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本-会社はこれからどうなるのか

2014年05月09日 23時18分49秒 | 学習・研究支援
岩井 克人 (著)
会社はこれからどうなるのか [単行本]

商品の説明
第2回(2003年) 小林秀雄賞受賞
商品説明
資本主義のグローバル化、IT革命に金融革命。
90年代より、好景気に沸くアメリカを発信地とする
新しい波が押し寄せている。
かたや、未だ「失われた10年」から脱出しきれていない日本は、
日本的経営の長所に対する自信までをも失ってしまった。
しかし、会社は株主のものでしかないというアメリカ的な株主主権論は、
「ポスト産業資本主義」と呼ばれるこれからの時代、
本当に「グローバル標準」としての地位を確立するのだろうか。

本書のなかで著者は、会社とは何かを根本から洗い直し、
資本主義の変遷をおさらいしつつ、
ポスト産業資本主義にふさわしい会社のしくみを考察している。
もともとインタビュー原稿だったものを書き直したというだけに、
全体を通して「ですます調」の読みやすい構成になっているのが特徴。
また、論の運び方がゆったりとしており、
カタカナ用語もできるだけ平易な日本語に置き換えているため、
会社論と資本主義論という難解なテーマであるにもかかわらず、
論旨がすんなりと頭に入ってくる。
著者は、MITで経済学博士号を取得後、
各国の大学の助教授や客員教授を経て、
現在は東京大学経済学部教授として活躍している。
『貨幣論』や『二十一世紀の資本主義論』などの
著書を持つ経済学者だ。

著者は、前半のかなりの紙幅を「法人とはなにか」を
説くスペースにあてている。
読んで字のごとく「法の下でのヒト」である反面、
株主から見れば、株式という「モノ」に過ぎない法人。
この二面性がきちんと理解できれば、
なぜ資本主義の変遷とともに
最強と呼ばれる会社システムも変化していったのか、
ポスト産業資本主義時代に求められるであろう会社システムとは何か、
そして理想的な働き方とは何かについても、
読者なりの回答が出せるに違いない。

今を生きる経営者やビジネスパーソンはもちろん、
これから社会に出る学生にも、
ぜひ読んでほしい1冊である。(朝倉真弓)

登録情報
単行本: 341ページ
出版社: 平凡社 (2003/02)
ISBN-10: 4582829775
ISBN-13: 978-4582829778
発売日: 2003/02
商品パッケージの寸法: 19 x 12.6 x 2.6 cm

カスタマーレビュー
1.学者らしい良書 2005/3/28_By siuhong
まず学者らしく2つの制度の本質を明らかにしています。
1株式会社はヒトとモノの両方の性質を持っている。
モノとしての性質とは、会社は買収の対象であるという見方で
米国流の株主主権論に見られる捉え方です。ヒトとしての性質
とは、会社は従業員のものという日本流の見方です。株式会社
とは日本流、米国流両方の会社のあり方を可能にすると説きます。
2資本主義の本質は差異を媒介することで利潤を得るところにある。
この本質は商業資本主義、産業資本主義、ポスト産業資本主義の
いずれにおいても貫徹されていると説きます。
以上の見解を踏まえて、ポスト産業資本主義にふさわしい会社の
あり方は米国流ではなく、むしろ日本流だと主張します。巷で
言われていることとは異なる見解ですが、論理を丁寧に重ねて
奇抜な主張を受け入れるよう説得しています。
この見方からすると、ライブドアのようなやり方は時代にそぐわない
というエキセントリックな結果が引き出せそうです。岩井氏も日経
新聞(2005年3月28日)のインタビューではライブドアに批判的です。
株式会社の本質を考える刺激を与えてくれる良書です。サラリーマン
だけでなく、これから社会に出る学生にも薦めたい一冊です。

