やまさんのエンジョイ生活 Ver.2

趣味の登山、映画鑑賞、読書を日記風に紹介してます。

2016読書その6

2016-11-25 | 読書

10月12日(水)         「羊と鋼の森」(宮下奈都著)

    

 ゆるされている。世界と調和している。それがどんなに素晴らしいことか。言葉で伝えきれないなら、音で表せるようになればいい。ピアノの調律に魅せられた一人の青年。彼が調律師として、人として成長する姿を温かく静謐な筆致で綴った、祝福に満ちた長編小説。

 図書館に予約してる人が多く、忘れていた時に連絡があった。待ちに待った本が読める! 内容もタイトルの羊と鋼の意味が最初の方で分かったのも良かった。


10月26日(水)          「光炎の人」上・下(木内昇著) 

             「時代に翻弄される技術者の野心」 朝日新聞(10/2) *1
 

 時は明治。徳島の貧しい葉煙草農家に生まれた少年・音三郎の運命を変えたのは、電気との出会いだった。朝から晩まで一家総出で働けども、食べられるのは麦飯だけ。暮らし向きがよくなる兆しはいっこうにない。機械の力を借りれば、この重労働が軽減されるに違いない。みなの暮らしを楽にしたい――。「電気は必ず世を変える」という確信を胸に、少年は大阪へ渡る決心をする。

 「安全を重視する金海(音三郎の先輩)を憎悪し、技術開発だけを推し進める音三郎の姿は、福島第一原子力発電所の事故を思い起こさせるし、人工知能の発達が人間の仕事を奪う社会がすぐそこまで来ていることを考えれば、人間は技術革新とどのように向き合うべきかを問う普遍的なテーマにもなっている」(評:末園善己 *1)

  凄い作品を読むことが出来た。というより、木内昇の作品『櫛挽道守(くしびきちもり)』や『漂砂のうたう』も読んで欲しい作品です。


11月9日(水)          「ブリキの馬」(ジャニス・スタインバーグ著)

    

 1921年に、アメリカ西海岸のユダヤ人一家に生まれた双子の姉妹、バーバラとエレイン。大胆で行動的なバーバラと、引っ込み思案で本好きのエレイン。大恐慌や戦争の影がしのびよるなか、二人は支え合いながら大人になっていく。しかし18歳のある日、書置きを残してバーバラは失踪した……。 それから六十年以上すぎた現代、女性弁護士のさきがけとして活躍したエレインは、高齢者用住居への引っ越しを控えて、自宅の荷物を整理していた。そのとき、亡き母の残した荷物から、謎のメモを発見する。これは、双子の姉の所在につながる鍵なのか? そこから、エレインの頭には自分とバーバラ、そして父母や一族についての記憶が鮮やかによみがえる―― 激動の20世紀を凛として生き抜いた人々を描き、世界から高い評価を受けた感動長篇。

 分厚い本なのに先の展開が気になってどんどん読み進んだ作品。サンディエゴ図書賞(一般文芸部門)を受賞した。意外なタイトルと表紙裏表の絵(バーバラとエレインか)も気になっていた。初めて読んだ作家の本でした。



 

11月9日(水)            「すべての見えない光」(アンソニー・ドーア著)

      「重なり響き合う少年少女の時間」 朝日新聞(10/9) *2

 ラジオから聞こえる懐かしい声が、若いドイツ兵と盲目の少女の心をつなぐ。ピュリツァー賞受賞作。孤児院で幼い日を過ごし、ナチスドイツの技術兵となった少年。パリの博物館に勤める父のもとで育った、目の見えない少女。戦時下のフランス、サン・マロでの、二人の短い邂逅。そして彼らの運命を動かす伝説のダイヤモンド――。時代に翻弄される人々の苦闘を、彼らを包む自然の荘厳さとともに、温かな筆致で繊細に描く感動巨篇。

 「世の中にはまれに、読み終えるのが惜しい小説がある。そうしてさらにごくまれに、ひとつひとつの段落を読み終えるのが惜しくなる小説がある。本書はそんな、たぐいまれな作品のひとつである。」(評:円城塔 *2)

 アンソニー・ドーアは、短篇作家としてデビューした。その、『シェル・コレクター』や『メモリー・ウォール』も読みたくなった!






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