おかあさんのうた

どこをどう歩いてきたんだろう。
おかあさん、子供たちよ。
あのぬくもりはもう帰っては来ないのだろうか。

叶わぬ夢~あの人たちは誰?どこ?~

2010-04-07 14:02:32 | 随筆
 叶わぬ夢。

由布子は笑いながら添い寝に応じようとした。

廊下の影から大きな男が薄ら笑いを浮かべながら見ている。

「誰だ!おまえは!」

詰問すると男は、

「この部屋を参考に写させてください」

「だめだ!」と云おうとしたら、由布子は笑顔で承諾した。

その時はすでに、別の男が部屋の隅から仏壇に向かって、

顔を上下させながら、スケッチブックに何やら描いていた。

「温泉に入ってくる」そういって僕は部屋を出た。

自宅ではない、旅館なんだ。そう合点しつつ大浴場に向かう。

着替えの下着を忘れたことに気が付き部屋に戻る。


大きな部屋になっていた。

部屋の隅に年老いた恰幅のいいおばあさんが布団に寝ようとしていた。

誰だったかな?見覚えがないなあ。

すると由布子が隣の部屋から布団を引っ張り出してきて、

おばあさんの横に並べた。

由布子と僕とおばあさんと川の字に横になった。

俺、何をしているんだ?

突然、幼子を二人連れた主婦が入ってきた。

ゴソゴソやっていたが、

突然、腰を上げて子供らの手を引いて出て行こうとする。

「こんな遅い時間にどこ行くの?」

と由布子が声を掛けた。

「泊まるだけのお金がないからーーー」と女。

「こんな広いお部屋だから泊まっていったら。大丈夫よ、宿帳なんかに書いてないんでしょう」

女はどこからか布団を運んでくる。

えっ?どこから持ってきたんだ?

「こんなに広いんだからわかりゃしないさ」とおばあさん。


僕は縁に立って庭を見ている。

りんごの半分くらいの濃い紫色の実が鈴なりになっている。

あれ?この木は何だっけ。いつ植えたかなあ。

その木の横に高さ2メートル、幅3メートルくらいの網を張った小屋がある。

その小屋は2段になっている。

下に小さなライオンとトラのこどもがいる。小さな犬らしきものも見える。

上の段には鳩かチャボのような鳥がたくさん蠢いている。

「由布子、何で鶏小屋にトラの子がいるんだ」と問いかける。

「隣が飼っているの。自分の庭は広くて余裕があるのに嫌ねえ」

隣の庭とは連なっていて境界の柵もない。

この木の実は何だろう。姫りんごの木はどうしたのかな。


由布子の手が触れた。柔らかな手を握り返す。

由布子は拒まない。

そのまま布団に横になる。

由布子の唇は柔らかい。

あたたかい。

そうだ、風呂に入ってこないと、汗臭い。由布子に嫌われる。

タオルを持って部屋を出た。


雨の音で眼が覚めた。

雨の音が聞こえることはめったにない。相当ひどいな。

夢の続きをみたくて眼を瞑るがねむれない。

外は明るくなった。夜が明け始めた。


風呂場で一気に熱めのシャワーを浴びた。

それでも、

由布子のやわらかくてあたたかいぬくもりが冷めなかった。

春なのに

2010-04-01 03:04:11 | 随筆
 今ね、結構まじめなんだ、こまめなんだ。

毎朝、仏壇と神棚にはお参りしているよ。

ここでは火の神があって神棚の代わりに台所に女性が祀るんだ。

女はいないから自分でやっている。

神様と火の神様には毎朝、君とアコとモコのことお願いしている。

仏壇はね、俊朗の好きなお菓子など、時折、買ってくるよ。

親爺には好きなタバコをのませなかったから時々あげている。

親爺はコーヒーが好きだったと妹からインスタントコーヒーを送ってきたので毎朝あげてる。

夜はね、晩酌の酒と肴とおかずをね。これはおふくろだ。


沖縄には沖縄の慣わしがあって、出来るだけ合わせてやっている。

結構、大変だよ。

でも供物はいずれ自分の口に入るから楽しんでいる。

ご飯が困るんだ。

独り身だから、毎朝炊くわけにいかないだろう。

一度にたくさん炊いて、冷凍に小分けして、毎朝、それをレンジで暖めて供えて、自分も食べてる。


静か過ぎて、少し早く寝るとこんな時間に眼が覚めてしまうんだ。

何とか生きがいを見出したくてこんなことをやっているけど、気休めにしかならないね。


きょうの寒さが終わりのようだよ。

寒の戻りが一度くらいあるかもしれないが、大したことはないそうだ。

からだは大丈夫かい?

腰は痛くないかい?

モコと仲良くやっているかい?

おまえに見せようとベランダに植えたブーゲンビリヤやハイビスカスが大きくなって、いま、たくさん花をつけているよ。

今年は庭の梅は咲いたかなあ?

<写真の花はブーゲンビリア>