詩遊空間 <いつかのBGM>

今まで聴いてきた音楽、今日聴いた音楽、これから聴く音楽・・・      

クラス・トリップ / ジョン・アバークロンビー

2008年03月16日 | ジャズ・フュージョン


曲目
1. ダンサー
2. リスキー・ビジネス
3. デセンディング・グレース
4. イリノイズ
5. キャット・ウォーク
6. エクスキューズ・マイ・シューズ
7. スワールズ
8. ジャック・アンド・ベティ
9. クラス・トリップ
10. ソルジャーズ・ソング
11. エピローグ

ジョン・アバークロンビー(g)、マーク・フェルドマン(vi)、マーク・ジョンソン(b)、ジョーイ・バロン(ds)

淡々とした静寂、しかし、そこにはそれがいつ破綻してもおかしくはないほどの脆さと儚さがある・・・
その悲しい静寂の中で、それでも凛として踊り続ける一人のダンサー、いつ脆く崩れていくのかも知れないまま・・・
一曲目『ダンサー』
まさに目を閉じるとその暗闇の中に鮮やかに映し出される、そのような物語、風景・・・
さすがECMといえばそれまでだけど、やはりこのレーベルの音楽については、否応なく『夢見がちなおっさん』になってゆく僕である。
そして、ひとつ困った事にして、じっと目を閉じて音楽に聴き入っていると、その気持ちの良さ、心地良さに負けて、『夢見がちなおっさん』が本当に『夢の世界』へ迷い込んでしまうときがある。つまり『寝てしまっている』のです(笑)
日頃、世知辛い世間様の風に晒されて、いろんな疲れが身体のいろんなところに溜まっているのですよ・・・もうこればっかりは仕方がない。
・・・なんて居直るつもりなんてなく、正々堂々と言うが、『ECMの音楽は安眠できる』
いちおう弁解しておくが、けっして退屈とか面白くないから寝てしまうという類ではなく、逆に本当にそのような退屈な音楽なら僕はきっと気持ちよくは眠れたりはしないだろう。音が邪魔になってかえって眠れないと思う。
そのてん、一連のECMサウンドはなんとなく周波が合う、というか、本来の僕が好きな音楽であって、それは『安心』というマークに支えられたどこかの生命保険のように、おそらくこれから老後もお世話になるであろう・・・とは確信している。

起きているのと寝ているのとのちょうど中間にある隙間の空間に、このアバークロンビーやビル・フリーゼルなどの浮遊ギターが蛍の光りのように灯っている・・・
もしかして、その空間こそが僕にとっての最良の場所なのかもしれない。