2.「会社」というものが見えてくる 2003/3/21_By 読者
大変に読みやすい本である。すらすらと読み進んでしまうが、
我々が常識だと思っていることをくつがえす見解が
随所に入っている。ふつうのビジネス書が
常識をくり返すだけにとどまるのとの大きなちがいである。
中心にあるのは「会社」そのもののしくみを明らかにする法人論であるが、
それが著者が以前からくり返し論じてきた資本主義論と
見事に組み合わされている。知的興奮を覚えると同時に、
今まで見えなかった「会社」というものが見えてくる。


3.視野狭窄に陥らないために 2003/4/27_By えめふろ
最近、「会社は株主のもの」「株主軽視の経営」という言い方で、
日本の伝統的経営スタイルが批判されることが多いですが、
著者が提示する視点はこれとは正反対のものです。
つまり、(1)「法人」というものが
法理論上矛盾を抱え込んだ存在であって、
それゆえ日本的な株式会社も十分「あり」である、
(2)ポスト産業資本主義では、株主をはじめとする
お金の供給者の力はむしろ弱まってくるはずだ、というものです。
「これが正しい」という独断的な言い方は
意図的に避けられているので、やや曖昧に感じる部分もありますが、
視野を広げるうえで大変有益でした。


4.会社の仕組みがすっきりわかる。 2005/7/1_By mbookdiary VINE メンバー
法人のヒト性とモノ性の両面の性質。
ヒトはものを所有できるがモノはヒトを所有できない。
法人は二つの性質があるから売買もされるし
モノを所有することもできる。また、
ポスト産業資本主義における法人の意義。
差異性が価値を生み出す。昔は、
農村の安い労働力が大量にあったから
お金があって機械が買えればそこから生まれた利潤から
安い労働賃金を引いた差異で比較的容易に利益を上げることができたが、
今はそれができない。利益を上げるのは新しいこと差異。などなど。
一般論に流されず著者独自の視点を持っていることが
はっきりとわかる。文章も読みやすいし、
話のスピードもゆっくりしているが
確実に理解できるように組み立てられている。
これは非常によい本に当たった。3回は読めると思う。

5.今後の勝ち組を「古くて新しい会社論」から示唆する良書 2003/3/13_By Masatao
本書は、まず、経済社会の長期低迷に喘ぐ日本、
停滞基調に入った米国、この2つの国の会社のあり方を典型例として、
「古くて新しい会社論」をやさしく展開する。
会社法の議論をベースに、数学こそ登場しないが、
理論経済学を極めた著者ならではの綿密で丹念な綴りが冴える。
以上の議論を踏まえ、後半では、
今後の勝ち組企業(法人)の一つのあり方を導く。
感動したフレーズは「多少大袈裟にいえば、
サラリーマンのなかから新たに会社を
おこしていくひとたちが経常的にあらわれてくることに、
ポスト産業資本主義時代における日本経済の命運が
かかっていることだけは、広く認識されるべきである、、、(p334)」
という箇所であった。

6.会社や仕事に対する迷いがふっきれ、元気が出る本 2003/4/30_By "tundoku"
1.会社の仕事に追われる毎日でいいのだろうか?
2.自分の会社は時代遅れなのではないだろうか?
3.独立や転職を考えるべきなのだろうか?
こんな疑問や不安を抱えるサラリーマンは多いはず。
私も時にこんな疑問を持ちながらも、
ゆっくりと考えてみたことがありませんでした。
著者は、会社をめぐる制度や法律から議論を始め、
各国の事情や歴史までを検討した上で、
最後に上記の問題に答を出します。
法人名目説と実体説をめぐる議論など、一見、
法律や経済史の専門家向けの話題にまで触れながら、
特別な前提知識を要求しません。
読み進む内に、会社や仕事に対する考え方がクリアになって行きます。
会社や仕事内容の変化に
積極的に取り組む指針を与えてくれる、元気が出る本です。

2014年5月9日、11時31分
BookOff、IZW店にて購入
108円