思い描いて見て下さい…
カーニバルの熱気も興奮も喧騒も…
一瞬の暗闇であとかたもなく消され…
イントロが流れ出した瞬間…
客席からの幾重にも重なるため息の渦…
そのすべての人の全身が目となり耳となり…
照らし出される彼を待つ…
その光の中に現れた彼は
黒の光沢のあるパンツに同じく黒の異素材のインナー
ノースリーブのゴールドのジャケットを羽織り
指先のない白っぽいグローブをはめていたように見えたけど…
黒髪にヘッドセットをしてゆっくりとゆったりと歌い出す…
彼の甘くどこまでも甘い声が空間を余すことなく満たしていく…
痺れるような痛みに胸が震える…
彼の吐息に包まれながら送られてくる言葉の意味は…
そのすべてにただ魅せられて感じるだけ…
ギターの旋律が哀愁を高めていく…
ヘッドセットを美しい左手指先で引きよせ…
何かを掴もうとするかのように伸ばした右手…
彼の声が切なくシャウトする…
美しい腰のラインから繰り出される動きは艶めかしく
うつむきがちな首筋の色香にドキドキする…
マルチ画面に順に送られ映し出される彼の表現する世界…
そのただ一人の彼にシンパシーを感じて…
息をのむ…
イスに座り美しい足さばきを見せる…
その洗練された動きに…
コリオグラファーとしての才能も魅せつけられ…
その溢れる才能をさりげなくカットアウトで終わらせる…
彼の孤高な美学に惜しみなく送られるため息と 称賛の拍手…
僅かな時間の中で届けてくれる今の彼を精一杯受け止めるけど…
薄れていく記憶が哀しくて…切なさを置き去りにする…
どうか私も連れって下さい…
この夢の続きへ…