やまさんのエンジョイ生活 Ver.2

趣味の登山、映画鑑賞、読書を日記風に紹介してます。

2016読書その2

2016-04-04 | 読書

 2月16日(火)      「ぼくは数式で宇宙の美しさを伝えたい」(クリスティン・バンネット著)

      

  クリスティン・バーネットの息子ジェイコブは、アインシュタインより高いIQの持ち主。記憶力抜群で数学が大好物。三歳で天文学に強い興味を示し、九歳で宇宙物理学についての独自の理論に取り組みはじめ、十二歳の夏休みには、量子物理学の研究者としてアルバイトも経験した。彼はいずれノーベル賞候補にもなり得るだろうと言われている。こんなジェイクだが、かつては自閉症によってその才能の片鱗すら見出されていなかった。「息子さんは十六歳になったときに自分で靴ひもを結べるようになっていたらラッキーだ」と言われていたのだ。

 

 
 凄い人物が紹介されている本『音楽嗜好症(ミュージコフィリア)~脳神経医と音楽に憑かれた人々』(オリバー・サックス著)を思い出した。因みに著者のノンフィクション作品として「レナードの朝」は映画化もされた。そこでは”嗜眠性脳炎 *1”の患者と主治医が主人公。        *1  30年以上も眠り続けるという不思議な病気   

 

2月22日(月)      「片手の郵便配達人」(グードルン・パウゼヴァンダ著)

            朝日新聞(1/31)   「ナチス時代17歳が直視した群像」と紹介されていた

   ロシア戦線で左手を失い、故郷の山あいの村で郵便配達人として働く17歳のヨハンを主人公に、同じ年でドイツの敗戦を経験した作者が自分の生きてきた時代が犯した過ちを正面からみつめ、誰もが等しく経験せざるをえなかった「戦争の本当の姿」を渾身の力をこめて描く。

 「ヒトラーは死に、平和が戻る。だが、結末は衝撃的だ。緊張と不安を抱えながらも牧歌的だった雰囲気から、ほとんどサスペンスのようなまさかの急展開。だからこそ、説教くささがなど一切なく、鮮烈な過去が蘇る」(*1) とあったら読まずにいられない!


2月23日(火)      「異類婚姻譚」(本谷有希子著)

       

 子供もなく職にも就かず、安楽な結婚生活を送る専業主婦の私は、ある日、自分の顔が夫の顔とそっくりになっていることに気付く。「俺は家では何も考えたくない男だ。」と宣言する夫は大量の揚げものづくりに熱中し、いつの間にか夫婦の輪郭が混じりあって…。「夫婦」という形式への違和を軽妙洒脱に描いた表題作。


2月27日(土)      「王とサーカス」(米澤穂信著)

    <伝える難しさ 記者の苦悩> 2015/12/13 朝日新聞 売れてる本 

  2001年、新聞社を辞めたばかりの太刀洗万智は、知人の雑誌編集者から海外旅行特集の仕事を受け、事前取材のためネパールに向かった。現地で知り合った少年にガイドを頼み、穏やかな時間を過ごそうとしていた矢先、王宮で国王をはじめとする王族殺害事件が勃発する。太刀洗はジャーナリストとして早速取材を開始したが、そんな彼女を嘲笑うかのように、彼女の前にはひとつの死体が転がり……。「この男は、わたしのために殺されたのか? あるいは――」疑問と苦悩の果てに、太刀洗が辿り着いた痛切な真実とは?

『さよなら妖精』の出来事から10年の時を経て、太刀洗万智は異邦でふたたび、自らの人生をも左右するような大事件に遭遇する。2001年に実際に起きた王宮事件を取り込んで描いた壮大なフィクションにして、米澤ミステリの記念碑的傑作!


