<偶然にも・・・>
先日かみさんが、「友達が倉敷に行って写真撮ってきた。」と言いながら、
絵葉書にした写真を私に見せました。
「今頃行ったらめちゃくちゃ暑いんだろーなー。」などと写真を見ながら何の気なしに言っていました。
その数日後、私のほうが突然倉敷に出張と相成りまして、
場所が場所だけに東京から行って朝から仕事に就くためには前日移動が必要となります。
その仕事がたまたま月曜日のため、日曜日に前日移動となったわけであります。
「どうせ休日に移動するなら朝から発って観光しよう。」
ということで日曜日の朝9:17ののぞみ号に乗って岡山へと向かいました。
<倉敷に到着・・・>
岡山駅からは伯備線という電車に乗っておよそ20分で倉敷駅に到着。
ここから歩いて10分ほどで美観地区に行けるはずです。
予約しておいたホテルはこの美観地区の入り口にあり、観光には最適なロケーションです。
まだホテルのチェックインの時間まで2時間ほどあるので、荷物だけ預かってもらい、
美観地区を少しぶらついて見ようかというつもりで駅を出ました。
暑いとは予想していましたが、駅を出た途端に真夏の太陽がギラギラと照りつけ、
空気はサウナのような熱風で、たまらず再び駅の中へ逃げ込みました。
「慌てる必要はない。飯でも食おう。」
ここは冷静になって、駅前の天満屋に入り、上の階のレストラン街へ向かいました。
日曜日ということもあって、どの店も入り口に順番待ちの人が何人か座っていました。
暑いので何か軽いものをと思い、うどん屋さんに入ることにしました。
入り口で名前を書いて、順番待ちの椅子に座り、待つこと約15分、
名前を呼ばれて店の中に入りました。
から揚げ定食とうどんのセットに生ビールを注文し、店の中を見回すと、年配の女性のグループがほとんどでした。
間もなく生ビールと柿ピーのお通しが運ばれ、生ビールをぐーっとやると、ようやく汗が引いてきました。
料理のほうはというと、15分くらい待ったでしょうか、まだ出てきません。
「さすが関西は丁寧に作っているんだなあ・・・」と善意に考えているうちに料理がきました。
「やっぱ関西のうどんはうまい。」
満腹になったところで店を出て、下の階に降りて行きました。
「そうだ、暑いから帽子を買っていこう。」と思い立ち、紳士服売り場に立ち寄りましたが、
年配の男性が被るような帽子ばかりで、アウトドア風のかっこいいものが見当たりません。(私もどちらかといえば年配ですが・・)
フロアを歩き回っていると、スポーツ用品の売り場の中に2、3個、アウトドア風の帽子が飾ってありました。
値段を見ると、6000円近くしました。思わず「高っ」とつぶやきましたが、他にないので仕方なくこれを買うことにしました。
<ホテルに向かう・・・>
さて、買った帽子をさっそくかぶって駅を出て、大通りを歩いていきました。
10分位歩くと交差点にぶつかり、信号に「美観地区入口」と表示されていました。
右折して少し歩くと、右側に予約したホテルが見えました。
まだ午後2時少し前です。入り口を入ってフロントに行き、名前を告げると、
「お部屋の支度はできていますので、今からチェックインが可能ですが…。」と言われ、
もちろん「yes」と答えて、早速部屋に入って汗びっしょりの服を着替えました。
短パンとポロシャツ、それにさっき買った帽子をかぶり、カメラを持って外に出ました。
<美観地区に入る・・・>
先ほどの交差点がすぐにあり、これを渡るとここが美観地区の入口です。
信号待ちしているときに、交差点の向こうに、お土産屋さんが2、3件見えていました。
信号を渡って美観地区に入っていきました。
道なりに倉風の建物が立ち並び、歩いていくと、岸沿いに柳の木が鬱蒼と並んでいる倉敷川に出ました。
まだ昼過ぎということもあってか、観光客がかなり多くみられました。
<40年前の記憶・・・>
実は40年ほど前、まだ大学生だったころにここ倉敷を訪れたことがあります。
大学の友達の実家が岡山にあり、年末に彼の帰省にちゃっかりとついてきたのです。
鷲羽山、後楽園、四国にわたって金毘羅さんと、数日の間にいろいろなところに案内してくれました。
その時に倉敷にも来ているのは覚えているのですが、さすがにもう記憶が薄れています。
確か大原美術館に入った記憶があり、この川沿いにあったような気がしたのですが・・・。
かなり近代的な建物だったような記憶がありまして、
(当時、「バージンブルース」という映画で、まだハイティーンだった秋吉久美子が、大原美術館の中で踊っていたような
記憶があるのですが・・・)
今、周りを見回したのですが、全くそのイメージの建物がありません。
川の右手にアイビーの生い茂った塀がある古い建物はすぐに目に入ったのですが・・・。
しかしながらその塀の中ほどにある門から中を覗いてみると、右手に受付らしき窓口があり、
大原美術館の文字がはっきりと見えました。
「こんなだったかなー。」
正面には明治時代の銀行の入り口のような柱が並ぶ建物があり、その脇の表札に確かに「大原美術館」
と表示されていました。
長い歳月というのは人の記憶を歪曲させてしまうのでしょうか。(??)
<あまりの暑さに一旦撤収・・・>
倉敷川の沿道からアイビースクエア、東町、本町と、ガイドブックに出ているところを一通り歩いて、
写真をバシャバシャと撮っていましたが、あまりの暑さにもうたまらず、
「だめだ、一旦撤収。」
と、ホテルに戻り、汗でぐしょぐしょになった衣類を脱ぎ捨てて、風呂に行きました。
ところでこのホテルは屋上に天然温泉の大浴場と露天風呂がありまして、
しかもバイキングの朝食付きで6900円とリーズナブルなお値段です。(どうでもいいか・・・)
さっぱりしたところで缶ビールを飲みながらしばし休憩です。
<第2ラウンド開始・・・>
さて、美観地区は夕方暗くなり始めると、ライトアップされるそうです。
今回ここを訪れる前にネットで情報を仕入れました。
5時頃までホテルでごろごろしていましたが、まだ日は落ちず、待ちくたびれていましたが、
ネットの情報で美観地区内においしい焼き鳥屋さんがあることを思い出し、
「そうだ、焼き鳥屋さん行こう。」
と、再びカメラを下げて美観地区に向かいました。
本町にある鷭屋という焼き鳥屋さんに入りました。
一人なのでカウンターに座り、メニューに一通り目を通した後、
ここは月見つくねが評判ということで、これと焼き鳥の盛り合わせと、生ビールを注文しました。
まだ夕方の5時半頃でお客さんもまばらでしたので、
カウンターの中にいた御主人らしき人に聞いてみました。
「今何時ころ暗くなり始めるのでしょうか?」
御主人らしき人、
「夕方は忙しくて外を見ている暇がないのでわかりませんねー。」
ごもっともです。
時々表の具合を確認しながら地酒を飲んでいるといい具合に暗くなってきたので、
急いでお勘定を済ませ、店を出ました。
ちょうど日が落ち切った後で、いい具合の薄明るさの中、主だった建物がライトアップされ、
道端の街燈に灯がともって、最高にいい雰囲気です。
夕方は観光客も去った後で、ほとんど人影も見えず、
「この時間がいつまでも続いてくれれば・・・」と思いながら歩いていると、
もうすぐにあたりは闇に包まれてきてしまいました。
いい時間はあっという間に過ぎてしまうものです。
すっかり暗くなったおとぎの国をあとにして、ホテルに戻りました。