暮らし・話題
「買い物難民」札幌でも深刻化
頼りの地場スーパー閉店/
移動販売車は地方優先
(10/27 06:10)
地場のスーパーが消えた札幌市北区の拓北地区。
歩いて通っていた高齢者が
激減した通りの横を、車が過ぎていく

札幌の住宅地で、地元の中小スーパーの撤退により、
マイカーを持たない高齢者らが「買い物難民」となるケースが相次いでいる。
周縁には大型店がひしめき、そのはざまには
各業者とも出店に慎重姿勢。過疎地などで脚光を浴びる
移動販売を手がける業者も市街地は「採算が合わない」と敬遠する。
人口が集中する都会の「死角」で、
徒歩に頼るしかない弱者たちが置き去りにされている格好だ。
札幌市北区拓北のJR拓北駅周辺、通称「ひまわり団地」では
2010年11月にコープさっぽろが、
12年8月にも地場の「スーパー寿」が相次いで閉店し、
徒歩圏内で生鮮食品が買えるスーパーがなくなった。
空き店舗となった寿の周辺は人通りがめっきり減った。
1964年から造成が進んだ団地は
古くからの住人が多い。団地内の人口は6千人余りで、
65歳以上の高齢化率は28%。
市全体の値より約6ポイント高い。
6町内会でつくる「ひまわり連合自治会」は
9月に対策委員会を立ち上げた。委員の中井宣昭さん(67)は
「夏場は車を持つ住民に頼み一緒に買い物に行くなどしてしのいだが、
雪が降る冬はそれも簡単でない」と危機感を募らせる。
各社に出店を働きかけるが、撤退したコープさっぽろは
隣のあいの里教育大駅前に出店している上、
約2キロ圏内に他社も出店しており、
「再出店は極めて困難」との立場。コープは
買い物弱者対策として移動販売車にも力を入れるが、
「周辺に店がない地方の過疎地などが優先。
拓北では採算が取れない」という。
札幌市によると、拓北と同様、
60~70年代の高度経済成長期に造成された宅地は50カ所以上あり、
高齢化が進むところは多い。
買い物難民の問題に詳しい帯広畜産大の杉田聡教授(社会学)は
「札幌以外の他の道内都市でも同様な問題はある。
地方より互助関係の薄い都市部では問題は一層深刻だ。
新規出店に期待するだけでなく、普段から
地域住民の協力活動を強化して、乗り切るべきだ」と話している。
<北海道新聞10月27日朝刊掲載>
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/topic/500431.htmlより
民間の流通業者(スーパー)が進出するか、撤退するかは勝手だが、
出店規制を満たして、いちど進出した業者は、
最後まで出店の意義を感じてもらいたい。
規制緩和により出店規制は緩やかになった。
いまはむしろ、撤退規制をかけるときかもしれない。
このようなケース、あきらかに市場の失敗である。
市場原理にもとづく「民のビジネスの自由」を放置すれば、
このようなケース以外にも、弱者が不利益を被ることになる。
生協などの特殊な組織が、
このような隙間を埋める必要があるのではないか。
「買い物難民」札幌でも深刻化
頼りの地場スーパー閉店/
移動販売車は地方優先
(10/27 06:10)
地場のスーパーが消えた札幌市北区の拓北地区。
歩いて通っていた高齢者が
激減した通りの横を、車が過ぎていく

札幌の住宅地で、地元の中小スーパーの撤退により、
マイカーを持たない高齢者らが「買い物難民」となるケースが相次いでいる。
周縁には大型店がひしめき、そのはざまには
各業者とも出店に慎重姿勢。過疎地などで脚光を浴びる
移動販売を手がける業者も市街地は「採算が合わない」と敬遠する。
人口が集中する都会の「死角」で、
徒歩に頼るしかない弱者たちが置き去りにされている格好だ。
札幌市北区拓北のJR拓北駅周辺、通称「ひまわり団地」では
2010年11月にコープさっぽろが、
12年8月にも地場の「スーパー寿」が相次いで閉店し、
徒歩圏内で生鮮食品が買えるスーパーがなくなった。
空き店舗となった寿の周辺は人通りがめっきり減った。
1964年から造成が進んだ団地は
古くからの住人が多い。団地内の人口は6千人余りで、
65歳以上の高齢化率は28%。
市全体の値より約6ポイント高い。
6町内会でつくる「ひまわり連合自治会」は
9月に対策委員会を立ち上げた。委員の中井宣昭さん(67)は
「夏場は車を持つ住民に頼み一緒に買い物に行くなどしてしのいだが、
雪が降る冬はそれも簡単でない」と危機感を募らせる。
各社に出店を働きかけるが、撤退したコープさっぽろは
隣のあいの里教育大駅前に出店している上、
約2キロ圏内に他社も出店しており、
「再出店は極めて困難」との立場。コープは
買い物弱者対策として移動販売車にも力を入れるが、
「周辺に店がない地方の過疎地などが優先。
拓北では採算が取れない」という。
札幌市によると、拓北と同様、
60~70年代の高度経済成長期に造成された宅地は50カ所以上あり、
高齢化が進むところは多い。
買い物難民の問題に詳しい帯広畜産大の杉田聡教授(社会学)は
「札幌以外の他の道内都市でも同様な問題はある。
地方より互助関係の薄い都市部では問題は一層深刻だ。
新規出店に期待するだけでなく、普段から
地域住民の協力活動を強化して、乗り切るべきだ」と話している。
<北海道新聞10月27日朝刊掲載>
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/topic/500431.htmlより
民間の流通業者(スーパー)が進出するか、撤退するかは勝手だが、
出店規制を満たして、いちど進出した業者は、
最後まで出店の意義を感じてもらいたい。
規制緩和により出店規制は緩やかになった。
いまはむしろ、撤退規制をかけるときかもしれない。
このようなケース、あきらかに市場の失敗である。
市場原理にもとづく「民のビジネスの自由」を放置すれば、
このようなケース以外にも、弱者が不利益を被ることになる。
生協などの特殊な組織が、
このような隙間を埋める必要があるのではないか。