」 を 持った 人格 を
身 (み) に つけて いきます。
本書 が、そのように 絶 (た) えず
自分 自身 を 磨 (みが) き、
素晴らしい 人生 を 歩 (あゆ) んで
いこうとする 皆 (みな) さん に
とって、少しでも 役立つ ことを
願って やみません。
〈 後 略 〉
□ 参考 文献
「 考え方 」
稲盛 和夫 (いなもりかずお) 著
大和 書房 (だいわしょぼう) 発行
◇ 稲盛 和夫 オフィシャル サイト
https://www.kyocera.co.jp/inamori/
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