3月3日(木)       「虹の翼」(吉村昭著)

  

 人が空を飛ぶなど夢でしかなかった明治時代―ライト兄弟が世界最初の飛行機を飛ばす十数年も前に、独自の構想で航空機を考案した男が日本にいた。奇才・二宮忠八の、世界に先駆けた「飛行器」は夢を実現させるのか?ひたすら空に憧れた忠八の波瀾の生涯を、当時の社会情勢をたどりながら緻密に描いた傑作長編。

 朝日新聞<beみちものがたり>(2016/2/6) 樅の木峠(阿波別街道)で <飛べ、翼に風を受けて> の記事で二宮忠八なる人物を知る。しかも吉村昭が<波乱の生涯を当時の社会情勢をたどりながら描く>とあったので読んでみた。この後の吉村2作品が続くがいずれも興味深く読んだし、感動もした。


3月11日(金)      「闇を裂く道」(吉村昭著)

  

   熱海―三島間を短時間で結ぶ画期的な新路線・丹那トンネルは大正7年に着工されたが、完成までに16年もの歳月を要した。けわしい断層地帯を横切るために、土塊の崩落、凄まじい湧水に阻まれ、多くの人命を失うという当初の予想をはるかに上回る難工事になった。人間の土や水との熱く長い闘いを描いた力作長篇。

 随分前に『高熱隧道』を読んだが、こんなにも大変なトンネル工事があったとは驚きであった。


3月19日(土      「白い航跡」(吉村昭著)


     

 薩摩藩の軍医として戊辰戦役に従軍した高木兼寛は、西洋医術を学んだ医師たちが傷病兵たちの肉を切り開き弾丸を取り出す姿を見聞し、自らの無力さを痛感すると同時に、まばゆい別世界にあこがれる。やがて海軍に入った兼寛は海外留学生としてイギリスに派遣され、抜群の成績で最新の医学を修め帰国した。

  海軍軍医総監に登りつめた高木兼寛は、海軍・陸軍軍人の病死原因として最大問題であった脚気予防に取り組む。兼寛の唱える「食物原因説」は、陸軍軍医部の中心である森林太郎(鴎外)の「細菌原因説」と真っ向から対決した。脚気の予防法を確立し、東京慈恵会医科大学を創立した男の生涯を描く歴史ロマン。

 

3月20日(日)      「昨夜のカレー,明日のパン」(木皿泉著)

   

  7年前、25歳で死んでしまった一樹。遺された嫁・テツコと今も一緒に暮らす一樹の父・ギフが、テツコの恋人・岩井さんや一樹の幼馴染みなど、周囲の人物と関わりながらゆるゆるとその死を受け入れていく感動作。本屋大賞第二位&山本周五郎賞にもノミネートされた、人気夫婦脚本家による初の小説。


3月23日(水)      「九年前の祈り」(小野正嗣著)

  

 三十五になるさなえは、幼い息子の希敏をつれてこの海辺の小さな集落に戻ってきた。希敏の父、カナダ人のフレデリックは希敏が一歳になる頃、美しい顔立ちだけを息子に残し、母子の前から姿を消してしまったのだ。何かのスイッチが入ると引きちぎられたミミズのようにのたうちまわり大騒ぎする息子を持て余しながら、さなえが懐かしく思い出したのは、九年前の「みっちゃん姉」の言葉だった──。
九年の時を経て重なり合う二人の女性の思い。痛みと優しさに満ちた〈母と子〉の物語。

 


3月25日(金)      「寝ても覚めても」(ミュリエル・スパーク著)

  

 意地の悪さが痛快な、イギリスのブラックユーモアの女王が贈る、奇妙な家族の物語。映画監督のトムは、撮影中の大事故で瀕死の重傷を負った。九死に一生を得て現場に復帰するも、ままならぬことばかり。タイトルは二転三転、製作陣からは横槍が。得意なはずの女優たちの扱いにも手こずる始末。そんななか、トムの次女が失踪した。まったくかわいげのない娘ではあるが心配だ。金目当ての誘拐か、有名人の父親に反抗しての蒸発か。行方がつかめぬまま、今度はトムの知人が銃撃され…現実が見えない男とドライな女たちの滑稽な駆け引き。



3月31日(木)      「死んでいない者」(滝口悠生著)

      

  秋のある日、大往生を遂げた男の通夜に親類たちが集った。子ども、孫、ひ孫たち30人あまり。一人ひとりが死に思いをはせ、互いを思い、家族の記憶が広がっていく。生の断片が重なり合って永遠の時間が立ち上がる奇跡の一夜。第154回芥川賞受賞。



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