やまさんのエンジョイ生活 Ver.2

趣味の登山、映画鑑賞、読書を日記風に紹介してます。

読書1702

2017-02-26 | 読書

2月7日(火)          「ネザーランド」(ジョセフ・オニール著)

    何気に図書館で見つけた

  ある春の夕方に届いた訃報。ロンドンに暮らすオランダ人ハンスの思いは、4年前のニューヨークへさかのぼる―2002年。アメリカを厭う妻は幼い息子を連れてロンドンに居を移し、ハンスは孤独で虚ろな日々を送っていた。しかし、ふとしたきっかけで遠い少年時代に親しんだスポーツ、クリケットを再開したことで、大都市のまったく違った様相をかいまみる。失うとは、得るとは、どういうことか。故郷とは、絆とは―。数々の作家・批評家が驚嘆した注目の作家がしなやかにつづる感動作。PEN/フォークナー賞受賞。

 

 

2月8日(水)          「山行記」(南木 佳士著)

     

 芥川賞・泉鏡花賞受賞作家・南木佳士(なぎ・けいし)が、とことん「わたし」にこだわった風変わりな山行記。
芥川賞受賞の翌年に心身を病み、山歩きで新境地を得た作家兼医師が、「山」と出合い、ひらかれてゆく「こころ」と「からだ」の記憶。これまでにない山の記。
月刊誌「山と溪谷」に掲載された、北アルプス、浅間山、南アルプルの山行記三篇に、書き下ろし作品一篇を加えて再構成しました。
作家という立場から記された希有な山行記であり、著者はじめての紀行文集です。
<見送ってくれているように感じられるのは笠ヶ岳そのものなのか、それともあそこのテント場に残っている「わたし」の幻影か。>(「ためらいの笠ヶ岳から槍ヶ岳」より)

 芥川賞受賞の翌年に心身を病んだ作家兼医師は、五十歳で山歩きをはじめた。樹木の香りに精神が安定し、歩くことでからだ本来の働きに目覚めた作家は、蓼科山、浅間山から、ついには槍ヶ岳、白峰三山といった南北アルプスの高峰を若者にまじり踏破する。人生を重ねた者が己のからだとこころで書いた異色の紀行文集。

 

 

2月13日(月)        「戦争の悲しみ」(バオ・ニン著)

       

 キエンは何度も死地を生きのびた。だが、戦争という苛酷な体験は、彼の心身に癒しがたい傷を残した。凄絶な戦闘、ジャングルをさまよう死者の霊、部下たちの気高い自己犠牲…痛切な思い出の数々が彼につきまとう。戦後のハノイに生還して、キエンは奔放で情熱的な同級生フォンと11年ぶりに再会する。かつて二人は狂おしい愛で結ばれていたのだった。だが今は、芸能会の放恣な生活に身を委ねるフォン。ここにも戦争の深い傷あとがある。極限状況における人間の悲劇性を見てしまった二人に、はたして青春の愛は回復するだろうか?ヴェトナム作家協会賞受賞・英インデペンデント紙海外小説賞受賞。


2月16日(木)        「月と太陽の盤 碁盤師・吉井利仙の事件簿」(宮内 悠介著)

         <推理も純文学も人類の課題問う> 朝日新聞(1/30)*1 下の作品と共に紹介

  盤は宇宙、石は星―碁盤とは魔術の道具さ。吉井利仙は名うての碁盤師。使用する木には強いこだわりがあり、一年の大半を山を渡り、木を見て暮らしている。人呼んで「放浪の碁盤師」。十六歳ながらプロの囲碁棋士である槇は、利仙がかつて棋士だったころの棋譜に惚れ込み、師と慕って行方を追いかけている。囲碁をめぐる宿命に取り憑かれたような不思議な事件の数々は、ふたりに何をもたらすのか?あとは、盤面に線を引くだけです。

  収録の6作は、謎解き重視の本格推理が中心だが、グアテマラを舞台にした最終話「サンチャゴの浜辺」は、途上国の実情に迫る社会派推理色も強くなっている。(*1) 


2月18日(土)        「カブールの園」(宮内 悠介著)

  

 世界中の演奏家をクラウドでツナグシステムを開発した日系3世の女性レイを主人公に、アメリカの日系移民の歴史と悲劇に切り込んでいる。日米どちらの社会と言語に帰属するのかを突き付けられたレイの上の世代の苦悩と、レイが作った国籍も人類も超える可能性があるプログラムを対比させ、日本人とは、日本語とは何かを問い直したところは、SF出身の著者の面目躍如たるところだ。(*1)

 誇張した日本人を演じるプロレスラーの姉と暮らす僕を描く「半地下」も、同じ問題を掘り下げていた。(*1)

 いずれも興味深く読むことが出来た作品でした。


2月23日(木)        「霊山」 (高行健<ガオ・シンジェン>著)

  

  北京からパリへと書き継がれ、7年の歳月をかけて完成。癌を宣告された男の放浪と魂の彷徨を描き、ホメロスの叙事詩に擬せられ、「東洋のオデュッセイア」と讚えられる。本書によって、中国人作家初のノーベル賞受賞となった待望の翻訳刊行。


「おまえが乗ったのは長距離バスだった」という言葉で幕が開くのだが、作品全体が長距離バスの様だ。「おまえ」と「私」という二人の登場人物が交互に登場するが、二人が多くの紆余曲折を経て、段々と歩み寄ってくる。性格の大きく異なるこの二人は、実は、同一人物である事に、途中で気付く。


2月25日(土)        「マカロンはマカロン」(近藤史恵著)

  

 下町の小さなフレンチ・レストラン、ビストロ・パ・マルは、スタッフ四人、カウンター七席、テーブル五つ。フランスの田舎を転々として、料理修業をしてきた変人シェフ三舟さんの気取らない料理と、身も心も温めてくれるヴァン・ショーは大人気。そして、実はこのシェフ、客たちの持ち込む不可解な謎を鮮やかに解く名探偵でもあるのです。豚足をめぐる少年と母親の再婚相手との物語、おしゃれな大学教師が経験した悲しい別れの謎、消えたパティシエが残した言葉「マカロンはマカロン」とは?…等々、胸を打つ話ばかり。ブーダン・ノワール、豚足料理、マカロン、ベリーのタルト…メインディッシュもデザートもきっとご満足いただけます。絶品料理の数々と極上のミステリをどうぞ!

  前2作「タルト・タタンの夢」「ヴァン・ショーをあなたに」同様楽しく読むことができた。お薦めです!

      







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